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「左右のコマの中間に相当するコマを、生成できるかな?」「はい、できます」
苦笑してしまわぬよう気を張る間もなく、中間に相当するコマがポンと映し出された。同じことを全てのコマで行えば、それだけで24fpsが48fpsになる。俺は苦笑せぬよう気を張ってから、二つ目の質問をした。
「24fpsを、三倍の72fpsにしたいんだ。左右のコマの差を三等分し、コマを二枚生成することは可能かな?」「容易です」
ポンポンと直ちに二枚出ても、俺はへこたれなかった。自分の担当する344秒間の中で登場人物の動きが最も早い10秒間を特定し、そこを72fpsにしてもらう。それをコピー輝力板720枚にコピーし、この件に関する意識投射を俺は終えた。莫大なストレスを解消すべく、その夜は準四次元の楽器の訓練をいつも以上に頑張ったのだった。
翌朝目覚めるや、件の実験結果を音楽仲間にメールで送信した。
それからしばらく経った朝食時、勇と昇の意見を聴かせてもらった。二人は簡単すぎるとメンドクサさが勝ることに同意するも、「二大やってみねば判らぬこと」を強調した。
[1] 映写機が投影したコマを正確に模写する時間は、各々がやってみねば判らない。
[2] コピー能力を備えた輝力板を創れるかは、各々がやってみねば判らない。
二人の意見は100%正しい。俺はそう伝え、今夜の会合を二人と確認した。
そして迎えた夜。
勇と昇の唱えた「二大やってみねば判らぬこと」を、各々にしてもらった。
まずは[1]から。トト〇の感動がきっと残っているのだろう、みんな嬉々として模写していた。人生初模写の所要時間に大差はなく、皆だいたい5分前後だった。その5分を全員が「あっという間だった」と評したのは、集中スキルを全員が所持していることと、準四次元では肉体疲労皆無なことが理由と思われる。模写の二枚目は分身して行い、三枚目は最大分身数かつ最高時間圧縮率でしてもらったところ、慣れもあり三枚目の平均は2分半だった。疲労度を各々調べてもらい、8256枚の模写への率直な意見を求めたら、「やりがいあると思う」に一人も漏れずなった。俺は皆に礼を述べ、[2]に移った。
[2]は[1]と異なり、個人差が出た。コピー能力を備えた輝力板の創造に、大きな差が出たのだ。当たり前だけど母さんはほぼ0秒で創り、昇は5秒で創ったが、10分経っても手も足も出なかった仲間が4人いたのである。その4人に共通しているのは、小鳥姉さんと鈴姉さんが主宰する準四次元お菓子作り教室に出席していないこと。ぶっちゃけると達也さん、裕也さん、鷲、橙がその4人だね。俺も出席していないのに俺をのけ者にして、それぞれの妻様の小鳥姉さん、鈴姉さん、晴、藍はここぞとばかりに4人を叱っていた。いたたまれなくなり必死になって4人を擁護したところ、奥様連合はどうにか矛を収めてくれた。それでも4人が会合中に立ち直ることはなかった。瑞々しい果物を輝力で再現する技術があれば、コピー板を模倣できたのだから仕方ないかな。
4人に俺の創ったコピー板を渡し、投影されたコマをコピーしてもらった。こちらに個人差は出ず、「味気ない」で一致することになった。それを受け、俺は皆に提案した。
「24fpsは、心を込めて模写する。それを三倍の72fpsにするのは、コピー板を使う。こんなことを俺は考えています。詳しく述べると・・・」
友人さんの映写機の内蔵AⅠに自動72fps化の機能があることは、メールで説明済。よって論より証拠ということになり、登場人物の動きが最も速い10秒間の24fpsと72fpsを観てもらった。映画で見たのと同じ24fpsに感動が蘇りこれで十分的な空気になるも、それは10秒間のみの現象だった。72fpsの動画を流すや、「こんなに違うの!」という空気に一変したのである。ホント、論より証拠だよね。
かくして話し合いは「72fpsでなければ意味がない。コピーも簡単だしな」系の結論に傾きかけた。が、何食わぬ顔で俺は皆に質問した。
「ところでテレパシーの録音再生方法を、どなたか思いつきましたか?」
場がシンと静まった。一人一人と目を合わせても、苦笑されるばかりで発言が一向に出てこない。仕方ないので古代アトランティスにはテレパシー録音再生装置があったけど今は忘れられていることや、フィルムに光を当てて映像にすることの応用を話していった。とはいえ昭和のフィルムを知らない人は想像しにくいだろうから、あらかじめ輝力で創っておいた昭和のフィルム映写機を見せながら説明した。
「磁気の揺らぎを記録したフィルムに意識を照射すれば、テレパシーになるかもしれません。それとは逆に、磁気を照射する方法もあります。カラーフィルムが物の色をフィルムに内包しているように、喜怒哀楽の感情をフィルムに封じ、そこに磁気を照射するんですね。みなさん、意見や閃きがあったらジャンジャン言ってください」
その途端、活発な議論が始まった。俺の思い付いた二つの方法を発展させる人もいれば、新たに閃いた方法を発表する人もいた。そんな皆を、母さんはニコニコ見つめていた。正誤を度外視し各々が自分の意見を積極的に発表する場を、大聖者は好むんだね。地球人は誤解しているけど間違うことがネガティブなのではなく、保身や恐怖に縛られて何もしないことが、ネガティブだからさ。
それは置き皆の活発な議論の甲斐あって、磁気を照射する方法に分のあることが判明した。外部から送られてきた意識を物質内に封じるのは、実は意外と簡単。自殺者が自殺の現場で自殺を繰り返している様子を霊能力者が見るのはその好例で、あれは成仏していないのではなく、場に封じられた意識を見ているのである。それを悪用し人を誤誘導するネガティブ存在も、残念ながらいるけどさ。




