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ロストテクノロジーは誰のためにあるのか  作者: 維岡 真
第1章 ”零を探せ” 第6節 四天王の座

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裏戦

吾妻と虺竜文の戦闘が、部屋全体を支配している最中だった。


作戦室からの通信が、吾妻の耳に届いた。


飛鳥の声だ。その声には、緊張がある。


「総隊長。新たな情報が入りました」


吾妻は、虺竜文の攻撃を受けながら、その報告を聞いた。


「東都湾岸地区で、大規模な霊気力反応が検知されています」


「何者だ」


吾妻が、短く聞いた。虺竜文の赤い光が、彼の刀に衝突する。その衝撃で、部屋の壁が、さらに崩れた。


「……特定不明です。ですが、反応パターンから見て、複数の高位霊気力者の戦闘と判断されます」


飛鳥が続けた。


「同時に、別の地点からも報告があります。中央研究施設周辺で、ジャックと推測される存在と、クイーンと推測される存在が対峙しているとの情報」


吾妻の一瞬の動きが、止まった。


その瞬間に、虺竜文の複数の刃が、彼に迫った。


吾妻は、それを辛うじて避けた。


「ジャック……クイーン。同時に」


吾妻が呟いた。


「作戦室。全地点の霊気力反応をモニタリングしろ。パターン分析をしろ」


飛鳥が、即座に応じた。


「了解です。現在、分析中」


吾妻は、虺竜文との戦闘を続けながら、同時に、その全体構図を測ろうとしていた。


月砂のアジト内での戦闘。虺竜文による虚西への追い詰め。そして、自分の介入。


そして、同時並行で、東都の別の地点で、ジャックとクイーンが戦っている。


それは、偶然ではない。


全てが、計画されたものなのだ。


虺竜文の勾玉の光が、さらに強くなった。


「強いな。もっと、もっと」


虺竜文の声は、相変わらず、純粋な興奮に満ちていた。彼は、戦闘そのものに没頭していて、その背後の大きな構図を見ていないのだ。


だが、吾妻は、見えていた。


この戦いが、何かの序章であることを。


作戦室のモニタから、さらに情報が届いた。


飛鳥の声が、その分析を示唆していた。


「総隊長。パターン分析完了です」


吾妻は、虺竜文の攻撃を受けながら、その報告を待った。


「月砂アジトでの戦闘開始時刻。中央研究施設でのジャック・クイーン戦闘開始時刻。両者の時間差は、わずか三分です」


飛鳥の声に、緊張が走っていた。


「つまり、別々の戦闘ではなく、同一の計画の一部である可能性があります」


吾妻が、その分析を聞いた。


その時、彼の脳裏に、相模の顔が浮かんだ。


相模楸棲。月砂の副リーダー。


彼が、この全てを仕組んだのか。


それとも、別の誰かが。


虺竜文の赤い光が、吾妻の刀に、さらに激しく衝突した。


「負けるなよ。もっと強くなれ」


虺竜文の声は、戦闘狂のそれだ。彼は、戦うことしか、見えていない。


吾妻は、その戦いを続けながら、指示を出した。


「飛鳥。中央研究施設でのジャック・クイーン戦闘に、警備班を派遣しろ」


「了解です。ただし、総隊長、あなたは」


飛鳥の声には、懸念がある。


「ここにいる」


吾妻が答えた。


「虺竜文を止める必要がある。この戦闘を放置すれば、アジト全体が崩壊する」


吾妻の刀が、虺竜文の攻撃を受け止めた。


その衝撃は、部屋の床を割った。


古い機械装置が、その衝撃で、崩れ始める。


相模は、その戦闘を見守りながら、ただ立っていた。


子どもっぽい口調で、彼は呟いた。


「ふーん、面白いね」


獅子島も、その戦闘を見ながら、敬語で呟いた。


「興味深いことですね。全ての四天王が、一度に動き始めている」


吾妻の刀が、虺竜文の最後の攻撃を受け止めた。


その瞬間、部屋が、大きく揺れた。


月砂のアジト全体が、その戦闘の影響を受けているのだ。


作戦室のモニタから、さらに情報が届き始めた。


複数の霊気力反応。複数の戦闘地点。


全てが、一つの夜の中で、同時に進行している。


吾妻は、その全体構図を把握しながら、虺竜文との戦いを続けていた。


この戦いは、単なる戦闘ではない。


これは、東都の全ての勢力が、一点へ集約されるための、前段階なのだ。


虺竜文の赤い光が、吾妻の青白い光と、さらに激しく衝突し続けた。


その中で、吾妻は考えていた。


虚西とは何なのか。


志乃とは何なのか。


そして、この全ての計画の中心に、何があるのか。


相模は、その思考を見ているかのように、子どもっぽい口調で呟いた。


「吾妻。君は、まだ、気づいていないんだ」


吾妻は、その言葉に、答えなかった。


ただ、虺竜文との戦いを続けた。


その戦闘の背後で、東都全体が、大きく動き始めていたのだ。

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