2/9
優しい人ほど、嘘は
家に帰ってスマホを見ると、凪からメッセージが来ていた。
{ いつ空いてる?]
[ 来週の土曜日は一日空いてる }
{ 一緒だ、海でも行かない?]
[ いいよ }
そう返して予定に“凪と海”なんて入れた。別れ際、凪に言われた「カメラ持ってきてよ」の意味を考える。
当日は持っていかなくていいか、きっと凪は覚えていたんだろう。僕は写真を撮るのが好きなことを。
凪と連絡を取らなくなってから僕は初めて写真を撮ったことを後悔した。
僕には写真を見返す癖があった。凪が写っている写真を見るとどうしても苦しくなってしまう。出てくる度、写真を手に取り見つめる。その手は震えていて
何度もその写真を捨てよう、と視界に入れて、手に取る。その都度、手が震えてしまう。毎回この写真を見て苦しむ理由は写真に写る凪が、凪と海があまりにも綺麗で。
どうしてもアルバムからも、記憶からも捨てられないでいた。
意を決して捨てよう、とする前に外に散歩へ出ると凪がいた。
ああ、明後日か。凪と海へ行くのは。
そう考えながら眠りについた。
「…なんで写真撮るの」
『残るから』
残したいんだ。
『消えるから』




