19.VSガラパゴスゾウガメ その2
極大、大、中、小、極小。
アニマルグラフ内のサイズにおける表記だが、実際のサイズを表しているわけではない。
イワトビペンギンの大と、ホッキョクグマの小では、ホッキョクグマの方が大きい。
つまりアニマルグラフの表記は、その動物のサイズに比べて、大、中、小と表している。
平均サイズより75パーセント前後小さければ『小』
平均サイズより150パーセント前後大きければ『大』
では、極大と極小は……?
簡単に言うと『それ以上に』他ならない。
ガラパゴスゾウガメの平均サイズは1メートルから1.3メートル。
イワトビペンギンの平均サイズは45センチから60センチ。
同じ『中サイズ』だったとしても、亀の方が大きい。
ガラパゴスゾウガメのキサラギ、サイズ極大。
イワトビペンギンのシオン、サイズ極小。
人間でも見上げるような巨躯を持つゾウガメと、手乗りサイズのペンギン。
本来であれば食性も生息域も活動時間も違う二匹が戦うことはない。戦う必要が無い。戦う術もない。
だがここはアニマルユートピア・ワールドコネクション。
リアルでありフィクションであり、ロジカルでありファンタジーなゲーム空間。
エリアボスを倒し、生態系の頂点に立つゾウガメは、植物さえも従える。
【 フォースレベル「愛腐乱徒」 】
地面から伸びる植物のツタは一心不乱に獲物を探す。
アサガオが支柱に巻き付くように、ツルが振り回される。
まるで縄跳びのように飛んで避けるが、次から次へと襲い掛かってくる。
ツル同士がぶつかることもあるが、そうすれば互いに巻き付いて、より太いツルが出来るだけ。
ドームが出来る衝撃で捲れた地面にツルがぶつかれば一瞬でその土を縛る。
「うぎゃ、あんなのに捕まったら終わりじゃん」
ツルがぶつかった瞬間、触れたところから根が生えていた。
コンクリートの壁にツル性植物が巻き付いていることがあるが、それと同じことが起きている。
ツルから伸びた根が、吸盤のように壁を捕まえる。そして、ツルは太く成長し、縛り、破壊する。
小さいからこそ避けられる。しかし、小さいからこそ触れれば一瞬で絞め殺される。
スピードとセンスに長けているため、避けることは困難ではない。
スズメの涙ほどのスタミナのせいで、避け続けることが厳しい。
このままでは確実に負ける。
何もしなければすぐに死ぬ。
攻撃力を強化している場合ではない。いま生き抜くために必要なものを選択しなければならない。
「フォッフォッフォッ、フィフスレベルスキルも披露したかったのじゃがなぁ。北極の若造はここまでかのぉ」
なんだその顔、すげえムカつく。
シロクマさんみたいに堂々とした戦いが出来れば良かった。
毒蛇さんみたいに格好いい必殺技とか出来たら良かった。
仕方ない。いま必要だから選んでやる。あのジジイにぎゃふんと言わせてやる!
【 セカンドレベル「感覚強化(神経系)」 】
【 四つ星効果(SS) エリアを問わず適正環境での肉体感覚で行動可能となりました 】
【 五つ星効果(SS) 対象が狙うポイントを察知可能となりました 】
【 条件が達成されました 】
【 称号「ラプラスの悪魔」を得ました 】
【 一定範囲の生物・物質を含めた行動を予知出来ます 】
【 称号「空を泳ぐ者」を得ました 】
【 一定時間飛行が可能になりました 】
【 称号「大地を泳ぐ者」を得ました 】
【 一定距離地中への潜行が可能になりました 】
待って。その称号はヤバくない?
上から振り下ろされるツタを横に回避。そこを狙い横に振られるツタを更に低い位置で回避。
地中への潜行。どの程度潜れるか、少し身を低くして跳んでみる。
――ズザーッ!
あっさいっ!!!!
お腹が少し擦れるだけ! 浅い! 潜行ならせめて身体全部地中に入ろうよ! 氷の上で滑ってる様なもんだよ!
……いや、それはありがたいな。
実際、滑っている。地面でも北極エリアの様に滑ることが出来る。
「フフフフフ! あははははははは! こっからが本番だよ!」




