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この世界で1番に

「お、おい!本当に私も入っていいのか?。怒られないか⁉︎。」

 クリーナが怯えたようにオウギに尋ねる。オウギ達は今マチリアの街にある冒険者ギルドにやってきていた。本当はオウギ達が滞在している宿を提案したのだがクリーナが固辞したのだ。そして妥協点として冒険者ギルドに白羽の矢が立ったのだ。


「大丈夫ですよ、クリーナさん。あ…名前呼んじゃっても大丈夫です?。」

 ユーリがクリーナに話しかけるがクリーナの正体が秘密であることを思い出し声をひそめる。


「あぁ、うん。…もう隠すのは辞めるよ。私はこの街1番の服飾職人クリーナとして生きていく。」

 ユーリの言葉にクリーナは決意を秘めた目で返す。


「2人ともギルドの個室を貸してもらうことが出来ました。こっちです。」







「さてと…取り敢えず今僕にできる事はやりました。どこまで追えるかは分かりませんが…出来るだけ既に売られた子供達を保護してくれるそうです。」


「そうか、…オウギさんには世話になりっぱなしだな。私がもっと早く気づいてやれれば良かったのにな。あいつらを守れてるつもりだったのに…一番近くにいた奴の裏切りに気づけなかった。今思えばこいつらもそれを私に伝えたかったんだろうな。」

 クリーナの肩に座る妖精達。その頭を撫でながらクリーナが悔しそうに呟く。


「悪いのはクリーナさんではありません。そこは間違えないでください。いつだって悪は周りを巻き込み災厄を撒き散らす。クリーナさんも被害者だ。次を考えてください。」


「…うん、…あぁ、ありがとうオウギさん。そうだよな、私があの子達を守らないといけないのは変わらない。…だけど…どうすれば…」


「そうですね、僕もまだ具体的な事は…スラム全体の事を考えると…」


「…孤児院はどうでしょうか?。子供達の居場所を作ってあげれば良いと思います。勿論大人だって拠り所にしてもいいです。とにかく周りに信用できる仲間が出来る場所。そんな孤児院が良いと思います。」


「…孤児院か。子供達にも教育を受けさせてやれる。最低限文字が読めるようになれば搾取される事は減る。大人だって働ける、けど技術がないから。その技術を習得する機会ができる。そうすれば更に子供は守られる。うん、それは結構いや、かなり良い!。…けど…その為の費用が…」

 ユーリの提案に思考を巡らせるクリーナ。そのアイデアが良いことは理解した。しかし同時に絶対にできないことも悟る。この頭の回転の良さが彼女の良き点でもあり周りに頼れないという悪い点に繋がる。


「それならなんとかなるかもしれません。幸いにも僕は今それなりのお金を…」


「それはダメだ!。もうオウギさんに頼るのはダメだ!。それに孤児院は継続的な物だ。一時的になんとかなっても…続かない。」


「誰もあげるなんて言ってませんよ。…返しにきてください、クリーナさんが僕達の所に。」


「それは…」


「クリーナさんはこの街で職人クリーナとして生きていくんですよね。なら安心です。クリーナの作品は一流だ。絶対に…世界的なブランドになる。そう信じれば…悪い投資じゃありません。」


「だからこれは施しなんかじゃない。…そして僕が投資したお金が回収できたら僕を呼んでください。風になってクリーナさんのところに参ります。そうしたら…僕と一緒に旅に出ませんか?。」


「…うぅ…分かったっ‼︎。やってやる!。職人クリーナはこの街で1番じゃない、この世界で1番の職人になってやる!。すぐにオウギさんに借りる金は返すからな!。ほんと直ぐに呼ぶから!。そしたら私を旅に絶対に連れてってくれよ!。精霊術師としても強くなっとくから!。」


「スラムでは借りは十倍返しだ。私の人生でオウギさんに恩を返す。」


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