37.VSホッキョクグマ・再戦 その3
サードレベルスキル【土蜘蛛の呪い】
一瞬で体内に鵺を増殖させ、糸状にして放出するスキル。
粘着力があり、強度も十分。
蜘蛛の糸のように活用できるし、大半のプレイヤーやエネミーはこれで捕獲できる。
このシロクマさんはその大半に含まれていないというだけで……。
ただ、この糸。通常の糸と何が違うと言うと、意図を含められる。
糸だけに。
糸だけに意図を含められる。
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とにかく。
チョマ遺跡にいた鵺同様、遠隔操作が出来るということだ。
肉体が硬直している状態でも、鵺の糸は操作可能だ。
だから、シロクマさんが跳び込んで来た瞬間、自分の足元の鵺で自分を飛ばした。
なんか、こう、弓で矢を飛ばすみたいな、ゴムを使ったトラップとか、投石機のような感じ。
あんな感じで自分を吹き飛ばして、シロクマさんの股を抜けていった。
あとは滑空。床と空を飛べば、十分な距離逃げることが出来る。
まあ、シロクマさんの隕石パンチが強すぎて、その爆風で思ったより遠くに飛んじゃったけど。
「……どうやって避けた」
「ん? ひみつ」
まだまだ活用するんだからネタバラシをここでする意味はない。
「ああ、そうかよ」
――チュインッ!
はえ?
なんか飛んできたんですが……なに?
――チュインッ!
――チュインッ!
――チュインッ!
ちょっ! まっ! ええ!?
次々に飛んでくる謎の物体。
空気の振動を察知して、未来予知をして、ようやく避けられる程度の速度を持った攻撃。
なんなんなん!?
「なになになに! なにしてんのこれ!」
「おっ? ひみつ ってやつだ」
「うざっ!」
けど、シロクマさんが手元で何かしているのは確認できた。
鉄の拳がいまだに赤く燃えている。
その拳から、赤いなにかが――
――チュインッ!
あぶなっ!
「噓でしょ……その鉄の拳、脱皮するの」
「身体の一部だからな。新陳代謝さ」
ようやくわかった。シロクマさんの拳を覆っている鉄が剥がれている。
シロクマさんはそれを指で弾いて飛ばしているんだ。
――チュインッ!
指の力だけでこの威力なの!?
「厄災の星は、堕ちてから始まんだよ」
「聞いてないけど!」
「堕ちたときにはだいたい死ぬからな。おめでとう、この先が見れるプレイヤーは滅多にいないぞ」
「嬉しくない!」
本当はちょっと嬉しい。
トッププレイヤーに認めてもらえたような気がする。
だからといって、喜んでいる場合じゃない。
近接攻撃さえ気を付けていればいいって思ってたのに、当たり前のように遠距離攻撃までしてくる。
このシロクマさん、やばすぎ。
……でも。
このシロクマさんでさえオルカを倒せていないんだ。
シロクマさんに負けるようじゃ、一生オルカに届かない。
私は、あいつをぶっ倒すためにプレイしてんだもん!




