27.隠しエリア
地面に弱点がある。
もしかして、この地面って巨大エネミーだったりするのだろうか。
いや、そうだとしたら索敵に引っ掛かるはずだ。
じゃあ、この弱点はいったい何なのだろうか。
「ってうおっ!」
キツネ型の死骸動物群が跳んできた。
地面の弱点に気を取られていて、少しだけ回避が遅れてしまった。とはいえ、十分な距離を保った回避は出来ている。
キツネは頭から地面に突っ込んでいき、そのまま上半身が砕ける。
死骸で腐っているせいで、肉体は脆い。
犬神家の一族のスケキヨないし、雪に頭を突っ込んだキツネのように下半身だけが地面から露出している。
埋まっているのではなく上半身が無いだけなのだが……。
肉体変化で火を起こせる動物や、サードレベルスキルで炎系統の技が使える動物なら彼らを駆逐できるが、残念ながら私にその能力はない。
襲って来るレギオンの攻撃を避けるだけしかできないのが現状。
ちゃんとそっち側に思考を裂きつつも、弱点について考え――
「うん無理だ」
コイノボリを立てながらレギオンを警戒できるから並列思考ができないわけじゃない。
だけどそれは作業だから何とかなること。
考察とか、深い思考をしようとすれば、それなりに集中力が使う。
分からなければ行動しよう。ゲームなのだから死ぬわけでもない。
「よーし、とりあえず、いつものやついくか」
敵動物の弱点を突く攻撃。
地面を滑走して加速して、空中を飛んで勢いづけ、狙い定めて嘴ダイブ。
――バゴッ! ピシッ……!
おっ、ヒビが地面に走った。それも広範囲に……広範囲、に……。
「ちょっと広すぎじゃない?」
それこそ、フィフスレベルの亀さんがすっぽり入るくらいデカい亀裂。
それが、割れ、崩壊し、落ちていく。
「あ、無理無理無理無理、やっちゃった」
逃げ場がない。地面と一緒に落下していく。
落石に跳び乗って逃げられるか? いや、無理。どのコースの先にもレギオンが居る。
あいつら数だけは多いからなあ。
飛行して逃げる? 私の飛行距離じゃあ穴の外には届きそうもない。
そうこう考えているうちに私は重力に従って落下していく。
逃げ出すことより、落下で死なないことに集中しよう。
どのぐらいの深さがあるだろうか。耳を澄ます。底に岩が当たる音は聞こえない。
え。それは深すぎない?
出来るだけ落下が遅くなるよう、上の方で落ちてる岩に乗り換えているけど、ううん、まだ聞こえない。
だんだん光が消えていく。見上げると穴が小さくなっていく。塞がっているんじゃない。遠近法の問題だ。
ちょっと待って、あの範囲の穴が、もうあんなに小さいの? どんだけ深いのこの穴は。
――……ズゥン。
あ、聞こえた。底に落ちる地面の音。
薄明かりで視界が制限されているうえ、下から土埃が舞い上がる。
ありがたいことに、次々聞こえる岩の衝突音が、周囲に反響して底の空間の輪郭を教えてくれる。
3、2、1――今だっ!
ジャンプして滑空。空を飛行して地面への衝突を避ける。
そこの空間は思ったより広く、落石に巻き込まれない位置まで離れることが出来た。
暗い空間。音と匂いだけが頼り。
いったい、ここは――
【 ■■■文明――第一市街地エリア 】
「え?」
アニマルユートピア・ワールドコネクションに存在するエリアは七つ。
そのどこにも当てはまらないエリア名がポップアップした。




