23.それぞれの決着 前編
――草原エリア
「ドームの頭から出てるのって、あれ砂嵐だよね」
「キサラギのおじちゃん本気じゃん」
「あ、ドーム崩れた」
崩壊した土の球場。砂埃舞う中、見えてくる大きな影。
いくら北極エリアのプレイヤーとはいえ、さすがにファーストレベルのペンギンがフィフスレベルのトッププレイヤーを倒せると思っている者はいない。
「キサラギさんお疲れ様でーす」
駆け寄るウサギや犬猫たち。小動物が集まり、見上げる大きな亀の姿。
悠然と立つ亀は、どこか遠くを見つめている。
その身体は一切の傷を知らない。五つ星の耐久力は、草原エリア誰も傷をつけたことがない。
皆の掛け声に反応が無い。リアクションが遅いのはいつものことだが、何かが変だ。
最初に気づいたのは燕のプレイヤーだった。
彼の頭に乗ろうと近づき、異変に気付く。彼の目の焦点が定まっていなかった。
そして、口から零れる血。
額の上にアナウンスがポップアップした。
赤地で白抜きの文字で書かれた【 DEAD 】の四文字。
キサラギとパーティを組んでるものに、キサラギの所属するギルドの者たちに一斉にアナウンスが出る。
【 プレイヤー「キサラギ」が狩猟されました 】
――砂漠エリア
「こいつおかしいだろ、なんで砂漠に城が出来ているんだよ」
「アノネアノネ、これお城って言うより宮殿なんだ」
砂を積み上げ作られた城。本殿だけではなく、門から庭園まで丁寧に作られている。
何より驚くのはその速度。イベントが始まり、夜を迎える前にはこれが完成されていた。
ゲームを始めたばかりのプレイヤーは、その技術に感動し、呑気にスクショを撮っていた。
彼女の凶悪さを理解している者たちは、その宮殿を破壊すべくサードレベルスキルを発動した。
「アレレ酷いなぁ、あたしの作品に傷をつけるアニマルは許さないぞ」
称号「大家の権利」は、作成した建造物の完成度に応じてアニマルのステータスを上昇させる。
砂を使った精巧な宮殿であれば、門を作っただけでも相当なステータス上昇を見込める。
それがこの規模で作られたとなれば、砂漠エリアの代表ともいえるプレイヤーでさえ手玉に取ってしまうだろう。
【 プレイヤー「さきゅー」を狩猟しました 】
――大海原エリア
「うぅみぃはぁ ひろいぃなぁ おおぉきぃ なぁ あははははははは」
「なんなのこのヘビ! なんなのさ!」
「君さぁ、君って確か配信者だったよねぇ! 見てるよぉ!」
「えっ、リスナーさんなの! こんジュエルー、とのおかジュエルだよぉ」
「ライブで君を食べたら、すごぉーく盛り上がるんじゃないかなぁ」
「ダメだコイツ! 頭ワルコネ民だ」
ブラックマンバがトビイカを追う。
一瞬自分のファンと勘違いしたトビイカが嬉しそうに喋るも、凶悪な笑い声を聞いて加速する。
「ジュエルちゃんは」
「この海のアイドル」
「お前には」
「触らせない」
「はぁい、うるさいのは死んじゃおうねぇ」
海を走る馬、水中を飛ぶ大鷲、到底海で生活するとは思えないような動物たちがブラックマンバの行く手を塞ぐ。
しかし、彼から飛ばされた毒液は、一瞬のうちの動物たちに致命傷を与える。
それでも僅かに出来た隙。
トビイカが海面から飛び出して逃げる。
「ざんねぇん」
しかし、空中には既に毒の包囲網が完成されていた。
【 プレイヤー「とのおかジュエル」を狩猟しました 】




