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内蔵AⅠによると、その最大の功労者は母さんらしい。大聖者になる前の母さんは完全な文系人間だったが、大聖者になり並行世界の自分達を統合したところ、文系と理系の両方が得意になった。男性の分身達は母さんとは真逆の、完全な理系人間だったそうなのだ。然るに量子AⅠを心とプログラムの両方から研究でき、それを5万年続けてきたため、この星の量子AⅠは宇宙屈指の高性能を獲得したとのことだった。その中でも美雪と冴子ちゃんはマザーコンピュータに次ぐ性能を有するのだから、人と変わらぬ心を持つのも頷けるというもの。美咲の可愛さや希の素敵さも、すべて母さんのお陰だったのである。俺は肉体で五体投地し、母さんに感謝を述べたものだった。「気持ちはわかるけど大袈裟よ」と、母さんは機嫌よさげに笑っていたな。
そうそう機嫌よいといえば、スペースコロニーに初めて招待してから母さんはず~~っと機嫌よく、その理由が解ったんだった。正確には解明してくれたのは女組で俺は一切役に立っておらず、けど原因を造ったのは俺でしかも無意識にそれをしていたという、少々ややこしい事になっていた。ややこしいので核心部分だけを端的に言うと『母さんの像を俺は無意識に若く創っていた』のが、機嫌の良い理由だったのである。
この星の人々は、20代後半もしくは20代終盤の容姿で寿命を迎える。30代に突入するのは数百万人に一人しかおらず、それもあり母さんは、30歳くらいに見える容姿を意図的に選んでいた。それでもホント奇麗でこの星一の美女と称えられる奏と並んでも見劣りせず、熟女好きの達也さんと裕也さんに至っては「宇宙一の美女」と呼ぶほどなのだがそれは置くとして、とにかく母さんは30歳ほどの容姿だろうと超絶美女であることに変わりなかった。ただ仲間内で俺だけは10代後半や20歳の母さんを見たことがあり、今の母さんだけが持つ美しさはあるにせよ、それは10代後半や20歳の母さんも同じというのが現実だった。その現実に、美醜の存在理由を未だ解明できていないダメな俺という要素が加わった結果、コロニーの母さんの像を俺は無意識に若く創ってしまっていたのである。母さん以外には伏せているけど、希と同じ23歳くらいかな。
前世の地球では、人の生物学的頂点を23歳とする説が最も有力だった。俺はそれを今生も無意識下で引きずり、希もそれを感じ取ったため、希は23歳の容姿になったと俺は推測している。との推測を母さんに話したら、真摯に耳を傾けてくれたため非常に満足し、俺は良い意味でそれを忘れていた。そう俺は良い意味で忘れていたと思っていたが、母さんの像も23歳にしたとなれば話は違ってくる。俺は己の認識を遥かに超えて、美醜に囚われていたということだからだ。
ただやはり解らないのだけど、23歳の像を母さんはとても喜んだんだよね。今回の件が俺のネガティブの表れなら、母さんはああも喜ばないはず。とりあえず今回は結果オーライとし、次回以降は意識的な行いに必ずしようと考えている。
ちなみに、母さんの像が30歳よりもっと若いことに気づいた女組は、それを至極当然のこととして受け入れていた。「母上様の以前の姿をやっと拝めたありがとう」系の感謝を、されただけなのである。悩みぬいた末、美雪に全て明かして助言を請うたところ、
「地球の美醜とこの星の美醜を、翔は混同していると思う」
との言葉を賜った。俺の秘書AⅠ美雪は、地球の情報を特別に教えられている。よって両者を、客観的に比較することが可能だったんだね。遅ればせながらそれに気づいた俺は、美雪と一時期そればかりを話していた。その甲斐あって推測の域を出ないにせよ、母さんや女組の心の内を推し量れるように今はなれている。
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そうこうするうち、5月29日になった。
通常なら今日は、「子竜達の両親が島にやって来る前日」でしかない。けど今年は、様相が異なる。前日ではなくまさに今日、子竜達の両親は島にやって来るんだね。
主理由は、トト〇の上映時間にある。「歩こう」を連呼する歌も加えると1時間半になるためサプライズとして上映すると、子竜達は睡眠不足を免れなくなってしまうのだ。海を幾日も泳いで帰省する初日を、睡眠不足にする訳にはいかない。然るに園長と親竜達が話し合った結果、夏季休暇前の食事会を二夜連続で開くことになった。かくして親竜達は一日早く、島にやって来ることになったのである。
それを、子竜達が喜ばない訳がない。5カ月ぶりに再会する親が一日早くやって来て、かつ食事会を二夜連続で楽しめるのだから、大喜びして当然なのだ。唯一の不安材料は、出し物の練習日が一日少なくなること。子竜達は非常に凝った出し物を計画しているため、一日少なくなるだけで不安を覚えたみたいなのである。とはいうものの二夜連続食事会が決まったのは、1月下旬のこと。つまり本番まで、4カ月近くあったんだけどさ。
そうこの「非常に凝った出し物を計画していること」も、二夜連続食事会の理由の一つと言える。通常より演技時間が長く、舞台を整える準備時間も長いのに、スケジュールが詰まっていて急がせることになったら、失敗の可能性が跳ね上がってしまう。それはあまりにも可愛そうなので、一夜目の食事会は竜族の出し物のみとし、時間に余裕を持たせることになったのだ。凝った出し物を計画しているのは成竜達も同じだったこともあり、二夜連続開催は満場一致ですぐ可決されたと竜達は言っていたな。
そうこうするうち親竜達の到着時刻になり、5カ月ぶりの親子の再会が浜辺のあちこちで繰り広げられることになった。視界が霞みっぱなしになったので話題を替えると、何気にこの到着時刻も普段より2時間早かったりする。和紙を作るための竈や畑や環状道路の見学も、この二日間ですることになっているからだ。体力温存と時間確保を兼ね、親竜達に反重力ペンダントを配り、体重95%減で幼稚園までの坂道を登ってもらった。親竜達のはしゃぎようと言ったらなく、子竜達にももちろん配っていたから、ガオガオキュルキュル賑やかな登坂となった。




