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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第3章 クラスメイトをxxxします!
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23 乱入、Fクラブ

「おいジョニー、今日のあがりはどうしたんだよ?」



「……ああ、ちょっと、トラブっちまって……」



「なんだぁ? 初日からノルマ未達かぁ? オメエ、ノルマの倍以上の女さらってくるって、張り切ってたじゃねぇかよぉ!?」



「すまねぇ……今はちょっと、マズいんだ……」



「なにがマズいんだよぉ? 公園の掃除なんかしやがって……頭イカれちまったのか? おっ、あそこのキャンプにちょうどいいプリーストどもがいるじゃねぇか! ラウンドガールになりそうなのを2~3匹、さらってこいよ! そしたら今日のノルマ達成じゃねぇか!」



「かっ……彼女たちに手を出すわけには、いかねぇんだ……」



「ハァ? なに言ってんだオメエ? 手下使ってちゃっちゃとヤッちまえよ! ……なんだ、オメエ……? もしかして、ビビっちまってんのか? 『皆殺しのジョニー』とまで呼ばれたオメエが……いったい何にビビってんだよ!?」



「あー、ずいぶんでかいゴミを見つけたなぁ、ジョニー君」



「……なんだぁ、テメェ……? 変な壺のマスクなんか被りやがって……!?」



「しゃべるゴミかぁ。デカいばっかりで邪魔だから、元あった所に戻すとするか」



「や……やめろ壺仮面! 兄貴は『Fクラブ』の元、準チャンプ……! 俺よりずっと強いんだ……! お前が勝てる相手じゃねぇ……!」



「ははぁーん、ジョニー。オメエがおかしくなったのは、この壺野郎のせいか……オメエがここまでヘコまされちまうなんて、珍しいじゃねぇか」



「ああ、ジョニー君。どうやらその『Fクラブ』とやらがゴミの山みたいだね。ちょっと、案内してもらおうかな」



「フン……俺のかわいい弟分をヘコませて、タダですむと思うなよ……! 言っとくが……ジョニーのマッハストレートは、俺が仕込んでやったんだ……! ま、俺のに比べたら、まだまだだがな……!」



「なんだ、あのタコ踊りの師匠ですか……」



「……てめえっ! タコ殴りにしてやらあっ!」



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 俺は、ジョニーと兄貴を連れて地下の怪しげなクラブに来ていた。


 件の『Fクラブ』は、『天空族(スカイエン)の塔』のふもとにある、繁華街の中にあった。

 表向きは普通のクラブなのだが、奥で合言葉を言うと通され、怪しげな地下室へと案内される。


 そこには八角形の金網のリングがあって、むくつけき男どもの殴り合いを見ながら酒が飲めるという場所だった。


 筋肉質な男どもの拳が交わるたび、血と汗がほとばしる。

 そしてそのたびに、札束を握りしめた観客たちが熱狂する。


 実に男くさそうな場所なのだが、ニオイはひどくない。

 薄い霧のような紫煙が部屋じゅうにたちこめていて、それがお香のような匂いを醸し出していたからだ。



「で……その壺仮面さんとやらが、ウチの人間をふたりも連れて……一体なんの御用で?」



 リングを上から見下ろせる、吹き抜けのVIP席に案内された俺は、ここのボスであろうオヤジと対面していた。


 ダブルのスーツに葉巻、そして銀髪のオールバック。

 老獪なシワを刻み込んでいるオヤジは、マフィアのボスのような風格がある。


 「ウチの人間をふたりも」と言ったときに、俺の両隣に座っているジョニーと兄貴を睨みつけていた。


 兄弟はこの『Fクラブ』に来てからというもの、キンタマを抜かれちまったみたいに大人しくなっちまった。

 ボスにひと睨みされただけで、蛇を前にしたカエルみたいに青ざめている。


 俺は、蛇の睨みも気にせず切り出した。



「あー、お前さんがジョニーを悪の道に引きずりこんでいるゴミの親玉かぁ。ジョニーはまだ救いようがあるから、こっから抜けるよ。ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだ。それを言いにきただけ」



「なにぃ……?」



 俺の物言いに、ボスの額に稲妻のような青筋が走る。

 まぁ、怒らせるつもりだったので、ちょうどよかったんだが。



「……頭おかしいんじゃねぇか? ジョニーは将来有望なウチの選手なんだ。テメェみてぇな壺野郎に渡すわけがねぇじゃねぇか」



「えーっ、タダじゃダメってこと? じゃどうすりゃいいの? お金払えばいいの?」



「ガキが……裏社会のルールってやつを教えてやるよ」



 ボスは凄味をきかせながら、懐からナイフを取り出し……テーブルの上に放った。



「『オトシマエ』ってやつだ……ソイツで目ン玉のひとつもえぐるんだな」



「えっ、そんなんでいいの?」



 俺は嬉々としてナイフを取ると、隣にいた兄貴の髪を掴んで、動けないように押さえつける。


 兄貴にはさっき公園でさんざんツボを打ち込んでやったせいか、俺に対してすっかり怯えきっていた。

 髪の毛が千切れるのもかまわず身体をよじらせ、オカマみたいな悲鳴をあげはじめる。



「い……いやぁぁぁぁぁーーーんっ!? つつっ、壺仮面さんっ!? ゆ、許して、許してぇぇぇぇっ!?」



「いーじゃん、お前もさらった女どもが逃げられないように、目ぇ潰してきたって言ってたじゃねぇか。きっと女どももお前と同じくらい嫌がっただろ? でも許さなかったんだろ?」



「もうしません! もうしませぇぇぇんっ! 二度とそんなことしませんからぁぁぁぁーっ! 許してぇぇぇぇっ!?」



「おい、あんまり動くなって、動くとザックリいくぞ……!」



「ひぃやぁあぁあぁあぁあぁあぁあーーーんっ!?」



 ムリヤリ開かせた目玉に、ナイフの先端が触れるより早く……ヤツは股間から黄金色の液体を、口からはカニみたいな泡をドバッと噴出し、意識を強制遮断しやがった。



「あーあ、コイツ……アンタの顔を見て、ここを便所と勘違いしちまったみてぇだ」



 俺はソファから兄貴を蹴り落としながら、ボスに向かって言う。

 便器みたいな顔のボスは、スラム街にある便器みたいに……ひび割れた青筋を、幾重にも走らせていた。



「テメェ……! ナメやがって……! えぐるのは、テメェ自身の目ン玉なんだよ……!」



「えーっ? 俺の目玉? そんなの嫌だよ。痛いもん」



 ふと、階下のほうから大歓声が沸き起こる。


 どうやら、地下格闘がひと勝負ついたようだ。

 リングの中では、チャンピオンらしき男が敗者の眼窩に指を突っこんで、吊り上げながら声援に応えていた。


 リングの上には飛び込み台のような細長い梁が渡されていて、目に包帯を巻いた女が強制連行されているところだった。



「……なあジョニー、あの女はどうなるんだ?」



 俺の隣で路傍の石に徹しているジョニーに尋ねると、震え声で教えてくれた。



「あ、あの女は、『ラウンドガール』って言って、あの飛び込み台のところから投げ捨てられて……リングインするんだ。そして、勝者によって犯される……。この地下格闘はファイトとファックが1セットになってて……勝敗がついたあとも、観客を楽しませるようになってるんだ……」



「……なるほど、だから『Fクラブ』か……!」



 そして俺は、公園で聞いた『ノルマ』を理解する。

 あの女を調達することが、ジョニーに与えられた役割だったのか……!


 俺はナイフを放り投げながら、便器……じゃなかったボスのほうに注意を戻す。



「なぁ、俺があのチャンピンを倒したら、『オトシマエ』のかわりにしてくれるか?」



 すると、さっきまで血管が切れそうだったボスは、キツネにつままれたような表情になったあと……肩を震わせはじめた。



「ふっ……ふっはっはっはっはっはっ! こりゃいい! 我がクラブのチャンピオンに挑もうなどとは、やはり、本当に頭がイカれちまってるらしい!」



 大笑いするボスに、周囲にいる部下たちもつられて笑いだした。

 嘲笑に包まれるVIP席。周囲にいる客も、何事かとこっちを見てくる。


 隣にいるジョニーが、俺の肩を掴んできた。



「おい! いい加減にしろ! アンタが強ぇのはわかるけど……チャンピオンに挑んで勝てるわけねぇだろ! アイツは素手で百人殺したことがあるヤツだぞ!?」



「……いや、ジョニー君、慌ててはいけない。誰も挑むだなんて言ってないだろ?」



「な……なんだって?」



 ジョニーは俺の言葉の微妙なニュアンスを、理解できずにいるようだった。

 俺は、天井を指さして教えてやる。



「ちょうどこの真上に、ツボがあったんだ」



 ジョニーは立てた指を目で追うようにして、天井を見上げた。

 バカが見るブタのなんとやらで、ボスと部下もそろって顔をあげている。


 天井に刺さったナイフから、ビキビキとひび割れが走っていき……リングの真上にあったシャンデリアまで達する。


 直後、落下したシャンデリアに下敷きになるチャンピオン。



「よし、これで『オトシマエ』はついた。行こうか、ジョニー君」



 唖然とした表情でリングを見つめるゴミどもをよそに、俺はソファから立ち上がった。

次回、真の男とは…!


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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