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 一度目の文字にしてはならない云々は、俺が竜達に話した事柄には、文字化禁止に指定されている教えがそこそこ含まれているということ。これについては、本を二冊用意することで可となったらしい。文字化許可の事柄のみを収録した本と、文字化禁止の事柄のみを収録した本の、二冊を作るということだね。後者の本(文字化禁止本、略して字禁本)は、書籍保管庫内で不可視にすることと、その本の存在を知っているのは頭夫妻以上のみにすることで対応するという。

 二度目の有効か否かは、有効と判断されたと母さんは言っていた。字禁本を原則不可視にしたのも、その判断を後押ししたそうだ。

 よし、取り繕いを排除できた。話を戻そう。

 親竜達が読んで良いのは、基本的に文字化許可本(略して字許本)のみ。もちろん頭夫妻以上になれば、字禁本も読めるけどね。

 ということの全てを、親竜達に説明することはできない。字許本を字許本という名を使わず、ただの「俺に関する本」として話さねばならないのだ。俺は守秘義務が人の形をとっているようなものだから、慣れてるけどさ。

 というアレコレに沿い、親竜達との対話を俺は続けた。今更だが俺といっても、分身俺だけどね。そうこうするうち子竜達の目覚める時間になり、俺は分身を一時的に解いた。とはいえ、二時間も経たず肉体で再度訪れるつもり。夕食会は、今夜もあるからさ。


 その、約1時間半後。

 訓練を1時間ちょい早く切り上げた俺はシャワーを浴び、竜族の幼稚園へ向かった。今夜は「となりのトト〇」を上映するからだろう、車中の美雪と美咲がいつも以上にはしゃいでいる。見るのは二回目でも、人より奇麗な心を持つ美雪と美咲にとってあの映画は、人以上に楽しめる映画なのだろうな。

 竜族の幼稚園に着いた。普段同様、音楽仲間達の幾人かは俺より早く幼稚園に来て、子竜達と遊んだり授業をしたりしている。輝力分身だから俺より来やすいにせよ、その光景はいつもどおり俺の胸をポカポカにした。

 午後5時になり、二夜連続開催の夕食会の二晩目が始まった。二夜連続で開くのは竜族史上初のことゆえ「輝力製の花火を開幕で上げちゃう?」系の提案が男組からされるも、却下となった。赤道直下(厳密には北より)のこの諸島は夏至と冬至の影響が少ないとはいえ、日没までまだ1時間以上ある。「竜族史上初となる花火は、星の煌めく空に咲かせてあげたい」という女組の主張は考えなしの男組より、断然正しかったのだ。

 締め技の刑やくすぐりの刑を未だ嬉々として行うアホ集団の男組より女組の方が物事を深く考えていて当然なので話を進めると、夕食会の冒頭30分は普段と変わらず、食事と歓談を楽しむ時間となった。二夜連続の二晩目だろうと、お祭りは楽しいもの。人と竜の区別なく、ヒャッハー系の気勢が方々で上がっていた。食事を基本的にしない妖精達は、普通にワイワイしていたけどさ。

 楽しい時間ほど、あっという間に過ぎるもの。瞬く間に30分が経過し、サプライズの開始時刻になった。「そろそろ開始時刻だよね!」「だよね!」系のコソコソ話を盛んにしている竜族と妖精族の視線を一身に浴び、俺は壇上を目指す。この映画は上映前に竜族と妖精族へ伝えねばならぬことが複数あり、それは計4人によって成される。よって「俺が最初の1人じゃなかったりして」とほんの少し期待したけど、俺以外の3人が女性とくれば諦めるしかない。繰り返すが竜族と妖精族の視線を一身に浴び、俺は壇上を目指した。

 たった数十メートルを数百メートルに感じつつ、壇上に着いた。竜族と妖精族が、はち切れんばかりの期待を込めて俺を見つめている。前回の映像作品がきっかけとなり飛行能力を子竜達が再獲得したため、過度もいいところの期待を俺にしているのである。それを裏切るようで悪いが、俺は真実を告げねばならない。深呼吸し、俺は口を開いた。


「竜族と妖精族の皆さん、こんばんは。今から俺は、皆さんの誤解を解きます」


 俺は話した。[1]竜族と妖精族に広まっている「翔さんの映像作品」という認識は、誤解なこと。[2]前回の映像作品の映像を創ったのは俺でも、音楽は俺の前世の星で人気だった曲を使ったこと。[3]今夜見てもらう映像作品を、俺は映像も曲も創っていないこと。[4]俺の前世の星には映像作品を創る専門家集団がいて、その専門家達の創った最高傑作の一つをこれから上映すること。この4つを、俺は話したのだ。

 それに対する両種族の反応には、頭を下げるしかなかった。竜族の長である大風と、妖精族の長である葉月さんが、自分達の種族に語り掛けてくれたのである。語り掛けを要約すると、こんな感じになるだろう。


『翔さん達は、地球の曲をこれまで聴かせてくれていた。半年前に初めて映像を見せてくれて、そしてその映像を創ったのは翔さんだったから、あれは「翔さんの映像作品」で間違いなかった。これから自分達が見る映像作品は翔さんが作ったものではないということを、発表するのは今が最善だったと感じる。半年前、冬期休暇の前後にこうして集まった時に発表していたら、子竜達の飛行能力再獲得に水を差してしまったかもしれないからだ。これから自分達が見る映像作品は、地球の最高傑作の一つとのこと。今はそれを、楽しみに待とうではないか』


 大風と葉月さんに、両種族が同意の拍手を送っている。俺は大風と葉月さん、続いて観客全員の順にお礼を述べた。みんな優しいから「気にするな~」系の声を掛けてくれて、マジ嬉しかったな。

 俺1人が壇上にいる時間は、これで終わり。翼さんがやって来て、地球人の老化について説明を始めた。俺は老化の例として、トト〇の主要キャラである隣家のお婆さんの3D映像を、輝力で壇上に登場させる。地球人の老化は竜族と妖精族にとって、「別種族への生まれ変わり」にしか見えなかったらしい。いやはや、説明して正解だったな。

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