防具にも可愛さを!
早速武器屋に到着しました。
ドアを開けると、カランカラン、とベルの音が鳴った。
「いらっしゃい。あら、ネリネじゃない。今日は可愛らしいお友だちも一緒なのね。」
どうやらここにもネリネの知り合いがいたようだ。金髪のお姉さんだった。胸が1番の存在感を醸し出している。私もあんなに大きくなれるだろうか。――無理な気がした。
それにしても、町のなかでネリネを知らない人なんていないんじゃないだろうか。
行く先々でネリネを知っている人に会う。
「うん、この子、リリーの防具を買いに来たんだ。」
「へぇー。やっと誰かとパーティを組む気になったんだね。リリーちゃんだっけ? 危なっかしい子だけど、ネリネのことよろしくね。優しい子だから。」
「もちろんです! ネリネは私にとって1番の友達ですから!」
「あら、とても慕われてるじゃない。よかったわね、ネリネ。」
「もう、やめてよ。恥ずかしいじゃん。」
「だって、嬉しいんだも。あのネリネが友達連れてくるんだから。」
「いい加減にしないと怒るよ!」
「じゃあ怒られる前にリリーちゃんの防具を決めちゃいましょうか。」
ネリネが手玉にとられていた。友達のこんな姿を見るのは楽しい。なんせ、精霊の国では年の近い子はいなかったから。
「リリーちゃんはどんな防具がいいのかしら?」
「えーと、軽いのでお願いします!」
「ああ、それなら最近試作したいいのがあるわよ。」
そういってお姉さんが取り出したのは、ウサギ耳フード付きのパーカーだった。
「わぁ、可愛い! でもこれって防具なんですか?」
「これはね、ラピッドラビットの素材が使われているのよ。防御力は少ないけど、足の早さに補正がかかるわ。」
魔物の素材で作られた防具や武器は、元の魔物の性質を受け継ぐことがある。
どうやらこのパーカーは兎の足の早さを受け継いだようだ。
「女の子なんだから、攻撃を耐えるんじゃなくて傷をつけられないように避けなきゃね。ネリネはどうしても攻撃を耐える前衛がやりたいって聞かなかったけど。」
「だってそれは……。リリーを守りたいから。」
「私がなんだって?」
「な、なんでもないっ」
「それでリリーちゃん、この防具どうかしら? なにより、貴女にはこの度はウサギ耳が似合うわ!」
「うーん、冒険者と言えばもっと格好いい防具なんだけど……」
「ネリネも可愛いリリーちゃんを見てみたいでしょ? 絶対可愛いわよ!」
「リリーちゃん、これにしましょう」
ネリネがすぐに敵の手に落ちてしまった。
心なしか今日1番いい表情をしている気がする。
「ネリネがそういうなら」
という訳で、私の防具はウサギ耳付きのパーカーとなった。




