28.鵺
:結局さ、「鵺」ってなに
:未実装データってのが通説
:もはや定説
:鵺ってキメラってことでしょ
:でもフォースレベルまで全部肉体変化してるやつがもうキメラだからなぁ
:ライオンに山羊の角、大鷲の翼、尾っぽが蛇
:そんな奴いるの
:山脈エリアのジェルマンさん
:通称「山キメラ」
:他にも海キメラ砂キメラがいます
:キメラ派閥ェ……
:だから鵺がキメラって解釈だと「えーいまさらぁ?」ってなるんだよね
:妖怪って解釈は?
:キメラも妖怪だろ。
:キメラじゃなくても妖怪みたいなやつらばっかりだけどな
:逆にさ、アニピトで妖怪だって言えるのなに
:あり得ない生き物でしょ?
:空想上の生き物
:空飛ぶ鯱もいる世界に空想を持って来るな
:リアルなフィクションだからな、アニピト。
:ワルコネな。ハピライはリアルだから。
:フィクションではあるだろ
:あ
:なに
:いや、でも、これはつまんないか
:だからなに
:そういう勿体ぶり方ってキモいよ
:モテないだろ
:陰キャだろ
:酷くない!?
:思わせぶりな態度がいけない
:いや、アニピトであり得ない生き物、いたなあって
:だから、なに、結論をさっさと言え
:あ、はい
:なのでー、ええっと
:つまりは、ですね
:人間じゃね?
☆ ☆ ★ ☆ ☆
【 ■■■文明――第一市街地エリア 】
伏字にされているが、重要な部分はそこじゃない。
文明があって、ここはその市街地だということ。
センスを全開にして、周囲の様子を探る。
ボロボロの岩肌――これは私と一緒に落石してきた地面。
その向こう側に、規則正しく並んだ壁。
崩れているものも多いが、自然に出来たとは思えない直線と曲線で組み立てられている。
全域を感知できないが、感知できる範囲でも、ここが人工的に作られた場所だと理解できる。
「え。やばぁ……」
なんだかワクワクしてきた。
公式サイトにはエリアが七つしか表示されていないのに、その七つとは明確に異なるエリア。
これは隠しエリアだ。
……とはいっても、公式サイトは当てにならない。だってほのぼのハートフルゲームみたいにうたってんだから。詐欺です。金返せー。いや、結局ハマってるから良いけど。
――コツン。
遠くで音がした。
なにかが居る。
意識を集中させ、何がいるのか探る。
「……え、嘘でしょ」
【 エネミー「鵺」を捕捉しました 】
鵺という表示を見て、違和感を深める。
肉体の輪郭を音や気配で感知できるが、私が捕捉したこのエネミーは私の知る動物とは違う。
いや、むしろ知っている。知りすぎている形状の動物だ。
「なんで、人間がいるの……」
遠く、建物の影、鵺と呼ばれる人型のエネミーが近づいてくる。




