34.レベルサード
イベントで草原エリアのプレイヤーを殲滅して、チョマ文明を発見したことが経験値として蓄積されたのか、私はついにサードレベルに達していた。
そして、選択肢に現れた【鵺】の文字。
肉体強化でも肉体変化でも自然能力付与でも超能力付与でもなく【鵺】
条件達成時に内容が分かるというが、その内容は
>鵺の力を宿す
それだけ。
【 「鵺の力」について検索しますか 】
・はい
いいえ
・
・
・
【 検索結果「鵺の力」について情報はありません 】
【 掲示板を検索しますか 】
はい
・いいえ
こんな調子だ。
掲示板を検索したところで、
「鵺ってなに?」「妖怪じゃん?」「既に妖怪だらけなのに」「人間じゃね?」「人間出してどうするの」「人間やめたくてゲームしてんのに人間になってどうするの」「擬人化反対」「ヒト化を許すな」「ケモに正義を」
といった異常者の会話しか出てこない。
鵺にファーストコンタクトしたのが私なんだから、鵺の情報を私以上に分かるプレイヤーもいないはず。
だから、何が起こるかなんて全く分からない。
「でも、選ばない選択は無いよなぁ」
せっかく出て来たレア強化なんだから、やるしかないでしょ。
【 サードレベル「鵺」 】
【 鵺の操作が可能になります 】
【 四つ星効果(SS) 鵺をより精密にコントロールできるようになりました 】
【 五つ星効果(SS) 他鵺の通信をハッキング可能になりました 】
【 サードレベルスキル「神経伝達砲」を習得しました 】
【 サードレベルスキル「土蜘蛛の呪い」を習得しました 】
【 条件が達成されました 】
【 称号「鵺」を得ました 】
【 体内で鵺を生成できるようになりました 】
【 体内の鵺を放出できるようになりました 】
えええ……。
いや、なんか、よくわからないけど、なんか、なんか気持ち悪い。
ハッキングとか呪いとかなに。こわい。
見た目とか変になってない?
ええっと、メニュー画面から、視点をFPSからTPSにして……あ、うん大きな変化はなさそう。
身体にカッコイイ模様が入ってるくらいか。
全身にこの模様あったら怖いけど、控えめだからオッケイ。
それから、鵺の生成ね。
【 鵺を生成しますか 】
・はい
いいえ
ぬおっ! え! なんかむずむずする!
身体中むずむずする!
【 鵺を放出しますか 】
・はい・はい・はい・はい・はい・はい・はい・はい・はい・はい・はい
――バシュゥ!!
身体の模様を通って、内側から菌糸が放出された……あ、なんか爽快感。
溜まってたものが抜けてく感じ。ちょっと疲れと心地よさが頭の中にじわーって溢れる……。
ちょっと好きかも。
……。
……。
……いやキモいな。
三人称視点で見なきゃよかった。いや早いうちに客観視出来たから良いのか?
ペンギンの肉体を中心に、白い粘液が放出して怪物のように形作られている。
キモい。
ええっ、これなに。化物じゃん。ペンギンのバケモノじゃん。
「ぶぎゅー!」
なに!? 変な声!
えっ! なんかデッカいオオカミがいる! やばっ、襲われたら死ぬぞ! 逃げなきゃ!
翼を動かして空を飛ぶ……。
わお。
粘液が大きな翼になって、これまでより遥かに巨大な肉体で、より速く遠くに飛べる。
粘液に見えるけど、糸の集合体。織物のように糸同士が絡み合って、自分の思い通りの形が作られて行く。
「もしかして鵺って、めちゃくちゃ便利?」




