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アニマルユートピア・ワールドコネクション  作者: 牧屋へいり


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25/40

24.それぞれの決着 中編

 ――山脈エリア


「なになに喧嘩売ってるなの」

「喧嘩売ってるのはそっちだら」

「うちが山脈行くって先に言ったなの」

「馬鹿言うでみゃあ、山脈はオイラがいつも行ってるだら」

「関係ないもんもん、うちが先に言ったなの」


 ハナモグラとトウキョウトガリネズミが言い争いをしている。

 どこかの方言に似た変な口調で喋るのがハナモグラの「ケンスケ」。

 なのなの語尾を付けるのがトガリネズミの「すみれ」。


 二匹とも小さい動物であるが、トガリネズミはこれでもサイズ極大である。

 世界最小の哺乳類と言われるだけあり、本来は頭から尻尾の先までで10センチにも満たない。

 尻尾を除けば5センチ以下だ。

 その極大サイズ。全長30センチだ。


 アニマルユートピア内では本当に小さい。

 山脈エリアを飛ぶハゲタカが彼女の身体を掴んで飛んでいく。



「なになに! うちお話し中だったなの!」

「山脈エリアは初めてかい? あんな目立つところに居れば空から襲われて当然なんだよ」

「関係ないなの!」



 怒ったトガリネズミはハゲタカの足に噛みついた。



「いてえ! 何すん――」



 そして、掴まれながらデスロールをする。

 千切れる足、ハゲタカが痛みに絶叫する。

 実際にプレイヤーが強い痛みを感じるわけではないが、千切られる感覚と微量ながらも存在する刺激が、脳に過剰な反応を起こさせる。



「なんなんだよおめえはよ!」



 次の瞬間、ハゲタカの頭が撃ち抜かれる。



 【 プレイヤー「オデンマンド」を狩猟しました 】



「オイラたちの話をじゃまするでみゃあ」



 ハナモグラから発射された高圧水流砲。

 ブラックマンバのダークウイングの毒液にも似ているが、彼の射撃は純粋な水によるもの。

 毒が入っていない代わりに威力が格段に高い。



「ああ! うちが倒すつもりだったなの」

「知らんぎゃ」

「あとその適当な似非方言気持ち悪いなの!」

「おみゃあの語尾の方が気持ち悪だら!」



 小さな動物たちの言い争いは続く。




 ――密林エリア


 ユキヒョウのトゥ・メイド。

 彼女が名付けた意味は To 冥土……地獄行きという意味だ。



「キャキャキャ、また来たか自殺願望者」

「キュキュキュ、北極エリアだからって調子乗ってたよな」

「キョキョキョ、密林はコミュニケーションのエリア、孤独なお前に勝ち目はない」



 テナガザル、テングザル、オナガザル。

 前回のイベントで、ユキヒョウはこの猿三匹によって徹底的に追い詰められた。


 北極エリアに比べ、他のエリアのプレイヤーはレベルが低いと言われているが、飽くまで平均的な話である。

 当然、自分より格上のプレイヤー、しかも競合して戦う相手であれば負けることもある。


 ホッキョクグマは「いい経験だ」と言っていたが、ユキヒョウにとっては屈辱の思い出である。


 二度と、その汚い笑い声をさせるつもりはない。


 彼らを倒すためだけに、サードレベルの強化を選択した。


 ――夜の帳は光を隠す

 ――闇に潜む狩人よ、勝鬨を上げろ


 【 サードレベル「漆黒咆哮(ディープバーク)」 】


 ――悪魔の咆哮が

 ――命を削り取る



「キャッ!?」「キュッ!?」「キョッ!?」



 大気を震わすユキヒョウの咆哮が、三匹の猿を内臓ごと揺らす。


 神経を直接攻撃するような叫びが、彼らの身体を痺れさせ、動きを止めさせる。


 密林に阻まれ音が拡散したため、本来の効果より薄く、止められたのは僅かな時間。


 だが、その刹那の時さえあれば、彼らの首を食いちぎる程度、造作もないこと。



 【 プレイヤー「インビジブル」を狩猟しました 】

 【 プレイヤー「ロックエイプ」を狩猟しました 】

 【 プレイヤー「サイレント」を狩猟しました 】


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