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ロストテクノロジーは誰のためにあるのか  作者: 維岡 真
第1章 ”零を探せ” 第6節 四天王の座

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四天王の座

地表へ出た時、東都の夜は、明らかに異常だった。


警備ドローンが、通常よりも多く、空を飛んでいる。研究施設の明かりが、次々と点滅している。そして、複数の地点から、霊気力の波動が、発せられ始めていた。


志乃と虚西は、古い建造物の屋上に立ち、その光景を見つめていた。


「全部が、動き始めた」


虚西が、低く呟いた。


志乃は、その言葉の意味を感じ取った。


これは、偶然ではない。全ての勢力が、同時に、白塔へ向かい始めているのだ。


月砂のアジト。相模は、戦闘が続く部屋の外で、端末を操作していた。その表情は、冷静そのものだ。


彼の周囲には、月砂の中核戦力が控えている。だが、彼は、彼らに直接的な指示を与えていない。


代わりに、彼は、別の勢力への指示を出していた。


子どもっぽい口調で、相模は呟いた。


「全員、白塔へ。それが、最後の集約点だ」


月砂の戦闘員たちが、一斉に移動を開始した。彼らは、吾妻と虺竜文の戦いから、撤退し始めたのだ。


相模は、その動きを見守りながら、さらに続けた。


「虚西と、綾崎志乃も、そこへ向かう。全部が、一点へ寄る」


学連本部の作戦室。吾妻は、部屋から脱出し、別の場所へ移動していた。


虺竜文との戦闘から、数分後のことだ。


吾妻は、飛鳥と共に、移動班を編成していた。


「全警備班に通達。白塔周辺への移動を開始しろ」


吾妻の指示は、確実だ。


「だが、敵対的ではなく、『証人』としての配置だ」


飛鳥が、その指示を各班へ伝達していった。


シズクも、その準備に加わっていた。彼女の刀は、既に抜かれたままだ。


「総隊長」


飛鳥が言った。


「中央研究施設でのジャック・クイーン戦闘は、終了したとの報告があります」


「結果は」


吾妻が問うた。


「不明です。ですが、両者共に、白塔方面へ移動を開始したものと推測されます」


吾妻は、その情報を受けた。


「では、全ての勢力が、白塔へ」


「そのようです」


吾妻の顔に、深い思索が浮かんだ。


この全てが、計画されたものだとすれば、その中心に何があるのか。


紅叉の本拠地。虺竜文は、戦闘から戻ってきていた。


彼の身体には、いくつかの傷がある。だが、その目は、輝いていた。


「強かった」


虺竜文が、獅子島に言った。その声には、満足がある。


「あの吾妻とかいう奴。強ぇ」


獅子島は、敬語で答えた。


「キング。全ての勢力が、白塔へ向かい始めています。これは、今夜が最後ということでしょうか」


虺竜文は、その言葉を聞いて、勾玉を握った。


その光が、赤く輝き始める。


「そっか。ならいい」


虺竜文が言った。


「全員、白塔へ。全力だ。俺たちも、全員を連れていく」


紅叉の戦闘員たちが、一斉に移動を開始した。


虺竜文は、獅子島を見た。


「お前は、どうする」


獅子島は、敬語で答えた。


「かしこまりました。私も、参ります」


丹後研究所の地下施設。月砂の秘密層。


プラチナブロンドの長髪を揺らしながら、クリス・レイシアが、戦闘装備を整えていた。


彼女のマント付きの甲冑は、新しく、より強固になっている。スウェプト・ヒルト・レイピアとマインゴーシュが、彼女の腰に吊られている。


彼女の周囲には、ケルト神話の魔物の影が、かすかに浮かんでいた。


「東都へ」


クリスが、低く呟いた。


「全力だ」


クリス・レイシアは、月砂の本戦力を率いて、東都へ本格的に降りてくる準備を整えていた。


彼女の空色の瞳は、何かの決意を宿していた。


白塔。その地下。


古い施設。かつての何かの遺跡。


そこで、TEBESの儀式装置が、共鳴を始めていた。


淡い光が、その装置から放たれ始めた。


TEBES。国際テロ組織。


彼らは、この夜を、長く待っていたのだ。


その儀式装置が、白塔の地下で、何かを呼び始めた。


東都全体が、動き始めていた。


学連の移動班が、白塔周辺へ配置につき始める。


紅叉の戦力が、西方から接近している。


月砂の全戦力が、南方と地下からの二方向で接近し始めた。


クリス・レイシアが、東都へ本格的に降りてくる準備を整えた。


全てが、一点へ集約されようとしていた。


白塔の周辺。


志乃と虚西は、古い建造物から降り、その方向へ歩み始めていた。


その周囲には、既に、複数の勢力の気配がある。


学連の警備班。紅叉の戦闘員。月砂の支配領域の境界。


そして、より古い、更に別の何かの気配。


TEBES。儀式装置。


白塔は、高く、その頂上へ、淡い光が昇り始めていた。


志乃は、その光景を見つめながら、虚西の手を握った。


「ここから、先は」


志乃が、静かに言った。


虚西は、答えなかった。


代わりに、彼は、志乃と共に、白塔へ向かい始めた。


その足取りは、確実であり、同時に、何かの運命へ向かっているようでもあった。


複数の勢力が、白塔の周辺に集結し始めた。


学連。紅叉。月砂。クイーン。TEBES。


そして、虚西コウと綾崎志乃。


全ての勢力が、一点へ向かっている。


白塔の地下で、儀式装置が、さらに強く共鳴を始めた。


その音は、古い。深い。何かの本源的な力を呼び覚ますような音だ。


その中心に、虚西コウがいる。


綾崎志乃がいる。


そして、東都全体が、その一点へ集約されようとしている。

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