瓦解⑥
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ノイズが走り、轟轟とした背景音のみが聞こえる無線に零は必死に呼びかけた。微かに聞こえる華蓮の声、しかし内容は汲み取れず零の顔を不安が覆う。
そして次の瞬間、
視線の先に見えていた小さな船が大爆発を起こして海に沈んでいった。その熱線は埠頭にいる零達にも届くかのようで、思わず顔を腕で守ってしまう。
そしてそれと時を同じくして、ワイヤレスイヤホン、二人の間にあった線は音を無くし、消失した。
「うそ……だろ……」
視界の先で沈んでいく船は形を無くし、ガラクタのようになっている。
「あ、あ、あ……」
零は震える手を必死に伸ばすが、届くはずもなく。
(動け‼ 動けよ‼)
こんな状況に陥っても、いや陥ったからこそか、零の足は震えるばかりで前に進まない。
(行かなくちゃいけないんだ‼ あそこに‼ あの場所に‼)
勇猛果敢に吠える心とは裏腹に恐れをなした体は石になってしまったかのように硬く、零の意思を受け付けない。
そんな零の様子を見た四人も状況を把握したのか、沈んでいく船を眼前に捉え、身を硬直させている。
(動け‼ 動けよ‼ 俺のせいでこうなったんだろ⁉ 何で俺はこんなところにいるんだよ‼)
そして、ごみのかけらになった船は海の中に吸い込まれるように姿を消した。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
動けなかった。護れなかった。埠頭に五人の子供の悲鳴がこだまする。
その瞬間、頭が割れるように痛んだ。混乱しすぎたせいか、ストレスが過剰に溜まったからか、そんなことはどうでもいい。
零はひたすらに咆哮した。その痛みすら吹き飛ばしかねないほど、絶叫し、発狂した。
そして、ぶちっ、と自分の脳の中で何かが千切れるような音を聞いた。
「あ、あ、あああああああああああ‼」
零は膝から崩れ落ち、頭を抱える。
――どうして忘れていたのだろう。どうして疑問に思わなかったのだろう。どうして……。
そんなことは分かりきっている。
零はゆっくりと立ち上がると、まだショックから抜けきっていない四人に声かけた。
「行くぞ……」
「行くってどこにさ……」
いつになく弱々しい声を出した修哉は焦点が定まらない状態でそう尋ねた。
「みんなだって思い出したんだろ……、だったら行く場所は一つだ……」
ただの責任転嫁なのかもしれない。自分の罪から目を逸らしたいだけなのかもしれない。だが理由はどうでもいい。
ただただ必要だった。中学生である五人には、やり場のない怒りを、悲しみを、憎しみを、ぶつけるための相手が必要だった。




