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アニマルユートピア・ワールドコネクション  作者: 牧屋へいり


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32/40

30.追跡者

 称号「大地を泳ぐ者」の効果で地面を滑ることが出来る。


 ありがたいことにこの建物内でも使用できている。


 草原エリアの木の上だと効果がなかったりするが、何で判定しているかはちょっとわからない。


 ただ潜行距離があまりにも浅いため、潜って下の階に行ったりは出来ない。


 鵺の投擲はかなり早い。早いし速い。


 未来予知というか行動予測が無ければもう何度死んでいたか……。


 行動の隙を見ながらステータスチェックを頑張っているが――



 エネミー ◇ 鵺

 分類 ◇ 鵺:■■■■■■

 生息域 ◇ ■■■文明エリア

 食性 ◇ ■食性、■食性、■食性



 情報が伏せられ過ぎていて何も分からない。


 狩猟数に応じて公開されるステータスは多くなるが、こんなに伏せられているのは初めてだ。


 オルカに関して言えば、狩猟数が少ないけど接敵数が多いから、ある程度の情報開示がある。


 落ち着いたタイミングで、メニューを開いて、動物図鑑をチェックすれば解説まで読める。


 つまり、まあ、このエネミー鵺は、他のプレイヤーにこれまで会わないで来たのだろう。


 弱点(ウィークポイント)は……え?



 ――ボッ! ボッ! ボッ!

 ――ズガンッ! ズガンッ! ズガンッ!



 うおっ、うおぉ、うおぅ!


 やたらめったらに石を投げてくる。施設の保全と言う概念はないのか。


 知性的な立ち姿なくせに、行動は蛮族。文明は滅んだんだね。


 そんなことより、弱点だよ弱点。全く光らんのだが。


 こいつぁー困った。弱点がないアニマルは始めてだ。アニマルでいいのかこいつ?


 弱点が少ないとか、「どうやって攻撃せい」って感じの位置に弱点があるやつはいたけど、全く無いのは始めて。


 これがどんな意味をしているか?


 勝てないってこと。やれやれ。


 星ゼロパワーの私は弱点をピンポイントで攻撃することで、やっと相手にダメージを与えられる。


 一ツ星耐久ならまだなんとかなる。ギリギリで、本当にギリギリでなんとか出来る。


 相手は鵺。どんなステータスか分からないけど、時々破壊した建物の破片が頭に落ちてるのを見ている。


 頭に当たるけど意に介さない。つまり一ツ星はあり得ない。


 残念無念また来週。


 これはもう逃げるしか無いのだけど……。



「なんでこんなに追跡できるの!」



 飛行したり、音を立てずに建物の裏に回ったり、フェイントしたり、音に紛れて遠くに逃げたりしても悉く追跡される。


 いや、無理。体力もたないって。


 暗闇だから視覚じゃない。音に紛れても見つかるから聴覚でもない。


 匂いだろうか。それとも蛇みたいに体温で感知してるのか。


 人間にピット器官つけますか? あ、こいつ人間じゃないや鵺だわ。じゃあありえるの?


 思い切り離れて射線を切ってちょっと休憩して、接近されてまた逃げて飛行や滑空したりして、体力温存しつつ行動しても、それでも限界は近い。



「なんなんだよもう!」



 かなりの距離を逃げたと思うが、当たり前のように鵺はやってくる。


 時々止まって辺りを確認……してない?


 あれ。そういえば、こっちを見失う瞬間はあるけど、周りを確認するような仕草は無いぞ。


 でもしばらくするとすぐにこっちに気付く。


 生き物の行動として違和感がある。


 アニマルユートピアのエネミーたちは、そういうところをちゃんと作り込んでいる。


 ハピライの技術や知識を変な方向に振り切ってるだけで、生物の造形には真摯にふざけてる。


 だから、あの動きにも意味はあるはず。



「あ、もしかして……」



 アニマルユートピアの世界で人間が出てきたから、そういうもんだと思ってたけど、もしかしたらそうじゃないかもしれない。


 改めて観察をする。



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