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バル  作者: 隣の猫
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エルヴァ



漆黒の一撃が湖へ突き刺さる。


轟音。


大地が震え、オアシス全体が激しく揺れた。


「何だ!?」


レオンが踏ん張る。


アイラは咄嗟に木へ飛び移り、周囲を見渡した。


ベスは剣を構えたまま湖を睨む。


しかし。


虚無の使徒は誰一人としてベスたちを見ていなかった。


その視線は、ただ湖だけへ注がれている。




ゴゴゴゴ……


湖面が渦を巻く。


水位が、ゆっくりと下がり始めた。


「おい……。」


レオンが目を見開く。


「水が……。」


誰も言葉を発しない。


オアシスの水は音を立てながら地中へ吸い込まれていく。


やがて。


最後の一滴が消えた。


そこへ現れたのは――


白い石造りの巨大な遺跡だった。


幾重にも並ぶ石柱。


円形の広場。


中央には天へ伸びる神殿。


長い年月、水底で眠り続けていたとは思えないほど美しい姿だった。


「これが……。」


アイラが思わず呟く。


「湖の下にあった遺跡。」


ノアは小さく拳を握る。


「やっぱりあった……。」


灰猫は静かに尻尾を揺らした。


「にゃ。」




虚無の使徒たちも遺跡を見つめていた。


そして。


五人が同時に口を開く。


「見つけた。」


「ようやく。」


「眠りは終わる。」


その言葉を聞いたガルドの表情が変わる。


「……最初から。」


「これが狙いだったのか。」


虚無の使徒は答えない。


ただ遺跡だけを見つめている。




その瞬間だった。


キィィィィィィン――


空を裂く高い鳴き声。


全員が見上げる。


太陽を背に、一羽の巨大な黄金の鷹が舞い降りてきた。


眩い黄金の羽が陽光を反射し、


その姿は神々しいほど美しかった。


オアシスへ案内してくれた、あの鷹だった。


魔物たちは一斉に足を止める。


恐れるように後退し始めた。


黄金の鷹は遺跡の前へ静かに降り立つ。


鋭い瞳が虚無の使徒を射抜く。


「これ以上は。」


「させません。」


静かな声。


しかし、その一言だけで空気が張り詰めた。




五人の虚無の使徒は顔を見合わせる。


そして同時に小さく頷いた。


「今日は退こう。」


「目的は果たした。」


黒い霧が足元から立ち上る。


魔物たちも次々と霧へ溶けるように姿を消していく。


最後に中央の虚無の使徒だけがベスを見る。


「神殿で待っている。」


その一言を残し、


五人は黒い霧とともに姿を消した。




静寂が戻る。


オアシスは姿を変えていた。


水は消え、


湖底だった場所には巨大な遺跡だけが静かに佇んでいる。


黄金の鷹はその遺跡を見つめ、小さく息を吐いた。


ベスたちは何も言わず、その背中を見つめていた。


ここから先に待つ真実を、

























まだ誰も知らなかった。

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