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ロストテクノロジーは誰のためにあるのか  作者: 維岡 真
第1章 ”零を探せ” 第7節 前夜祭

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集結

白塔は、東都の中心にそびえ立つ、古い建造物だ。


その周辺に、全ての勢力が集結し始めていた。


吾妻を先頭とした学連の移動班。その数は、三十名以上。彼らは、白塔の北側に配置を整え始めた。吾妻の刀は、鞘に収められたままだ。だが、その手の力は、抜く準備を整えている。飛鳥は、端末を操作し続け、白塔周辺の情報をリアルタイムで収集していた。シズクは、刀に手をかけたまま、白塔の入口を見据えていた。


西方からは、虺竜文が率いる紅叉の戦力が、到着し始めていた。彼の勾玉は、既に赤く輝いている。その光は、戦闘への準備を示していた。虺竜文の周囲には、複数の無機物が浮遊していた。彼の力が、既に展開されているのだ。獅子島は、虺竜文の背後に控え、敬語で指示を送り続けていた。「キング。西側からの接近は完了です。準備、整いました」。紅叉の戦闘員たちが、各ポイントに配置を整え始めた。


南方からは、プラチナブロンドの長髪を揺らす、クリス・レイシアが現れた。その姿は、白く輝く甲冑に身を包み、マント付きの装備は、戦闘準備の完了を示していた。スウェプト・ヒルト・レイピアとマインゴーシュが、彼女の腰に吊られている。彼女の周囲には、ケルト神話の魔物の影が、かすかに浮かんでいた。その空色の瞳は、白塔を見つめていた。彼女の月砂の戦力も、南側に集結し始めていた。


相模楸棲は、白塔の東側に立っていた。灰色のような、古い霊気力が、彼の周囲に満ちている。彼の子どもっぽい口調は、聞こえなくなっていた。代わりに、彼の表情には、深い集中がある。彼は、月砂の中核戦力を率いながら、何かを計算するように、白塔を見つめていた。


その中心に、白塔がそびえ立つ。


古い建造物。その頂上には、淡い光が昇り始めていた。


白塔の地下で、TEBESの儀式装置が、共鳴を始めていたのだ。


複数の勢力が対峙する中で、緊張はマックスに達していた。


この夜、全ての四天王が、同じ場所に集結しようとしていたのだ。


吾妻は、その状況を見つめながら、飛鳥に指示を出した。


「各班の位置は」


「確認しました。北側、西側、南側、全て配置完了です。ただし、東側は……」


飛鳥の言葉が、中断した。


その時、白塔の入口から、新たな気配が現れたのだ。


白い光。それは、TEBESの気配だ。


だが、それ以上に、古い何かの気配。


白塔そのものが、何かを呼び起こし始めたのだ。


志乃と虚西は、白塔へ向かう途中だった。


複数の勢力の気配に、志乃は戸惑いながらも、虚西に付き添っていた。


虚西は、その状況を見て、ゆっくりと足を止めた。


「ここまでか」


虚西が、低く呟いた。


「全部が、ここにある」


志乃は、その言葉の意味が、完全には理解できなかった。


だが、彼女は感じていた。


今夜が、何かの決定的な夜であることを。


その時、白塔の入口が、ゆっくりと開き始めた。


そこから、二つの人影が現れた。


一人目は、中年の男。面構えは厳しく、その目には、何かの冷徹さがある。その男は、かつて志乃が白塔で迷い込んだ時に出会った男だった。


俵屋だ。


二人目は、別の男。初めて見る顔だ。やや長身で、その顔には、何かの知識人的な落ち着きがある。その表情は、冷静で、計算的だ。何かの指導者のような佇まいを持っている。


その二人が、白塔から歩み出た時、全ての勢力が、反応した。


吾妻は、刀に手をかけた。


虺竜文は、その勾玉の光を強めた。


クリス・レイシアは、レイピアを抜いた。


相模は、静かにその二人を見つめた。


その新しい男は、白塔の入口に立ったまま、全ての勢力を見渡した。


「俵屋だ」


俵屋が、低く言った。その声には、東都で長く活動してきた者の重さがある。


新しい男が、その横に立ったまま、静かに言った。


「魔泉道。TEBES幹部だ」


その名が呼ばれた時、複数の勢力が、一瞬だけ、何かを認識した。


魔泉道。


その名は、情報網の中では知られていなかった。新たな勢力だ。


俵屋が、白塔の前で、何かを呟き始めた。


古い言語。あるいは、何かの呪文。


その音が、白塔全体に響き渡り始めた。


「虚西コウ」


俵屋が、低く言った。


「お前が、ここに来ると思っていた」


虚西は、その言葉を聞いて、身体を強張らせた。


「そして、綾崎志乃。お前もか」


魔泉道が、志乃の方を見た。その視線は、探るようなものだった。未知の相手を測るように。


志乃は、その視線を感じ、本能的に虚西の側に寄った。


吾妻が、剣を抜いた。


「TEBESか。白塔の支配者か」


俵屋は、吾妻を見て、微かに笑った。


「支配者ではない。ここは、もっと古い。もっと深い。そういう場所だ」


魔泉道が、その言葉に続いた。


「四天王たちよ。お前たちが集結するのは、我々の計画の一部だ」


その言葉は、複数の勢力に緊張を走らせた。


虺竜文が、前に出た。


「誰だてめーら。何をする気だ」


虺竜文の勾玉が、激しく赤く輝き始めた。


周囲の無機物が、全て凶器へと変化し始める。


だが、その時、俵屋が、白塔の周辺全体に、新たなバリアを張り始めた。


魔泉道が、その展開に呼応するように、別の力を加えた。


複数の勢力の霊気力が、制限され始めた。


虺竜文の赤い光が、弱まり始める。


クリス・レイシアのケルト神話の魔物の影が、かすかに揺らぎ始めた。


相模の古い力も、わずかに制御が乱れ始めた。


吾妻は、その制限の中で、刀を握ったまま、動けずにいた。


志乃と虚西も、その中に取り込まれた。


「虚西コウ」


俵屋が、静かに言った。


「時が来た。お前を、白塔の奥へ導く時が」


魔泉道が、その言葉を受けて、低く呟いた。


「ピースが揃い始めたな。虚西コウ。綾崎志乃。そして、四天王たち」


吾妻が、その言葉に反応した。


「何を言う。ピースとは何だ」


だが、その質問に答える者はいなかった。


複数の勢力が対峙する中で。


白塔の周辺で。


新たな勢力TEBESの幹部たちが、その姿を現した。


真の戦いが、ついに始まろうとしていたのだ。


白塔の奥から、かすかに、女性の声が聞こえ始めた。


その声は、志乃に呼びかけるように、聞こえていた。

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