原因を探れ
「…ここだ、ここがクリーナの住んでいる家…つっても良いのかな。」
ガードルに案内されオウギ達が辿り着いたのは風が吹けば倒れてしまうようなぼろ家だった。
「…あいつは稼いだ金を自分の為には使わなかった。自分の為に使ってればスラムからも出れてただろうに。」
「…オウギ様…!」
ユーリが警戒したような声をあげ、腰の剣に手を伸ばす。見ればクリーナの家の周りから子供達が此方を伺っている。その手にガラスの破片等を握っている者もいる。
「大丈夫だよ、ユーリ。彼らはさっきの彼と同じ。クリーナを守りたいんだ。」
勿論オウギは周りにいる子供達のことを察知していた。懐疑と怯え、そしてそれを上回るクリーナを守りたいという想いをオウギは感じていた。
「お前らこいつらは大丈夫だ。クリーナを救ってくれるかもしれない。」
ガードルが周りの子供達に言う。その言葉を聞いた子供達は緊張を解き集まってくる。
「ほんと?クリーナを助けてくれるの?。」
「クリーナ大変なの!、なんか声が聞こえるって!。寝れてないって!。」
「最近僕たちに近づくなって。…どうしたんだろう。」
子供達が口々にオウギ達に話す。その内容は一様にクリーナを案じるものだった。
(…これは…まさかユーリと同じなのか?。なら魔導師の出番だな。)
オウギは子供達の話を聞きながらある事を感じていた。何かの気配。しかし自分の網には掛からない。その事からある可能性に思い当たる。
「ガードルさん、中にクリーナさんはいるんですか?。」
「ん?あぁ多分いるとおもうぞ。最近姿を見てないけどな。」
そう言うとガードルはクリーナの家の前に立つ。
「…クリーナ!、俺だガードルだ。開けてくれないか?。お前を救えるかもしれない。頼む開けてれ、俺はお前を助けたいんだ!。」
ガードルが中にいるであろうクリーナに呼びかける。
「……………がーどる?。」
中からどこか怯えたような声がする。小さなその声は出した者の弱り具合を表していた。
「なぁ、クリーナ。俺を信じてくれ!。開けてくれ!。」
『…ガラガラ…』
そんな所にドアがあったの⁉︎といった所が開き中から茶髪の少女が現れる。かなりやつれた風貌のその少女は目線をガードルからオウギ達に向ける。
「…誰?。…あ、…まただ!。…何かいる、…そこにいる!。なんなの!。」
クリーナは突如何も無い空間を指先怯えだす。そして両手を耳に当て座り込んでしまう。
「……っ、クリーナ…」
「失礼します。クリーナさん貴女には…何が見えているんですか?。」
「?…兄ちゃん何を…そこには何もいない。クリーナは幻覚を見て…」
「それは違います。…僕も確かになにかの存在を感じています。ただ彼女は僕より更に何かが見いている。ガードルさんも思い当たりませんか?ある日突然昨日まで出来なかった事が出来るようになる瞬間を。」
「…!、まさか…適性か!。」
思案していたガードルがその可能性に辿り着く。スラムに住む者なら適性検査を受けていない可能性が高い。そして秘めたる可能性が今開花した。
「…お兄ちゃんも…見えるの?。…聞こえるの?。あれは何?、なんで私の周りから消えてくれないの!。」
「ごめん、僕にはまだはっきりとは見えないんだ。でも君は…1人じゃないよ。だから。お休み。」
オウギはそう言うと少女の頭を撫でる。
「……あ、…………」
なにかを見えるのが自分のだけではないという事に安心して緊張の糸が切れたのかクリーナを倒れる。しかし安定した呼吸は行われている為眠っているという事がわかる。
「…可能性があるのは3つ。1つ目は降霊術士。自身の体を依り代にし霊なる存在を顕現させる職業。2つ目は退魔士。悪なる霊を滅する職業。この2つは確かに珍しいですが大きな街に行けば会えるでしょう。そして3つ目の可能性は…精霊術師。これは…今現在確認されていない適性です。」
降霊術士と退魔士が霊的なものを対象とするのに対し精霊術師は自然の守護者たる精霊を対象とする。その稀有さはユーリのモンスターテイマーと同格である。
「クリーナさんが見えているものが何かはっきりしない現状ここから絞ることは出来ません。」
「…ですが解決の糸口は見えました。」
そう言うオウギをガードルは安心したような表情で見つめていた。




