35.VSホッキョクグマ・再戦 その1
「レベルサードになったみたいだな」
「うん」
「イベントも終えて、新エリアも発見して、随分調子良さそうだな」
「ありがと」
「だが、俺に挑戦するには早いんじゃねえか?」
目の前に立つ巨大な熊。
白い毛皮で覆われた巨躯と金属で固められた両腕。
通称、鉄腕熊ことホッキョクグマのゴウキ。
北極エリアにおけるトッププレイヤーと言えば彼のことを指す。
こないだのイベントで行われた配信者との戦いでは、レベルが上の三人を相手に一方的にねじ伏せる偉業を見せた。
あの配信を見たリスナーたちからは「北極エリアは異常」「頭おかしい」「ボスエネミーの方がマシ」と言われた。
そのトッププレイヤーに、私は喧嘩を売った。
「勝ち目がないと挑戦しちゃダメなの?」
「勝つつもりが無いなら挑戦すんなってんだよ。売名のために戦うもんじゃねえよ」
「なら大丈夫だよ。私だって北極のアニマルだからね」
ああ――と笑うようにホッキョクグマが息をつく。
そう。私たちはいつだって挑戦者。勝ちたい気持ちが強いから、北極から逃げない。
私の本気が伝わったのか、シロクマさんは臨戦態勢に入る。
四肢を氷の大地に着け、爪を食い込ませる。
毛を逆立ててるのは威嚇ではない、膨張する筋肉が毛穴を絞り、自然と毛が立つ。
「正面から俺に戦いを挑む奴は久しぶりだ。それが、こんなチビペンギンとはな」
「久しぶりついでに、PvPの敗北もプレゼントしたげる」
「ほざけ――!」
前進。
シロクマの巨大な身体が飛び込んでくる。
地面を滑り、空を飛び、これを回避。だが、シロクマさんも回避は当然織り込み済み。
彼の狙いは私への攻撃じゃない。環境破壊だ。
――ズドンッ!
サードレベルスキルすら使わず、大地が破壊される。
ひび割れた地面。クレーターのように凹む。
飛び散る氷。一発でも掠れば致命傷。
雨粒を避けるかの如く神回避。私って天才? いいえ、五つ星センスのお陰です。
「ちゃんと一対一で来るたあなぁ。勇気か蛮勇か。策略か馬鹿か」
割れた地面を見ながら、シロクマさんは笑った。
他にプレイヤーが隠れていないかを見たんだろう。確かに、こんなに破壊されたら隠れようがないもんね。
「一対一で倒す方が気持ちいいじゃん」
「ハッ! てめえ、俺より戦闘狂じゃねえか!」
「そんなことないもんねー!」
ゲームは楽しむもの。袋叩きで勝ったとして何が楽しいの。
無双ゲームなら一気に吹っ飛ばす爽快感とかあるけど、やっぱりこのヒリツキからの勝利は格別。
「遠慮なくいくぜ!」
「私も遠慮しないよ!」
「「サードレベルスキル!」」
同時に能力を発動する。




