25.それぞれの決着 後編
――火山エリア
「ふふーん、まさか直接乗り込んできてもらえるとはねっ! こないだのリベンジ、させてもらうよ」
「リベンジ? 誰だてめぇ……ああ、なんか、変な声上げてた犬がいたな」
巨大なオオカミと同等の体躯を誇るホッキョクグマ。
灰色の煙が立ち上る火山エリア。黒く染まる大地の隙間からは灼熱の溶岩が時折噴き出してくる。
「パンドラちゃんは」
「ぼくたちが」
「「まもるっ」」
オオカミの横には、これまた大きな体躯を持つ二匹の動物が並ぶ。
全身の皮膚が鎧のように黒く染まったアフリカゾウと、体表がチリチリと燃えているワシミミズク。
「アップル・O・パイ氏! ゲンジなプリン氏! 打合せ通りに行くよ!」
珍妙な名前の二人のプレイヤーは、オオカミの合図で一気に動く。
炎のミミズクは急上昇し、黒鎧象はホッキョクグマに向かって体当たりをする。
「ぐっ……! ぬあっ!」
ホッキョクグマがアフリカゾウの身体を受け止めるが、ゾウの勢いは少しも落ちない。
身体を掴んで吹き飛ばされないでいるも、踏ん張る地面ごと削られ、ホッキョクグマは岩壁に圧し潰される。
「ぬはっはー! オタクを舐めたら行けませんぞ! ソレガシのパワーは五つ星! 五つ星ですぞ!」
「そしてっ! 拙者はスピードが五つ星ナリ!」
空には炎の光輪が浮かぶ。ワシミミズクが燃える身体で旋回し、その軌跡に残された炎が輪を作っていた。
アフリカゾウが両足を上げると、岩壁に減り込んだホッキョクグマが露出する。
そこへ、加速に加速を重ねたワシミミズクが、炎の矢となり飛んでいく。
「どうだどうだ! パンドラちゃんのリスナーはサイキョーなんだぞ! 他のステータスが酷いけど、役割分担さえちゃんと出来れば、君だって敵じゃない!」
【 プレイヤー「ゲンジなプリン」を狩猟しました 】
「……え?」
【 プレイヤー「アップル・O・パイ」を狩猟しました 】
「え、なんで……?」
「そりゃあ、ただ一芸に秀でてるだけじゃあ、敵にすらならねえからだよ」
一瞬の出来事だった。
ワシミミズクがホッキョクグマに当たる瞬間、鉄の拳がその顔面にぶちかまされていた。
振り抜かれた拳、その勢いのままクマは一回転し、ゾウが見せている腹にローリングソバットで蹴りを入れた。
サードレベルスキルを使用することなく、五つ星と自称する二匹のアニマルを撃退する。
「で、でもでもでも! 君は、かなり、ギリギリなんじゃないかな!」
「ああ、そうだな。五つ星のパワーってのは本当みたいだ。立っているのもやっとだぜ?」
「な……ならっ! このままパンドラちゃんが君を倒す!」
「いいぜ? 火山エリアのエースアニマルさんよぉ、おめぇはオルカ以上の楽しさを俺にくれるんだろうなぁ!」
目と鼻と口、それから耳からも血を垂らしながら拳を構えるホッキョクグマ。
対して無傷で立つタイリクオオカミ。
血で血を洗う獣の戦いは二時間にも及んだという。
そして最後に立っていたのは――
【 プレイヤー「こうまがパンドラ」を狩猟しました 】




