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バル  作者: 隣の猫
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アルメリア



砂漠を渡る風が、不意に止んだ。


オアシスを包んでいた穏やかな空気が、一瞬で張り詰める。


砂丘の向こうから、五人の黒衣の者たちが姿を現した。


同じ仮面。


同じ黒い外套。


その背後には、黒い霧をまとった無数の魔物が静かに歩みを進めている。


ガルドが剣を抜いた。


「総員、戦闘準備。」


レオンは大剣を肩へ担ぐ。


アイラは矢を番える。


リシアはノアを背中へ下がらせた。


ベスも静かに剣を抜く。


フェンリルの顕現はしない。


昨夜の模擬戦で消耗した身体では、解放状態の維持が難しい。




五人の中央へ立つ虚無の使徒が、穏やかに微笑む。


「最後の休息は堪能できたかな。」


その声音には敵意すら感じられない。


それが、かえって不気味だった。


ベスは剣先を向ける。


「なぜ封印を解く。」


「人が苦しみ、世界まで壊れているじゃないか!」


五人は微動だにしない。


やがて。


まるで鏡合わせのように、全員が同時に首を傾げた。


「……壊れる?」


五つの声が、寸分違わず重なる。


レオンが低く呟く。


「なんだ……こいつら。」


そして再び。


五人が同時に口を開いた。


「これこそが。」


「本来の世界だ。」


迷いはない。


疑いもない。


その言葉を、誰一人として信じて疑っていなかった。


ベスは静かに睨み返す。


「押し付けほど迷惑なものはない。」


返事はない。


五人はただベスを見つめているだけだった。




中央の虚無の使徒が、ゆっくりと右手を持ち上げる。


「では。」


「ささやかながら。」


「我らからの贈り物だ。」


黒い魔力が掌へ集まっていく。


狙いは灰鷹ではない。


オアシス全体を覆う透明な結界。


ガルドの瞳が鋭く見開かれた。


「狙いは結界か!」


次の瞬間。


轟音が響く。


黒い衝撃が結界へ叩き込まれた。


ドォォォォォン!!


目には見えなかった結界が、硝子のような音を立てて砕け散る。


無数の光の欠片が空へ舞い上がった。


一瞬の静寂。


そして。


黒い霧をまとった魔物たちが一斉に咆哮を上げる。


グオォォォォッ!!


結界を失ったオアシスへ、魔物の群れが雪崩れ込んだ。


ガルドが剣を振り上げる。


「迎え撃て!」


その号令とともに、



















灰鷹と魔物の激突が始まった。

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