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ヘタレ者は脇に押しやり、女組へ目を向けてみよう。
前世の日本において「耳をすませ〇」への評価は、男より女の方が高かった。僅差であってもそれはやはり、恋愛を軸とする話ゆえに生じる差なのだろう。ならば日本ではなくここにいる女組はどうだったかというと、映画終了時の母さんの様子がすべてを物語っていると思う。映画終了時、母さんは少女の瞳で胸に両手を添え、
「私も恋がしたい」
と呟いたのだ、そして俺はそれを、かなりの確度で予想していたのである。
母さんは、王女時代の話をしばしば聞かせてくれる。だが結婚後はおろか、結婚に関するあらゆる話を絶対しようとしない。これは恋愛にも適用され、たった一度だけ取り上げられた恋愛がらみと言えなくもない話題は、
『十代後半の自分を妹としか見ない男性がかつて一人だけいた』
というものだった。17連続童貞人生の俺でも、その言葉から様々なことを推測できる。ぶっちゃけると、恋愛小説を一本書くことすら出来る。俺個人に恋愛経験は数百年なくとも、十代の母さんが初々しく清らかな恋もしくは片思いをすることなら、容易に想像できるからだ。そしてその初々しく清らかな恋が、「耳をすませ〇」では描かれている。母さんは俺達と交流することで青春時代を再び過ごしたくなったらしいし、女組に混ざってキャイキャイすることも好むようになっていたため、「この映画を見たら恋愛への憧れが蘇るんじゃないかな?」と俺は予想していたということ。母さんは、来世で俺の生みの親になると言ってくれているのだから、素敵な恋愛に憧れを抱くようになって欲しいと、俺は願っていたのである。
みたいなことを俺がこれ以上考えたら母さんを赤面させてしまうので話題を替えると、同映画は女組に超高評価だったらしい。またその超高評価には「子竜達に紹介する恋愛映画として適切」というものも含まれ、俺に送られてきた女組の全てのテレパシーにそれが添えられていた。女組同士で感想をひとしきり交わし合った後にやっと送られて来たことも合わせ、とても嬉しかったな。
その後、打ち上げはお開きになった。正確には、コロニーを後にしたのは男組だけで女組は残って同映画の声優を決めていたけど、男組にとってそれは「触れてはならぬこと」とされた。野郎共は気づかぬ振りをして、無駄に明るくコロニーを後にしたのだった。
翌朝。
目覚めてメールをチェックしたら、女組の声優決定を知らせるメールが7通届いていた。母さんを除く全員が送ってきたという事実に、俺は戦慄を禁じ得なかった。
というのは半ば冗談で、もとい冗談で決定した声優は、俺の予想と変らなかった。トト〇で不遇だった人は次の映画で優遇されるという決まりがあったから、簡単だったな。
ちなみに主要な女性キャラ4人の声優は、こんな感じ。
月〇雫 奏
夕子 (友人) 藍
月〇朝子(母) 晴
月〇汐 (姉) 翼さん
晴と藍は体で考えると難しかったけど、杉〇に似ているのが橙だったので予想は楽だった。父親と鷲には性格的な隔たりがあっても、〇村は意外と重要な役だからさ。
女組の声優が決まったということは、男組の声優も決まったということ・・・には、今回はならない。地球屋のお爺さんとバロンが、難問だからだ。といっても、俺がどちらかをするのは決定なんだけどね。人として尊敬しているお爺さんの声優になれたら、嬉しいというのが俺の本音。イケメンのバロンを避けているのでは、決してないのである。
まあそれは置き、主人公が奏なら天沢聖〇は昇で決まりだ。昇はそれを昨夜の段階で意識し、奏と甘酸っぱい視線を交わしていたな。うんうん、二人とも良かったね!
ということを朝食の席で話題にしたところ、昇は素直にお礼を言っていた。察するに、昇と奏は昨夜二人っきりで話し合ったのだろう。いずれにせよ、良かった良かった。
基地での朝練と朝食を終え、竜族の幼稚園へ再度向かう。到着するや子竜達に包囲され、トト〇にどれほど感動したかを凄まじい熱量で語られてしまった。しまったというのは、もちろん言葉の綾。嬉しくてならなかった俺は分身を20体出し、熱弁を振るう子竜達にとことん付き合った。子竜達は全員目の付けどころに優れ感想の質も申し分なく、まるで前世のアニオタ時代に戻ったようだったな。
子竜達も俺も感想をもっともっと語り合いたかったけど、時間は有限。親竜と一緒に子竜達が島を離れる時間になった。それでも話したそうにしている子竜達を抱きしめ、
「俺もまったく同じだ。1カ月半後に続きをしよう、元気な姿で戻っておいで」
一頭一頭にそう伝えた。子竜達は幾度も振り返り、手を大きく振って岸から離れていく。振り返り手を振る子竜が現れるたび「安全第一、泳ぐことに集中して」と呼びかけているのに、子竜達は「は~い」と返事をするだけでまるっきり聞きやしない。いやはや、
「ホント可愛いなあ」
泳ぎ去る子竜達を見つめつつ、俺はそう呟いたのだった。
東大は現在、重大な問題を複数抱えています。
ここでは仮に、「それらを解決するには従来とは根本的に異なる総長を選出せねばならない」と某人達が判断したとしましょう。また「判断理由を説明したら旧勢力に妨害され問題を解決できなくなるから、総長選出の詳細は説明しない」とも、某人達は決意したとしましょう。
こう仮定した上で、東大の抱える複数の重大問題を解決したなら、「総長選出の説明責任を果たさなかった」としても、私は某人達を支持します。
しかし複数の重大問題を解決しなかったら【両極端は表面上似ている】の、選挙における好例とします。
どうか重大問題を、解決されますように。




