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溢れた野心

『ドォーーーーーン‼︎。』

 鳴り響く地鳴り。


「…っつ、この揺れは一体…。オウギ様少々お待ちください。父に確認をとって参ります。」

 突然の激しい揺れに事態の確認に動こうとするエリザベス。


「待ってください。ザラスさんにはユーリがついてる。…なら…来た!。2人とも掴まって!。」

 エリザベスを制止するオウギ。アネッサとエリザベスに自分の手をとるように促す。


「…え、何、…この魔力は…跳ぶんだね。」


「…では腕をお借りします。」

 すぐにオウギの考えを読み取るアネッサと照れながらオウギの手をとるエリザベス。2人が触れた途端景色が捻れオウギ達は消え去る。


「…っと、ユーリ!カノン!グーちゃん!無事かい!。」

 次にオウギ達が姿を現したのはノードルマン邸のダイニングだった。そこにはザラスとティーシャ、ユーリ達もいた。一様に慌てたような顔をしている。


「オウギ様!、はい、私達は何もありません。みんな無事です。」

 オウギの姿を見たユーリが返事を返す。この転移はユーリの呼び掛けで行われたものである。ユーリには何か問題が起これば名前を呼ぶように伝えていた。


「おぉ、本当にすぐに来られるのだな。…オウギ殿、申し訳ないが今一度力をお貸しいただきたい。」

 オウギの登場に驚いたのはザラス。オウギの転移は知っていたがこちらから呼べるとは思ってもいなかった。この場には戦闘が可能なのはユーリだけだった為慌ててオウギに伝令を送ろうとしたのはユーリに制されたのだ。それも納得の魔法であった。


「それは構いません。それで…一体何が…。この地響きはただ事でありません。」


「それが…あの旗を見てくれるか。」

 ザラスが窓の外を指差す。オウギがそこから外を覗くとあってはならない紋様の旗が掲げられていた。


「…天翔ける大鷲…。」


「そうだ、あれはハルザーク家の紋章。…何ということだ。この国を預かる大公家の内イシュタルだけでなく、ハルザークまでもが野心を秘めていたとは。」


「…ですがあなた、ハルザーク家の目的は一体何?。例えこの場を武力で制圧したとしてそれでどうするつもりなのかしら?。王都がそれを認めることはあり得ませんわ。」

 ティーシャがザラスに尋ねる。この場には大公家が揃っている。そこで反乱を起こせばどうなるかは赤子でも理解出来る。ハルザーク家の意図が読めなかった。


「…それは私も分からん。だが、やらなければならないことは決まっている。領民を守ることだ。幸い既に街の住民はこの一帯に集めている。ここからどうするかだが…」


「それなら僕に考えがあります。戦いが可能な人はどれだけいますか?。」


「そうだな、我が領の軍が500、そしてイシュタル、ハルザークを除いた大公家の軍がそれぞれ100。そして何よりそれぞれの指輪の所持者達が戦闘可能のはずだ。しかし所持者はそれぞれの大公の護衛の為その場を離れられん。出来て迫る敵の排撃までだろう。」


「…成る程…なら、全体を3つに分けます。第一陣はエリーを中心とした最深部。負傷者の回復、救護を担当してください。あとは撃ち漏らしを指輪の所持者の方々に依頼してください。第二陣は領兵で集団戦及び最深部の護衛。第三陣は敵の本隊討伐を目的とし僕とアネッサさんで向かいます。」


「しかしそれでは第三陣が余りにも少ない。危険過ぎる。」


「…はっきり言います。僕たちは完全に個人主義の戦いしか出来ません。個の強さを押し出すには申し訳ないのですが一般兵は足手まといになりかねません。」


「…分かった。オウギ殿達にお任せする。」


「はい。…ユーリ!。」


「はい、オウギ様!。」


「君は第二陣だ。…躊躇いなく攻撃しなさい。その迷いが後々誰かを脅かすことになるかもしれない。」


「…かしこまりました。ユーリは全力で敵を打ち倒します。」


「エリーは最後尾で回復及び支援魔法をお願いします。戦線を維持してください。第一陣が崩壊すれば住民に被害が及びます。」


「任せてください。聖女の名に懸けて全ての人を守ります。」


「カノンは上空からの遊撃、そして危ない人がいれば後退させてほしい。。出来るかい?。」


『キュア‼︎。』


「アネッサさんは僕と最前線に出てもらいますよ。」


「この命は貴方に救われたものです。如何様にもお使いください。」


「なら生き残ってください。」


「…かしこまりました。」


「それじゃあ、いきますか。」

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