ノードルマン邸にて
ノードルマン家での夕食は流石は領主といった素晴らしい食事が提供された。
「わっ!これはなんでしょう!。モクモクです!。」
デザートとして提供された綿飴を見てユーリが歓声をあげる。
「ふわっ…口の中で…なくなっちゃいました。」
そして綿飴を口に含んだユーリはその未知の食感に惚けてしまう。口の中で溶けていく、そして後には濃厚な甘みが残る。
「ふふっ、宜しければお代わりもありますよ?。」
ユーリの様子を見ていたティーシャがお代わりを勧める。その膝の上にはカノンがいた。カノンを一目見たティーシャがその愛らしい姿に虜となりオウギの了承を得て膝の上に据えたのだ。カノンもティーシャの優しいナデナデに気を許したのかうつらうつらとしている。
「え、あの、その…お願いします。」
ティーシャの言葉に逡巡しながらも自らの要望を伝えるユーリ。その姿を見たオウギはいい傾向だとユーリの成長を嬉しく思う。
「…成る程そのような経緯でマチリアの街に巣食う闇奴隷を摘発なされたのですね。」
オウギの隣の席を確保したエリザベスはオウギに自分と別れた後のことについて尋ねていた。事の顛末については報告が上がってきてはいるがやはり当事者から聞くのは大事と考えてのことだった。その話にはザラスも耳を傾けている。
「…うむ、奴隷はある種の受け皿としての機能がある。それ故に制度自体を撤廃することは出来かねる。しかし闇奴隷商は問題だ。どうするべきか。」
闇奴隷についてはザラスだけで他の領地でも頭を悩ませる問題だった。問題なのはそれが商売として成り立ってしまうこと。つまり需要が少なからず存在するということにある。そしてその需要とは持つ者、利権者に他ならない。それ故に闇奴隷商は権力者の陰に隠れ摘発を逃れているのである。
「それは此度の会議の主題となるだろう。改革の時は近いのかもしれんな。」
「オウギ殿には是非会議に参加して頂きたい。娘から思慮深いと聞いております。」
「いえ、そんな私など只の流離で御座います。…しかしこの頭がお役に立つ可能性が有るのならばその役目謹んでお受け致します。」
「オウギ様は絶対に必要です!。頼りにしています!。」
「こらこらエリー、オウギ殿は確かに素晴らしい方だが…お付き合いすることは認めて…」
「あなた…?。…そろそろ娘離れしなければ嫌われてしまいますよ。」
ザラスの言葉をたしなめるティーシャ。その際に魔力が溢れ、カノンが顔をあげるが問題はないと再び微睡む。
「そんなことはない!。エリーが父を嫌いになる事などあり得るものか!。なぁ、エリー。」
信じられないことを聞いたように拒否反応を示すザラス。しかし、
「…オウギ様、今日はこのまま泊まられたら如何でしょう?。明日からの会議もこの近くで行われますし。」
ザラスの言葉を無視してエリザベスがオウギ達に宿泊を促す。
「いや、それは迷惑になってしまいますし、ご遠慮させて…」
「うふふ、こちらの三方はもうおねむですよ。」
オウギの遠慮の言葉をティーシャが遮る。ユーリ、カノン、グーちゃんは満腹になり今にも眠ってしまいそうだった。
「…すいませんがお願いします。」
それを見たオウギはノードルマン邸での宿泊を願い出るのだった。




