↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
66/101

47 恋人キスごっこ

 俺は夜の公園でキスするカップルみたいに……マーメイズいちのギャルと、お互いの唇を貪りあっていた。

 瞼を彩るアイシャドウを見せつけるように、うっとりとした薄目をするアネモス。


 両腕を俺の首の後ろにまわし、腰をむっちりとした太ももで挟み込み……全身で俺を感じるようにしがみついている。



『お前……このカッコウで抱きつくのが好きなんだな』



 するとアネモスは、ニッコリと微笑んだ。



『へへ……こーやってフツーのオンナノコみたいに、アチュラチュなコト……してみたかったんだよねー!』



 アチュラチュ……?

 意味を尋ねてみたかったが、それよりもやらなきゃいけねぇことがある。



『よし、みんな……そろそろ御褒美は終わりだ。戦いの続きをするぞ』



 こういう場合、本当は唇を離すべきなんだが……離したら息ができなくなっちまうので、俺はそのままの体勢で言う。


 ……マーメイズたちは見事、ボートの海賊たちを退治した。

 その御褒美をせがまれて、俺は彼女たちとひとりずつ『恋人キスごっこ』をしていたんだ。


 いままで呼吸をするためにさんざんキスをしてたのに、それとこれとは別らしい。


 俺はトップアイドルたちをひとりずつ順番に、腰を抱き寄せて身体を密着させた。

 手を恋人つなぎで絡めあわせ、愛をささやきながら……甘い口づけを交わしたんだ


 それはそれで良かったんだが……そろそろ戦いに戻らねぇと、またボートがやって来ちまう。

 しかし彼女たちはまだ足りないらしく、すかさず四方向からブーイングを飛ばしてきた。



『えー、まだいいじゃん! もう一周イチャイチャしようよぉー!』



『さんせーい! アンコール! アンコール!』



『アルコール! アルコール! 旦那様とのキスって、酒みてぇにやめられねぇよ! ……酒飲んだことねーけど!』



『アンコール! アンコール! いつもファンの方からアンコールされる立場なので、楽しいです……!』



 こぞって手拍子されて、俺はしょうがなく要求を飲む。



『あー、わかったわかった。じゃあ……ちょっとだけ仕掛けをさせてくれないか? それが終わったらまたしてやるから』



『仕掛けって……なあに?』



 代表して尋ねてたきたミューティに、俺は答える。



『ヤツらを同士討ちさせて、沈めあってもらうんだ。まあ、ちゃちゃっとやってみせるから、適当な海賊船まで運んでくれるか』



 新妻のように、『はいっ、旦那様!』と素直な返事をするマーメイズ。


 よっぽど早く続きがしたいのか、四人の人魚(マーメイド)はあっという間に近くの海賊船まで俺の身体を運んでくれた。



『お前らはここで待っててくれ、すぐ戻るから。たまに海賊が落ちてくるかもしれねぇけど、前みたいにボコボコにしてやってくれよ』



 俺はマーメイズの肌からひさしぶりに離れ、海の中から浮かび上がる。

 ぷはっ、と海面に出ると、海賊船の上は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。



「おい、なんだ!? なにが起こったんだ!?」



「ボートが次々と爆発したうえに、乗ってたヤツらも沈んじまったぞ!?」



「もしかして、サメか!? サメにやられたのか!?」



「いや、ボートを爆発させるサメなんているかよ!」



「他になにがあるってんだよ!? 魔法か!?」



「いや、このあたりの海域は魔法封じの結界が張ってあるって、摂政のヤツが言ってただろうが!」



 やっぱり、摂政から差し向けられた海賊だったのか……。

 なんてことを思いつつ、俺は海賊船の船体をよじ登っていた。


 俺が常に身につけているグローブ。その右手側には、魔法猫であるディスペルシャのヒゲが織り込んである。

 これは魔法攻撃を跳ね返せる他に、こうやって壁に張り付ける能力もあるんだ。


 船体の横にある砲門のあたりまで登りつめたところで、船体めがけてひとさし指を突き立てる。


 ……バコォォォンッ!!


 ツボを突かれた壁がウエハースのように砕け散り、大きな風穴があいた。

 ちょうどいい大きさの出入り口ができたので、そこから船内へと躍り込む。


 薄暗い砲室の中には、冷蔵庫の裏のゴキブリみてぇに大勢のDQNどもが蠢いていた。


 男子校の運動部の部室を数倍ひどくしたような、すえた男臭さが鼻をつく。

 さっきまで、アイドルたちの柔肌の香りに酔いしれてたから……あまりのギャップに鼻がビックリして、曲がっちまいそうだ。



「なっ……なんだテメェは……!? ぎゃあああああっ!?」



 俺は腹立ちまぎれに、手近なDQNの襟首を掴んで海に放り捨てた。

 そして品定めをするように、残った奴らを見渡す。



「……うーん、想像してたより数が多いな……ちょっと減らすか」



「てめぇっ!? いきなり乗り込んできて、何言ってやがるっ!?」



「かまわねぇ、やっちまえーっ!」



 腰からサーベルやナイフを抜き、手斧や棍棒などを手に手に飛びかかってくるDQNども。


 俺はピーターパンのように壁の穴ギリギリに立ち、迫り来るヤツらを流れ作業のように海に落としていく。

 『バレットタイム』があれば、こんなチンピラの攻撃をよけるのは簡単だ。


 ゆるやかなナイフの一撃をサイドステップで楽々とかわし、すれ違いざまに足をひっかける。

 アクビの出るような棍棒の一撃をスウェーしてかわし、バランスを崩したところを腕を掴んで送り出す。


 土俵際で「おっとっと」と踏みとどまっていたら、後ろ足でケツを蹴り上げてやり、落ちないようにフチを掴んでぶら下がっていたら、その手を踏み砕く。



「くそっ! この狭いなかで、なんでカスりもしねぇんだ!?」



「のらりくらりと逃げまわりやがって!」



「一気に行けっ! 数の力で押し出してやるんだっ!」



 示し合わせたように、数歩後ろに下がるDQNども。

 腰を落とし、ラグビーみたいなスクラムを組む。


 呆れるくらいバレバレの体勢をとったあと、



「落ちやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!!」



 イノシシ小屋から逃げ出すイノシシのような、必死な形相のタックルで突っ込んでくる。


 俺はその様子を、直前まで頭を掻きながら眺めていた。


 まぁたしかに、砲室内には逃げ場はねぇけど……。

 外のほうにはいくらでもあるんだよなぁ……。


 インパクトの直前、俺は壁の穴から身を投げる。

 フチを掴んで、頭上を通り過ぎるイノシシどもを見送った。



「ははっ! そんなに慌てなくても、海は逃げねぇよ……! でも、人魚には気をつけろよ~!」



 船体を傾けるほどにドボドボとこぼれ落ちていく、海の豚たち。

 船がだいぶ軽くなったところで、俺は懸垂のようにして船内へと戻った。


 後ろのほうからは、さっそく人魚の餌食になっているヤツらの悲鳴が聞えてくる。



「あ~あ、だから、人魚には気をつけろって言ったのに……お前らはああなりたくないよな?」



 俺は背後の悲鳴を親指で示しながら、残った二匹のDQNに近づいていく。



「ひ……ひいいいいーーーっ!? なんだコイツ……なんなんだよコイツ……!」



「よっ……寄るなっ……! 寄るなバケモノっ……!」



 どいつもこいつもすでに腰を抜かしており、水たまりの跡を引きずりながら這い逃げている。

 壁際まで追い詰めたところで俺はしゃがみこみ、二匹の首根っこをガッと掴んだ。



「ぎいっ!」「ひいいっ!?」



「……ちょっと協力してくれねぇか? 軽~く砲撃してほしいんだ」



「ほ……砲撃だとぉ!?」「だ、誰が、てめぇなんかに協力を……ぎゃあっ!」



「頚椎……首の骨をちょっとだけイジった。ほんのちょっとだけな。お前は息が苦しくなってきただろ? そっちのお前は腕に焼印を押されてるみたいな痛みがあるはずだ」



「かっ……くはあっ!?」「ぐっ……ぎぎぎぎぎぎぎぃっ!?」



 酸素が足りない金魚みたいに口をぱくぱくさせるDQNと、苦悶の表情で腕を押さえているDQN。



「ここからさらに頚椎を刺激してやると、どうなるかわかるか……? お前は完全に息ができなくなって、お前は首から下が一生動かなくなるんだ……!」



「「ひぐっ……!? ひいいいいいいーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?」」



 二匹はまるで双子みたいにソックリな動きで、涙をドバッと溢れさせ、首を振り回しはじめた。

 もう、DQNならではのカラ意地は品切れのようだ。早ぇな。



「じゃ、それぞれ一発ずつ、お仲間の船に弾を撃ち込んでくれるか? 停泊してるから当てるのは簡単だろ?」



 それから少しして、



 ……ドォォォォーーーーーーーーーーンッ!! ズドォォォーーーーーーーーーーンッ!!



 船体をビリビリと揺らす、号砲の二連発を背にしながら……俺は海へと飛び込んだ。


 ザブンと着水するなり、人魚たちから襲いかかられたので、慌てて「俺! 俺だよ!」とジェスチャーした。


 すかさず我先にと抱きつき、唇を重ねてくる、俺のかわいい人魚たち。

 俺は約束していたとおり、恋人のキスを再開する。


 海上では、砲撃の音がやまなくなっていた。

 予想以上にあっさり仲間割れをし、お互いの船を攻撃しはじめたようだ。



『……俺、海戦って見たことねぇんだよ、せっかくだから見てみようぜ』



 俺はマーメイズと連れ立って、海戦がよく見える場所へと移動する。


 海上では、さっきまでは意気投合していたDQNどもが……お互いの砲撃でミンチになり、ダーツ銃でハチの巣になり、サーベルで首を斬り落としあい、火炎瓶で火だるまになったりしていた。


 それはまるで、殺し合うチンパンジーのような、滑稽なショー。


 こっちはほとんど何もしていないのに、海賊船は一隻、また一隻と沈没していく。

 そのおかげで手持ち無沙汰になった俺たちは、たっぷりと『恋人のキスごっこ』をすることができた。

次回、海賊たちのボスが…!?


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★新作小説
ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?
本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


★クリックして、この小説を応援していただけると助かります! ⇒ 小説家になろう 勝手にランキング

script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。