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ノードルマン家

「お待たせ致しました。これより当家の本邸にご案内させていただきます。」

 約束の時間になり宿の外で待っているとモランが1人の女性を連れオウギ達の元にやってきた。外套を被ってはいるがオウギには魔力の流れで想像はついていた。


「…オウギ様!、ユーリさん、この度は当家の招待に応じて頂き誠に有難うございます!。…へへ、あの、待ちきれなくて来ちゃいました。」

 モランの後ろから現れたのは今回の会談のホスト、ザラス・ノードルマンの娘、聖女と呼ばれる程の回復魔法の使い手エリザベス・ノードルマンだった。


「やっぱり、エリーですか。お久しぶりです。いいんですか?こんな所にいても。」


「大丈夫です。モランがいますし。それに私の信頼す従者もいます。エリック!。」


「………」

 エリザベスの呼びかけに応える者はいない。その場になんとも言えない雰囲気が漂う。


「…エリック!エリック!。」

 それを打ち払うかのようにエリザベスがもう一度エリックの名を呼ぶ。


「………」


「え、エリック?。…え、嘘、エリックいな…」

 心なしか涙目になりながらエリザベスが呼びかける。


「はい、お呼びですか?。」


「うひゃ‼︎。…な、なんで呼ばれてすぐ出てこないのですか!。」

 意表を突かれたエリザベスはなんとも間抜けな声を上げてしまう。その事に頬を赤らめながらもエリックに詰め寄る。


「…条件が揃いませんでしたので。申し訳ありません。しかしお嬢様、お嬢様は条件をご存知の筈です。なので呼び出す時は御留意下さいませ。」

 エリザベスに対して頭を下げるエリック。だが内容は謝罪3割、叱責7割と言った感じだった。


「あ、はい、分かりました。…ってなんで私が怒られているんですか!。…もう、…あ、…」

 エリックにプリプリと怒っていたエリザベスだがオウギ達の前であることを思い出し更に赤面する。


「…お嬢様申し訳ありませんが時間が限られております。どうぞ馬車にお乗り下さい。」

 状況を見かねたモランが提案する。実際のところ、このやり取りで時間をとってはいるが元々余裕をみてスケジュールは組まれている。エリザベスを慮ってのことだった。


「…分かりました。オウギ様、ユーリさん、どうぞ。我が家にご案内致します。」







「ここがノードルマン家の本邸になります。既に父は中で待っています。」

 馬車に揺られてオウギ達がついたのは白亜の建物だった。決して華美では無いが気品を感じさせる建物。ノードルマンの本質を表していた。


「ふわぁーー、、お、おっきいです!それに凄く綺麗です。」

 建物を見上げたユーリが歓声をあげる。


「うふふ、ありがとう。さぁ、中へどうぞ。」

 エリザベスに案内されるまま屋敷の中に入ると広々としたダイニングに通される。そこには体格の良い男性、そしてエリザベスをいい感じに歳をとらせたような女性が座っていた。


「おぉ、お待ちしておりました。私、この領地を治めております、ザラス・ノードルマンと言います。こちらは妻のティーシャです。」

 男性が立ち上がりオウギに向かって手を差し出す。


「初めまして。私はオウギと言います。そして仲間のユーリ、カノン、グーちゃんです。」

 オウギがザラスの手を握り返す。


「…うむ、強いですな。流石エリーが認めただけはある。だが!エリーはまだ嫁には!…」


「貴方?。…すいません主人が熱くなってしまったみたいで。お客様を立たせたままにしてしまって。どうぞお座り下さい。」

 オウギと手を握り会ったザラスはオウギの強さを感じとる。しかしまだ認めた訳ではないと語ろうとしたところでティーシャから制止が入る。その一言でザラスは沈黙する。この瞬間だけでこの家の力関係が計り知れるだろう。


「…まずはオウギ様に御礼申し上げます。我が娘の命をお救い頂き有難う御座います。それに加え恥ずかしながら私も病に侵されており、娘が到着しなければかなり危なかったのです。ですからオウギ様は娘と私の命の恩人という事になります。」

 席に着いたオウギに向けてティーシャが頭を下げ礼を言う。


「それに加え我が領地では魔族を討伐なされたとか。民を守ってくださったことにもお礼を言わせて頂きます。」


「…私、ティーシャ・ノードルマンの名に於いてオウギ様を候翼の指輪の所有者として認定いたします。これからも宜しくお願いいたします。」

 宣言するティーシャ。その言葉にザラスは何一つ口を挟むことは出来なかった。


「それではこの出会いに乾杯致しましょう。」

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