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次の目的地

「なぁ、オウギさんはこれからどうするんだ?。どっかに行っちまうんだろ?。」

 これからもマチリアのことを話し終えた後クリーナがオウギに尋ねる。


「そうですね、…特には決めてはないですが…」


『コンコンッ‼︎』


「…?。はい、入ってもらって結構ですよ。」


「失礼します。…お久しぶりでございますオウギ様。その後はお変わりなかったでしょうか。」

 入ってきたのはきっちりと執事服を着こなした謎の付き人エリックだった。


「エリックさん!。どうしてここに?…と言うよりも何故ここが?。」


「それは私が執事だからでございます。仕えるお方の命令は須らく実行することが役目ですので。」


「…成る程…。」

 エリックの言葉に感銘を受けたように頷くオウギ。


(オウギ様しっかりしてください。それは理由になっていません。)


(なんだこいつ…なんか胡散臭いな。精霊も混乱してる。オウギさんなんで信じてるんだ?。)

 しかし側にいるユーリとクリーナはエリックの言葉に疑問をいだき何故か鵜呑みにするオウギを心配する。


「本日は我が主人エリザベス様より書状を預かっております。是非この場で御目通り頂きたいのです。」

 そう言ってエリックは懐から1枚の封筒を取り出す。蠟で封がされており、そこにはノードルマン家の紋章が描かれていた。大公家の紋章は当主が所持するものである。その印が押されているということはエリザベスの父である当代のエリザベス公が認知しているということを表している。それに気づいたオウギはエリックに方を見る。


「既にザラス様はエリザベス様からオウギ様のことを聞き及んでおります。楽しみにしていると言付かっております。」

 その楽しみにしているが言葉通りの意味なのかは今は不明である。


「…そうですか。…気にしても仕方ないか。えーと開けますね。」

 そう言うとオウギは封を切り中の手紙を取り出す。


『拝啓オウギ様

 オウギ様とユーリさんにおきましては変わらず健やかな日々を過ごされていると思います。私も実家に帰り父、母と共に過ごしております。母の病も今や完全に治りあの時オウギ様に救っていただいた恩をしみじみと感じております。さて今回お手紙を書かせていただいた理由なのですが実は今年我が領で七大公家の集まりがございます。一年毎に持ち回りで行われるその集会はこの国の行く末を決まると言われております。その場にはオウギ様をノードルマン家の指輪の所持者として招待したいのです。父に指輪をオウギ様にお渡ししたことを報告した際是非呼んでくれと言われました。オウギ様がお忙しいのは重々承知しておりますがどうかお願い致します。もし了承していただけるのでしたらエリックにその旨をお伝えください。厚かましいお願いとは思いますがどうぞお願い致します。 エリザベス・ノードルマン』


「…七大公家の集まりですか。僕なんかがそんな集まりに参加しても良いのですか?。」

 オウギがエリックに尋ねる。その言葉にクリーナがオウギの方をギョッとしたように見つめる。


「はい、オウギ様は候翼の指輪の所持者でございます。更に既にノードルマン領の街を救い魔族を討伐、この街でも闇奴隷の商人の捕縛に一役かったとか。資格は充分に満たされていると思います。」


「…少し待ってください。…ユーリ、僕は行こうと思うけど…ユーリはどう思う?。」

 オウギがユーリの方へ振り返り尋ねる。


「特に行き先が決まっているわけではありません。ですから…私は賛成です。あ、…でも…偉い人がいっぱい集まるんですよね。私は…邪魔になると…」


「それは大丈夫でございます。そこまで畏まった場では御座いませんし…他の指輪の所持者も変わった方が多いので気にする方はおりません。」


「…他の指輪の所持者も来るんですか。…成る程…なら尚更参加しないといけませんね。僕が参加しなければノードルマン家に迷惑をかけてしまう。そして僕を信頼してくれているエリーにも…。」


「…ありがとうございます。ではそのように当主様並びにエリザベス様にお伝え致します。会場へは馬車を用意しております。馬車に乗って3日程で到着となります。その間は野宿になりますが食料等はこちらで用意をさせます。出発は2日後でよろしいですか?。」

 オウギがノードルマン家のことを慮って参加を決めたことに謝意を覚えつつエリックが段取りを尋ねる。


「えぇ、それで大丈夫です。」


「畏まりました。それでは失礼致します。また会場でお会えできるのはお待ちしております。」

 オウギ達に一礼するとエリックは部屋を後にする。ドアが閉まった瞬間エリックの気配はかき消える。


「また消えた…。一体どうやって…」


「な、なぁ、お、オウギさんは貴族さんだったのか⁉︎。私そうとは知らず…」

 クリーナがオウギの服の裾をちょいちょいと引っ張りながら尋ねる。その顔は少し不安そうな表情だ。


「いや、違うよ。僕はノージョブだ。」


「でも…大公家のパーティに呼ばれて…」


「それは少し縁があっただけ。僕とクリーナさんの絆は変わらないよ。」


「そ、そうか?…なら…いいんだけどよ。ほんと…オウギさんのことは…信用してるからな?。」


「…クリーナさん…。(これは完全にオウギ様のことを!。…まぁオウギ様はお優しい方です。その魅力は凄いです。なんて言ったって多分エリザベス様もオウギ様に好意を寄せています。素晴らしい方です!。…でも…私はオウギ様の元から離れたくありません。。もっと頑張って必要とされる人になります!。)…フンスフンス!。」

 オウギ相手に頬を染めるクリーナを見てその心を悟ったユーリ。しかしそこで嫉妬することなく自分を高めようとするのはユーリの良いところである。


「…指輪の所持者が全員か。。それよりも…エリーは僕のことをなんて言ってるのかな。」

 少し不安げなオウギの呟きに恋するクリーナと意気揚々なユーリには届かなかった。

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