18.VSガラパゴスゾウガメ その1
【 レベル開放条件が達成されました 】
【 プレイヤー「シオン」はレベルセカンドになりました 】
レベルセカンドの強化をどうするかはずっと考えてた。
そもそも私は力も守りも体力もない。
弱点見つけて突くことは出来るけど、それにしてもパワー不足。
隙だらけの草原エリアの皆様相手なら問題ないですがぁ――北極エリアではそうはいかない。
それに、草原エリアであっても……まさしく目の前にいるような超耐久型の動物相手だと(負ける気はないけど)勝てない。
私がやるべきは嘴の強化!
シロクマさんの鉄の拳みたいに、鉄の嘴を私に!
【 条件が達成されていません 】
……?
あ、鉄だからダメなのかな。
鋼の嘴を!
【 条件が達成されていません 】
金属なら何でもいい!【 条件が達成されていません 】
早い早い早い。
えなに、条件て何。そんなの必要なの。
じゃあどうすれば良い訳――
――ズドンッ!
「フォッフォッフォッ。どうなされた? 北極のペンギンよ」
「ちょっとトラブルがー……対戦はまた今度お願いっ」
「ならぬよ」
――決して退かぬ勇気を称えよ
――絶対に逃がさぬ決意を崇めよ
【 サードレベル「不退転の檻」 】
――大地が牙を剥き
――出現せしはコロッセオ
「なにこれ、野球でもするの?」
「フォッフォッフォッ、それも良いが……これはお主を逃がさぬ闘技場よ」
「女の子と二人きりになりたがるなって、事案じゃないかな?」
「動物世界は弱肉強食。男女平等に死地を迎えようぞ」
囲うように円形に盛り上がった地面。
天井は解放されているため太陽の光は届くが、ほぼドーム状の空間に閉じ込められた。
鳥なら逃げられるだろうけど、生憎私が飛べるのは海の中だけ。
「草原エリアは開けておるからのぉ。速い動物にはいつも逃げられて苦労していたのじゃよ。サードレベルになったワシは、そやつらを逃がさぬよう、この技を選んだのじゃ」
「ご高説どうも」
亀さんの弱点は喉。甲羅と首の継ぎ目の部分。他は……一切無い。
困ったなぁ。だいたい二、三か所弱点が見えるのに、一か所しかないなんて。
あ、心臓も弱点だ。そりゃそうだろ。『心臓を杭で貫けば死にます』じゃないんだから。甲羅をぶち抜いて打てりゃ誰でも倒せるわ。
「草原エリアの研究はお済かな、お嬢さん」
「いやあ、初めてなもので。アニピトもまだ一か月もプレイしてないんで」
「ならば、少し説明しよう」
「あら、観光案内してくれるのかな」
「草原エリアの太陽は力を授ける。成長を促す神の光なんじゃ」
「へ、へぇー」
だから天井に穴があるのかな。神様の光はいつも欲しいもんね。
「日の光を浴び、急激に成長した植物が、動物の死骸に入り込み、肉体を操る」
「急にホラーなんだけど」
「冬虫夏草みたいなものじゃよ」
「ホラーには変わりないじゃん」
「死骸を操る植物……それが草原エリアのボスエネミー『死骸犀』」
「こんなのんびりしたエリアに相応しくないボスだね」
想像しただけで気持ち悪い。多分サイの死骸に植物が巻き付いているとかなんだろうね。
「それを捕食することで得られる力は、天に輝く太陽の恩恵と同じ」
「光り輝くってことですか? あの、いまの、あなたみたいに……」
太陽の光で反射していると思ってた。けど違う。これ、亀さんの甲羅が発光してる!
――太陽の恩恵を授かりし草原の民よ
――全てを吸い尽くし光り輝け
【 フォースレベル「愛腐乱徒」 】
――大地に根付く植物は
――王を喰らいし覇王に従う
地面から伸びてくる植物のツタが、四方八方から襲い掛かってくる!




