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ユーリへの援軍

「「うおおおおおおーー‼︎。」」

 ホーランジアの街は戦火に包まれていた。ハルザーク家の軍とその他の大公家の軍が入り乱れている。戦況は拮抗していた。数では連合の軍隊の方が多いが迷いがあった。迷いは刃を鈍らせる。更にハルザークが指輪の所持者に匹敵する手練れを複数連れていたことも理由だろう。一騎当千の強者の前に一般兵は意味を成さない。


「…っ、このままでは、押し切られてしまいます。オウギ様…私はどうすれば…」

 人混みの中でユーリは戸惑っていた。いざ戦いの舞台に立つと予想以上の喧騒に飲まれていた。


「…ふぅ、…ふぅ、…。…落ち着いて。…敵を見て、常に…1人ずつを狙い続ける。」

 胸に手を当て深く呼吸をするユーリ。オウギの教えを思い出し覚悟を決める。


「…いきます!。」

 駆けるユーリ。手に持つのはふた振りの小刀。斬り裂きながら駆け手傷を負わせていく。獣人としての身体能力を駆使したそれは風となって敵に災いをもたらす。


「おい!その女を殺せ!。狙え狙え!。」

 ユーリの存在に気づいた敵がユーリを狙う。


「…グーちゃん!。ここからはお願いします!。」

 ユーリの肩にいたグーちゃんが光り輝く。


「…死ねぇ!。」


「申し訳ありませんが私はオウギ様のものです。許可なく死ぬことは…出来ません!。」

 迫った刃を躱すことなく逆に斬りつけるユーリ。驚く相手の攻撃はユーリの体を素通りし斬り裂かれる。


「…グーちゃん、長丁場になるかもしれませんから本当に危ない時だけお願いします。」


『…プルル!』


「…どけ!。その女は少しは出来るようだ。俺たちが相手をしてやるよ。」

 割れた人垣の中から3人の男が現れる。他の兵と明らかに潜ってきた死線の数が違うその男達は油断なくユーリを睨みながら構えを取る。


「…ごくっ…。…」

 そのプレッシャーに息を飲むユーリ。


「お前達は女性に多数でかかって恥ずかしくないのか?。」

 青年の声が響く。そしてユーリの前に1人の青年が降ってくる。赤いマントを纏った青年は3人の男に問いかける。


「あ?なんだお前は。…戦場では勝った者が全てだ。卑怯もクソもない。それが分からん坊やは…」

 その先の言葉が男の口から出ることはなかった。顔の上半分が消し飛んでいたのだ。それを成したのはマントの男。得物は大鎚。身の丈ほどもある鎚を片手で振るう。


「…スターク!。…お前…よくも…」


「待て!。…貴様、…何者だ。」


「俺の名前はアルタイル。目の前の全てを踏み砕く闘牛の一族だ。」

 アルタイルのマントが翻る。それに描かれていたのは猛る猛牛。それが意味するは、


「…アルタイル・カルスホルン!。大公家の当主だと!。何故そんな男がここにいる!。」


「そんなの決まっているだろ。我が一族は武功によって召し抱えられし者。なれば戦さ場こそ住むべき場所。…この国に仇なす全てを払い除けるのみ!。」

 アルタイルが大鎚を頭の上で回転させる。その勢いによって風が発生し砂嵐を巻き起こす。


「…獣人の女よ。…そなたの力は理解した。まだこのレベルを相手取るのは無理だ。離れていろ。」

 アルタイルがユーリに言う。


「…そして多数を助けろ。その機動力は大きな武器だ。」


「…はい、ここはお任せいたします。」

 アルタイルに頭を下げるとユーリは駆け出す。力不足なのはわかった。ならば出来ること、戦場を駆け多くの敵に手傷を負わせる。それを一番に考える。


「…あの女は強くなるだろう。それに引き換えお前らはここで終わりだ。」


「光栄に思えよ。戦さ場にてカルスホルンの角撃で死ねることを。」

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