*9巻のおさらい(リゼーヌの語り)
はあー、帰った帰った。ご飯の前に整理でもしとこうかな。ええと、資料はまず脇に置いといて……。それにしても、炊事場から良い匂いしてくる。うぅ、早く終わらせて皆で食べよう。
さてさて、書き出しはこんな感じでいいかな……?
——これまでの協力者と数々の語りのおかげで、この物語の完成も間近に見えつつある。
終わりと言っても各人の人生が閉じるわけではないので、そこは了承願いたい。
さて、まずはトゥーロンでの出来事を簡素に綴っておこう。
マクシミリアン・ブーケ改めアントワーヌ・ルノアールの裁判と処刑を経て、我々は体力と神経をさらに削いでいた中、ルキフェルもまた心に深い傷を負いながらも戦いに乗り出していた。剣ではなく、言葉で。
レオパード家の血筋を巡る裁判の末、彼は「ルキフェル」として生きると宣言したと医師レオンは語る。なるほど、海を渡ってきた記録資料からも生者の叫びが滲み出ている模様。
シルヴェストル・ダラスの裁定によりルキフェルは処刑が決定。彼は全てを背負って終わらせるつもりだったが、仲間たちが許さなかった。そこで、あの四人の男たちは我々と外部勢力に助力を求めることとなる。作戦指揮は……あのシャルル・ヴィトン殿だ。
トゥーロン徒刑所脱獄計画。当初の予定と狂いが生じた面もあったが、結果的には成功した。
仲間たちのフォローのおかげで、ルキフェルは無事に脱出。我々もトゥーロンを脱することとなる。
さて、ここから先はダラス家との決着。それから王宮側の動きや海軍も描くこととなろう。
傷だらけの青年は最後に誰と戦い、どのような航路を選ぶのか。
その先に見える景色まで、これから綴ることとしよう。




