確保
バリアの中で、複数の勢力の動きが、完全に制限されていた。
吾妻は、刀を握ったまま、動くことができない。虺竜文の勾玉の光も、ほぼ消滅していた。クリス・レイシアのケルト神話の魔物の影も、かすかなものになっていた。相模の古い白い力も、わずかなものにまで縮小していた。
全ての勢力が、その制限の中で、身動きが取れない状態に陥っていたのだ。
俵屋と魔泉道は、バリアの中心で、静かに立っていた。
彼らの動きは、制限されていない。
それは、このバリアが、彼ら自身が張ったものであり、彼ら自身は、その制限外にいるということを意味していた。
虚西は、その中で、次第に追い込まれていった。
彼の白い光が、バリアに吸収され始めたのだ。
その光が、消え始めた。
俵屋が、虚西に向かって歩み始めた。
その歩みは、確実で、迷いがない。
「虚西コウ」
俵屋が、低く呟いた。
「長い間、待っていた。この日を」
虚西は、その言葉を聞いても、何も言わなかった。
ただ、その瞳が、わずかに動いた。
逃げようとする動き。
だが、バリアが、その動きを制限した。
俵屋は、虚西に近づいた。
その手が、虚西の身体を掴もうとした。
虚西は、その手に対抗しようとした。
だが、彼の白い光も、もはや十分な力を持っていなかった。
バリアに制限された状態では、彼の力は、半減以下になってしまっていたのだ。
魔泉道が、虚西の背後に現れた。
彼の白く濁ったような霊気力が、虚西を包囲し始めた。
それは、拘束の力だ。逃げられない。動けない。そういう力だ。
虚西の身体が、完全に拘束された。
その瞬間、俵屋が、低く呟いた。
「ピースが揃った」
その言葉は、勝利を意味していた。
長い間の計画が、ついに実を結ぶ瞬間。
志乃は、その光景を見ていた。
彼女は、バリアの中で、完全に動けなくなっていた。だが、その瞳は、虚西を見つめ続けていた。
虚西の白い光が、完全に消え始めた。
彼の力が、魔泉道の拘束に吸収され始めたのだ。
吾妻は、その動きに気づいた。
「虚西が」
吾妻は、声を発した。だが、その声も、バリアに制限されていた。
虺竜文は、その光景を見て、激怒した。
「何だあれ。虚西が。逃げろ。何やってんだ」
だが、虺竜文の叫びも、バリアに吸収された。
彼は、動くことができない。
クリス・レイシアは、その状況を見ながら、何かを計算するような表情を浮かべていた。
相模は、ただ、その光景を見守っていた。子どもっぽい口調で、彼は呟いた。
「君は、連れていかれるんだ」
その呟きは、誰に向けられたものなのか、不明だった。
俵屋と魔泉道は、虚西を拘束したまま、白塔の入口へ向かい始めた。
複数の勢力が、その動きを見守ることしかできなかった。
吾妻は、その動きに対抗しようとした。
「待て。虚西を放せ」
吾妻は、刀を抜こうとした。
だが、バリアが、その動きを完全に制限した。
彼の身体が、動かなくなってしまったのだ。
虺竜文は、その制限に激怒し続けていた。
「くそ。何だこれ。解放しろ。俺を解放しろ」
虺竜文の叫びは、バリアに吸収され続けた。
俵屋と魔泉道は、虚西を連れて、白塔の入口へ到達した。
その時、白塔の入口が、大きく開き始めた。
古い木製の扉。その奥には、暗闇が広がっていた。
更に古い。更に深い場所へ通じる通路だ。
俵屋が、虚西を導きながら、その通路へ向かい始めた。
虚西は、その過程で、一度だけ、志乃の方を見た。
その瞳には、何かがあった。
確認。あるいは、別れ。
その瞳の光が、消えていった。
魔泉道が、虚西を拘束したまま、白塔の奥へ消えていった。
俵屋が、最後に、白塔の周辺に立つ複数の勢力を見回した。
その視線には、何かの確認がある。
「四天王たちよ」
俵屋が、低く言った。
「お前たちも、ここで待ち続けよ。全てが終わるまで」
俵屋が、白塔の入口に手をかけた。
その瞬間、バリアが、さらに強化されました。
複数の勢力の霊気力が、完全に制限されてしまったのだ。
吾妻は、その中で、なお、何かを模索し続けていた。
だが、彼の手段は、残されていなかった。
白塔の入口が、ゆっくりと閉じ始めた。
その奥に、虚西コウの姿が、消えていった。
志乃は、その光景を見つめながら、声を失っていた。
虚西が、いなくなってしまった。
バリアの中で、複数の勢力が、その瞬間を見守ることしかできなかった。
白塔の前で、バリアだけが、全てを支配していた。
その中に閉じ込められた複数の勢力。
白塔の奥へ連れ去られた虚西コウ。
全ての事象が、TEBESの計画の中で、一つに収束していったのだ。




