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百合は眺めるものじゃないんですか? ~NTRダメ絶対な世界で×××の才能に目覚めた私がNTRっちゃうわけにはいかない!~  作者: ヱ川陸
第2章 普通の姉妹じゃなくなった話。

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第24話 ユリ成長録 <スズラン視点>

 

 下十条スズラン、下十条シオンを母親に・下十条リンを父親とした下十条家の長女、姉妹で一番年上の姉だ。


 といっても私と次女のユリと三女のアヤメの歳の差はそれぞれ一歳ほどで、あまり歳は離れていない。

 


 次女のユリを認識したのは今思えば私が二歳半ぐらいだった、その頃の私はそこそこ明瞭な言葉を喋って一人で歩いて自分でご飯を食べられるようになって服も自力で着替えられるようになっていたと思う。


 そしてユリがリンさんに両手を引かれて歩いている練習をしている光景、危なっかしいけど愛らしさがあって目が離せなかったのを覚えていたの。


 その頃三女のアヤメはまだベビーベッドで寝ていて、よく泣いては母さんにあやされている光景も記憶に残っているわ。


 その二人を見て私はいくつかの感情を自覚する────”可愛い”と”好き”と、それから少しして”お姉ちゃん”としての自覚と、二人の妹を”守護対象”だと朧げにも思うようになっていて。


 私に関しては生まれてからもどこか大人しくてそれでいて利口だったと祖母祖父談、そして私から見たアヤメはよく泣く子でユリはよく笑う子だったわ。


 私たちがしばらくして成長するとユリはアヤメをよく構うようになり、だからアヤメもユリに懐いてよく後ろを歩いていたっけ。


 私は母さんやリンさんを手伝っている時も多くて、本当は二人と遊びたい気持ちがないわけではなかったけれど「〇〇出来るなんてお姉ちゃんすごい!」と、何を褒められたか分からないにしても瞳を輝かせたユリに褒められたことが私にとって最高の宝物で。



 いつからか、それともずっと前からかしら、私がユリにとってのことを手伝ったり・したりすると「ありがとうお姉ちゃん!」と感謝と眩いほどの笑顔をくれるようになったのは。


 その笑顔が私は好きだからこそなんでもしてあげたいと思ってしまうけれど、ユリも私にしてくれることも多々あって「ありがとうユリ」と言うと「どういたしましてっ!」と笑顔が返ってきて幸せループだったわ。


 アヤメはあんまり素直になれない子だったけれど、小声でもちゃんとお礼は言えるし謝れるしちゃんといい子で、それを私もユリも分かっていたから三姉妹の仲は悪くなかったはずね。




 やっぱり小学校に一年の差で入学していくと少し距離が出来た気がして、今までの一緒に通園出来ていたのが通学するようになってタイミングがズレたのも大きかったかもしれない。


 それでも険悪になったわけじゃなくて、それぞれの関係性・空間を作りだせるようになっただけで、傍から見ても私たちからしても姉妹仲は良好だったと思っているわ。


 ただユリが小学校に入ってしばらくの頃、家にいる時はこれまでのユリの延長線上にいたのに────学校では・クラスでは様子がちょっと変わっていたの。


 成績が悪いわけではなく、小学生としての授業に対する素行とかが悪かったわけでもないはずで、今思えばユリのその頃のブームだったのかもしれないわね。



『お姉ちゃん。私、悪役令嬢になろうと思う!』



 目を輝かせてそう報告してきた時があって。


 くっ……かわいい、けど悪役令嬢というのがなんなのか分からない私としては”悪役”の部分からネガティブな想像をしてしまって。



『他の人を困らせなければいいと思うわ』


『困らせなければいいんだよね!』



 ええ、と答えてその時は終わっていた気がするわね。

 

 ユリは形から入ったようで小学校に行く私服をちょっとしたダーク系カラーのドレスのようなもの少しアニメチックなものにした、それも”どこか”で学んできて縫ったお手製らしくてリンさんが驚いていた。


 実際ドレスのユリは物凄く可愛くて……それで「行ってきます、お姉ちゃん!」「お姉ちゃんただいまっ!」などと家ではいつもの調子なので本当に可愛い。



 でも私がふと学校で見かけた光景は────クラスメイトの女子ほぼ全員を従える女王様になっていたの。



 …………悪役令嬢はどこに?


 ただその女王ムーブが決して理不尽なものではなくて、傲岸不遜”風”の喋りや悪役令嬢的な見た目ながらも基本的に褒めて・成果をあげるととにかく褒める・間違えても寄り添って・絶対に頭ごなしに否定はしないやり方で。

 

 そんなことをしていたようで、女王様と配下の関係性は良好というか信奉対象みたいになっていって……気づけばクラスを掌握している状態になり、呼ばれたのは”西茜にしあかね (小学校) の女王”。


 学校的には何か言うことが……むしろクラスメイト全員の成績がめきめき上がっていって、全員が配下でなくともクラスは一致団結をしていて、更に地域貢献などしてクラス単位で町から感謝されるなどと、その女王と配下のような構図や空気以外はまったく問題がなかったようね。


 ただ”あるタイミング”以降は周りの人が減っていって、そしていつの間にかユリの周囲には幼稚園以来の蒲田さんたち幼馴染数人が残るだけになっていったの。


 本当なら明らかな異常事態なのに、何かしら私が動き出す必要があったかもしれないのに、ユリに聞いた時には『みんな”ごっこ遊び”に付き合ってくれて、そしていい機会だからと卒業していったんだよ……』と黄昏れた風に満足気に言っていて、本人も本当に納得している様子で困惑したわ。



 でもユリは気づいていなかった────”女王”をやめて・かつての”女王の配下”だった人たちと距離を置いたはずなのに、それからも多くのユリを見つめる視線がその頃()()あったのは確かで。



 ほぼ同じタイミングでアヤメがユリから距離を置くようになった、二人とも私と接している分には普通なので理由はわからなくて、今もそれは続いていて。


 ただ私にもユリにも知らされていないだけでアヤメが私たちから離れた理由を()()()()()()()()ように思える、でも今に至るまで答えてくれる様子はなくて。



 中学一年生になったユリ、セーラー服が似合っているわ……背丈もちゃんと伸びていて成長を感じる、可愛い。


 かと思うとファッションにチェーンやリングを多用したり、たまに片目に眼帯を付けたりして、時折変なポーズをするようになって。



『お姉ちゃん。私、陰で暗躍しようと思う!』 



 中二病ファッションというらしい、校則的には不必要なアクセサリーはちょっとと心苦しいけれど指摘。


 私は旧知の仲な同級生から生徒会に誘われて、手伝ってほしいと内申点も上がるかもよという誘い文句に乗って特に考えもなく生徒会役員になっていて。


 特に入る部活もないし、中学生の間のことだからいいかなと軽く考えていたわ────



『じゃあアクセサリーはやめるね。そういえばお姉ちゃん生徒会役員になったんだってね! なんかかっこいいね!』



 中学・高校と生徒会役員を全うすることを決めた瞬間だったわ。


 それからユリはアクセサリーこそ抑え目になったもの変なポーズはたまに、そして暗躍するようになったようね。


 教師の仕事を手伝ったり、生徒の相談に乗ったり、カップルの恋のキューピッドになったり、部活のサポートに入ったり、生徒会の仕事も陰ながら手伝ってくれていたの。


 

『我が名はオルタナティブ・リリィ、陰で暗躍する者ッ』



 中二病っぽいムーブ以外だとユリは本当に暗躍してみんなの役に立っていて、そして案の定好奇も好意も集めるようになったの、そして──”茜松あかねまつ中学校の暗躍者 オルタナティブ・リリィ”と呼ばれるように。

 

 そんな彼女は家に帰ってくると「ただいまー、お姉ちゃんもおかえり! 今日もお疲れ様!」と昔の面影そのままに中二病ファッションで私と接するのでちょっと脳がバグる、でもそういうギャップも超好き。


 そうして先に私が高校生になり、ユリも中学生を卒業……『オルタナティブ・リリィの役目は終わり静かに去るのみ……』と代表挨拶で丁寧な答辞を優等生らしく (実際成績も優等生だった) 読み上げたあとにその中二病ワードを言って去っていったわ……元の自分の卒業生席に。


 

 それにしても、どんなユリもかわいい……。



 そして高校生になったユリ、一転これまでと違って大人しく見守るのがマイムーブのようで女子同士の逢引きを眺めるのが楽しいらしいわ…………本人には聞いていないことだけど、それはその、()()()()()()から。


 ユリの成長と大人になっていくことを感じて、大きな嬉しさと少しの寂しさを感じながらも、私は今日も明日もユリを陰ながら見守ろうとしていた……頃のこと。


 ()()()私が生徒会で早くに家を出ていなければ、その時のユリの様子の違いを見ることが出来ていればもしかしたら違う未来があったのかもしれなくて──


<カクヨムでも連載中>

お姉ちゃんの妹観察記録、昔は割とユリもハチャメチャだったようです。

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