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 翌日の早朝。

 今夜か明日の夜、準四次元会合を急遽開きたいと綴ったメールを俺は音楽仲間達へ送った。返信には一人も漏れず「今夜!」と書かれていてそれは嬉しかったけど、早朝にもかかわらず全員が3分以内に返信してくれたのは、少し不思議だったな。

 まあそれはいいとして俺ら音楽仲間は、言い出しっぺが会合場所を創る決まりになっている。けど今夜はいつもと異なり、夫婦ごとの場所を創り夫婦でそこにやって来てもらった。そのそれぞれを俺の分身が訪れ、鍵を一人に一本渡していく。右手に持つとドアが現れ、そのドアが・・・ってヤツだね。この星に連続して生まれている昇達6人は予想どおり鍵を忘れていたらしく、鍵穴に鍵を入れてガチャンと回す作業に興奮していた。もちろんドアの向こう側は伏せていたから、ドアを潜ったら何十倍も興奮していたな。

 そうそう鍵は母さんと翼さんも含め、正式な物を渡した。指で摘まむ部分に、竪琴と弓をあしらったのが正式な鍵。竪琴と弓はいうまでもなく、二つの像が持っているものだね。母さんと翼さん以外は、由来をまだ知らないけどさ。

 ありがたいことに、スペースコロニーは大好評だった。いや大好評でも足りない引くレベルに好評で、最初に自由時間を15分間設けて皆の探検欲求を満たさないと、話し合いを始められないほどだったのだ。訳が解らず翼さんに、「翼さんもホントはあんな感じだったの?」と訊いたところ、肯定の返事が返って来た。 


「なんかゴメン」「いいですよ。それより・・・」


 みたいな感じにとりとめない話をしつつ俺達はベンチに座り、皆が帰って来るのを待った。今夜の翼さんは普段の何倍も機嫌がよく、15分が瞬く間に過ぎて行ったな。

 ちなみに俺と翼さんは一足早くこのコロニーにやって来て、仲間達を迎え入れる役を果たした。ドアと鍵の試運転も兼ね、二人で待ち合わせて一緒にやって来たのが良かったのかな? それとも、鍵を二つ持っているのは翼さんだけなのが良かったのかな? 分からないので本人に直接訊いてみようとしたところ、概念テレパシーで母さんにこっぴどく叱られてしまった。よってあの時の機嫌の良さは、今も分からないままになっている。

 そうこうするうち自由時間が終わり、みんな帰って来た。時間を何倍速にしたか知らないが「ぜんぜん足りね~!」系の文句を一人も漏れず垂れていて、嬉しいやら困ったやらだったな。そうそう三大名所は七大名所に増加済で、また母さんが動物を担当してくれたため、コロニーは何倍も魅力的な場所になっている。音楽仲間達には動物が特に好評らしく、女組は兎や栗鼠を抱っこし、男組は鳥を肩に乗せていた。人を怖がらず肉食獣もいないよう、母さんが動物を創ってくれたんだね。ウォンバットやカモノハシやマーモットもいるそうだから、俺も楽しみでならない(この三種は人懐っこいのだ。マーモットはちょっと違うけどさ)。また個人的に動物の個体数の調整方法が凄まじく気になり、今度しっかり教わらねばと思っている。

 話を戻そう。

 探検第二弾に出発したくてならない皆に請い、俺の話を聞いてもらった。ここは翼さんへの償いとして創ったこと、テレパシー送受信機の完成パーティーをここで開かず申し訳なかったこと、そしてトト〇の吹き替えをここですることの三つを、まずは説明したのだ。時系列に並べただけだったが順番的に最高だったらしく、償いの箇所で翼さんが満ち足りた表情をしたらみんな大喜びし、完成パーティーを開かなかったことは償いの最中だったと解釈され逆に褒められ、そしてトト〇の吹き替えの件は大賛成された。とりわけ、


「12歳のサツ〇と4歳のメ〇のワクワクをたっぷり詰め込んだ映画だから、ワクワクする場所でテレパシーの吹き替えをした方がよいと感じた」


 の賛成度は半端なく、俺は絞め技とくすぐりの刑に処されることになってしまった。容姿が20歳とはいえ、心がここまで若いのは珍しいんじゃないかな。

 まあそれは置き、男組がアホ丸出しで騒いでいる内に、女組は吹き替え計画の手直し案を完成させてくれた。セリフは女組が圧倒的に多いから、女組のスケジュールに男組のスケジュールを合わせるのが最善なんだね。輝力分身を準四次元に飛ばせる俺らには、予定の重複(ダブルブッキング)とか関係ないしさ。

 女組による吹き替え計画手直し案は直ちに可決され、さっそく始めようとみんな盛り上がった。その空気を壊すのは申し訳なくとも、皆に伝えねばならぬ事はもう一つ残っている。俺は皆に詫び、宗教関連の話を始めた。翔神教という語彙を口にせねばならぬため、顔から火が出るほど恥ずかしかったけどさ。

 でも、顔から火が出るほど恥ずかしがった甲斐はあった。みんなあっけらかんと、


「「「「別にいいよ」」」」「「「「気にしないで~」」」」


 と声を揃えてくれたのである。素晴らしい仲間達に恵まれ、俺はなんて幸せなのだろう。歴代屈指のレベルで、俺はそう感じたのだった。


 というのが、4カ月近く前の話。

 今は、5月中旬。

 俺達音楽仲間はテレパシーの吹き替えを終わらせ、追加映像もすべて創り終わり、竜族に見てもらう「となりのトト〇」を完成させた。子竜達が帰省する10日前に完成させた、という感じかな。普通なら確認を兼ね完成試写会をしなければならないが、それは免れた。母さんの友人さんの映写機に内蔵されているAⅠが本当は超優秀だったので代わりに試写してもらい、問題皆無とのお墨付きをもらえたのだ。竜族と一緒に「となりのトト〇」を半年ぶりに見た方が感動できるはずだから、試写を代行してくれた内蔵AⅠに仲間達は感謝し、かつその高性能ぶりを称えた。すると、意外な事実が判明した。量子AⅠに限っては古代アトランティスより、俺達のアトランティス星の方が優れていたのである。

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