36.VSホッキョクグマ・再戦 その2
――大気圏を突き抜ける隕石のように
――鉄の拳が赫く燃える
【 サードレベル「北極彗星」 】
――隕石は大地を破壊し
――その熱で全てを溶かす
鉄腕が燃える。比喩表現ではなく、鉄で覆われた腕が真っ赤に燃え上がる。
それは大気圏を突き進む隕石のように、熱を帯び、同時に質量が増す。
神速鯱でさえ、その攻撃をまともに受ければ半身を焼かれる。
……まあオルカは怯むことなく突撃して来るから、二撃目を入れる前に逃げられるか吹き飛ばされるわけだが。
当然、それだけの威力の攻撃、まともに当たらなくても、近くで放たれれば衝撃波や熱風だけで瀕死になる。
だから、私はこのサードレベルスキルで対抗する。
――闇に潜む形を持たぬ怪物
――古より伝わる魔物の呪い
【 サードレベル「土蜘蛛の呪い」 】
――放たれた糸は金剛石より硬く
――全てを捕える呪いと化す
全身の羽毛から放たれる菌糸。鵺が糸状に縒り集まり、蜘蛛の巣状に広がっていく。
さすがにシロクマさんも驚いた顔。
でも、勘違いしているんだろうな。これが【蜘蛛の糸】だって。実態は菌なのにね。
まあこのスキル自体は菌だろうと糸だろうと、結果は同じ。
放たれた糸が周囲に巣を張る。
シロクマさんの身体にも糸がへばりついてその動きを阻害する。
阻害……しない!?
「こんなもんで俺の熱を止められるかよ!」
焼かれる糸。腕の拘束は無意味。束ねて腕を巻き取ろうとしても、一秒たりとも持たない。
なら、足、腹、首、肩、とにかく熱が無い場所に糸を巻き付ける。
けど全然止まらない!!
「ば、馬鹿力ぁ!」
「おう、誉め言葉だぜ?」
糸を巻き付けて地面と繋いでも、その地面ごと引き剥がしてくる。
サードレベルスキルを放った直後の硬直時間に、シロクマさんが跳んでくる。
やばいやばいやばい。
硬直っていっても、システム上のもの――つまり硬直時間が設定されているものじゃなくて、単純に糸を放出し尽くした後の脱力によるもの。
だから、多少は動けるし、多少は無理がきく。
だからといって、多少程度で逃げられる距離には限界がある。
「あばよ」
拳が振り下ろされた。
隕石の衝突の如く、凄まじい破壊力。
先ほどのちょっとしたクレーターなんか目じゃない。普通に大災害だ。
空中から見下ろしながら、爆発事故でも起きたんじゃないかという惨状を眺める。
「……どうやって避けた」
「ん? ひみつ」
鵺は便利なのだよ。




