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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
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06 弾丸の嵐

「な……なんだよ……マジになってんじゃねぇよ……きめえんだよ……」



 俺の睨みを受けたチャラ男は、一歩後ずさる。

 無言のまま一歩、距離を詰めなおすと、



「ひ……ひっ……!? く、来るなっ!?」



 あっさりと強気の仮面が剥がれた。


 チャラ男は後ずさりながらサーベルを投げ捨て、腰のホルスターから短銃を抜こうとする。

 装飾でゴテゴテなので途中で何度もひっかかり、挟まった服ごとビリッと引っこ抜いていた。



「コイツが見えるか!? 『クーゲル』だ! 超イケてんだろ……!?」



 ボロ布が付いていて台無しだったが、チャラ男は俺に銃を向けた途端、余裕を取り戻した。



「へへっ、ビビっちまって、声も出ねぇってか。コイツは名銃『ティアドロップ』……! コイツの前では、どんなヤツでも涙を流すんだ……!」



 そして聞いてもいないのに、銃の自慢話を始める。



「男の頭に突きつけてやりゃ、どんな大男でもひざまずいて、泣きわめいて命乞いをする。そして女には、コイツの先っちょでアソコをほじくってやんだよ……そうすればどんな女でも、よがり泣く……!」



 本当に下ネタ好きだな、コイツ。



「さぁ、来いよ……! そしたら二匹とも、泣かせてやっからよぉ……!」



 挑発的に差し伸べられた手が、クイックイッと動く。


 来るなと言ったり、来いと言ったり……忙しいヤツだな。

 呆れた俺は、シャラールみたいに鼻息を返してやった。



「フッ……やっぱりお前は、男の風上にも置けねぇヤツだな……。モノに頼らねぇと、女ひとり満足させられねぇなんてな……。俺なら指一本で、コイツを天にも昇る気持ちにさせてやれるぞ……なぁ?」



 俺は、腕の中にいるシャラールに同意を求めたが、「なに言ってんのコイツ」みたいな顔をされてしまった。

 しょうがないので、腰に回しているほうの手で、ツボを押してやる。



「そうだよな? ……なっ?」 ぐいっ



「あんっ!?」 びくんっ!



 可愛い声で返事をしてくれた。

 思わず出てしまった声が恥ずかしかったのか、シャラールは真っ赤になりながら手で口を押さえる。


 チャラ男はというと、銃口がぶれるくらいに怒りに震え上がっていた。



「……ぐぎぎぎぎ……! 俺をここまでナメやがったのは……お前が初めてだぜ……! 炎に包まれて……踊りながら死にやがれっ!!」



 ヤツの引き金にかけられた指が、ゆっくりと動く。

 しばらくして、判決を下す木槌のような音とともに、撃鉄がおりる。


 銃口から炎が噴出する様を……俺は儚い線香花火のように眺めていた。



 バシイッ!!



 刹那、発射された魔法弾は、俺の右手におさまっていた。

 正確には、飛んできた弾を俺がキャッチしたんだ。


 魔法弾というのは薬莢の形をしているんだが、薬莢自体は発射後に燃え尽きる。

 だから銃口から出てくるのは純粋な魔法のみ。炎の弾丸なら、火の玉(ファイヤー・ボール)が飛んでくるようなもんなんだ。


 だから、俺の右手にある……青い魔法猫、『ディスペルシャ』のヒゲが織り込まれているグローブで……受け止めることができるんだ……!


 ちなみに左手は、物理攻撃の効かない赤い鳥……『アブソーバード』の羽根が編み込まれてるんだが、いまはシャラールによって封じられている。



「な……なにっ!?」



 俺の曲芸じみた弾丸キャッチに、腰を抜かしそうな勢いで後ずさるチャラ男と、ざわめく観衆。



「だ……弾丸を、受け止めたぞ……!?」



「くらったら、火だるまになるはずの弾なのに……鋼鉄の鎧や盾でも、延焼して大変なことになっちゃう弾なのに……!?」



「でもあの人、片手で握りつぶしちゃったよ……!?」



「ゆ、夢でも見ているのか……!?」



 俺は恐れおののくような声を聞きつつ、チャラ男に向かって歩いていく。



「どうした? 泣かせてくれるんじゃなかったのか?」



「ひいいっ!? く、来るな、来るな、来るなぁぁぁぁっ!!」



 化け物でも見るかのような怯えきった顔で、銃を乱射するチャラ男。



 ……ダン! ダン! ダァンッ……!!



 スローモーションで撃ち出される、赤い弾、青い弾、黄色い弾。

 火炎弾、氷結弾、電撃弾か……と俺は心の中でつぶやく。



 バシッ! バシッ! バシィィィツ!!



 弾けるような音とともに、三連射を受け止める。



「う……ウソだっ! ウソだっ! ウソだあああああっ!? 魔法使いのババアから奪った銃が、効かないなんてっ!? 百人の兵士相手でも、これがあれば負けなかったのに!! ありえねぇ!! ありえねぇんだよぉぉぉぉっ!!」



 とうとう泣き出すチャラ男。

 駄々っ子みたいに顔をイヤイヤと振って、涙と弾を撒き散らす。


 雨のように迫りくる色とりどりの弾をさばきながら、俺は「いや、効かなくはねぇよ」と内心思っていた。

 身体に当たれば、他のヤツらと同じように火だるまになるし、凍りつくし、痺れる。


 見切って全部止めてるから何ともないだけなんだが……実をいうと、それすらも俺本来の能力じゃねぇんだ。


 『バレットタイム』……覚醒系のホルモンを刺激して、弾丸ですら遅く見えるようになるツボを押してるんだ。



「う……うそ……弾が……シャボン玉みたいに……ゆっくりに……見える……!?」



 俺の隣で、キツネにつままれているような声がする。

 さっき、シャラールにも同じツボを押してやったんだよな。念のために。


 俺は、パニック気味のチャラ男に対し、じりじりと距離を詰めていく。

 その最中、ガンガン飛んでくる弾のうち、いくつかを手ではたいてチャラ男の手下どもに当てた。


 手下どもはチャラ男を援護するべく、ステージにあがろうとしているのだが……俺がはじいた弾に当って次々と燃え上がり、凍り付き、痺れていく。


 チャラ男がそれに気づいて、撃つのを止めたらヤバかった。

 さすがに大勢と接近戦をしながら、弾丸を受け止めるのはハードすぎるからな。



「や……やめっ! 撃つのをやめ……ギャアアアアアアアアアアアーッ!?」



「でないと、近づけませ……ウワアアアアアアアアアーーッ!?」



 部下たちも懇願しているのだが、恐怖に煽られたチャラ男の耳には届いていない。

 俺は、ボスが次々とパスしてくれる弾丸を、さらに雑魚にパスしてやった。


 ステージの下は、魔法弾を受けた雑魚どもが苦しむ姿で、地獄絵図のようになっている。

 ダンスをさせられていた参加者はすでに避難しており、遠巻きに戦いの様子を見ていた。



「す……すごい……魔法弾を跳ね返して、他のヤツに当てるなんて……!」



「あんな戦い方、見たことねぇぞ!?」



「そりゃそうだろ! あんなこと出来るやつ、この世にいるか!?」



「いねぇよ! でもあそこにいるだろ!! 弾丸をお手玉みたいに軽々と扱ってる、とんでもねぇヤツが!!」



「見た目はさえない少年みたいなのに、弾丸が効かないって……どんな超人だよ……!?」



 ステージの端まで追い詰められたチャラ男は、とうとう足を踏み外して転落した。

 これでようやく大人しくなるかと思ったが、



「ウギャアッ!? う……うわあああああっ!? ま、ママァーっ!!」



 四つん這いのまま逃げ出した。

 無駄なあがきを……と思っていたのだが、



「な、なによアイツ!? 異様に逃げ足はやいわよ!?」



 シャラールも目を剥くほどのスピードで、ダンス会場から逃げ出すチャラ男。

 野犬狩りから逃れる野良犬さながらだった。



「このままじゃ逃げられちゃうわよ!? なんとかしなさいよっ!!」



 シャラールから急かされて、俺は頭をフル回転させる。


 追いかけてもいいんだが、二人三脚状態で追いつけるとはとても思えない。

 街にいる人に呼びかけて、捕まえてもらうのは……ダメだ、相手は銃を持ってるキチだ。


 もはや……俺じゃどうしようも……いや、まてよ。

 名案を思いついた俺は、背中のリュックにくっつけてあったアーチェリーを取り出し、シャラールに差し出した。



「これで……ヤツを撃つぞ!」

次回、決着!

シャラールがついにデレるので、ご期待ください。

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