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ロストテクノロジーは誰のためにあるのか  作者: 維岡 真
第1章 ”零を探せ” 第6節 四天王の座

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素顔

虚西の白い光が、最大に達した。


部屋全体が、白と赤に分断されていく。相模の古い力は、その激突の中で、一歩引いていた。彼は、虚西とは異なる、別の次元の力を感じ取っていたのだ。


虺竜文は、その白い光を見ても、怯まなかった。むしろ、その興奮が高まっていた。


「いいな。もっとだ。もっと強くなれよ」


虺竜文の勾玉の光が、さらに激しく輝いた。周囲の金属の刃が、全て、虚西に向かって収束し始める。


虚西は、その圧倒的な力の中で、ついに動けなくなった。


部屋の壁に、完全に追い詰められたのだ。


その時、虚西がゆっくりと手を上げた。


パーカーのフードが、その手によって、引き下ろされた。


素顔が、初めて、完全に光の下に露わになった。


その顔は、予想よりも若かった。だが、その瞳——その瞳だけは、若さとは無縁の何かを宿していた。


その瞳は、どこか別の次元を見ているようであった。


深く、遠く、何かの彼方を見つめているかのような、沈んだ色。


志乃は、その瞳を見た時、何かが胸を刺した。


その瞳の奥には、確かに何かがある。


絶望か。あるいは決意か。


それとも、その両方か。


虺竜文は、その素顔を見ても、構わず攻撃を続けた。


「てめーは何がしてぇんだ!?」


虺竜文の声は、純粋な興奮と、純粋な怒りが混ざったものだった。


複数の金属の刃が、虚西に向かって一斉に飛び始めた。


その刃は、もはや、虚西の身体を貫くためのものだ。とどめを刺すための、最後の一撃。


虚西は、その刃を避けることができなかった。


彼の身体が、壁に釘付けにされたまま、その刃が迫り始めた。


相模は、その光景を見ながら、子どもっぽい声で呟いた。


「君はここで終わりなのか? 虚西コウ」


その言葉は、悲しみではなく、ただの事実認識だった。


志乃の身体が、反応した。


彼女は、獅子島の監視から逃れるため、床を蹴った。


その身体が、虚西の方へ、一直線に飛び出した。


「コウ」


志乃が、初めて、虚西の名を呼んだ。


その声は、小さいが、部屋全体に響き渡った。


虚西の瞳が、その声に反応した。


その瞳が、別の次元から、一瞬だけ、この世界へ戻ってきた。


虚西は、ゆっくりと、彼の白い光を展開させた。


それは、防御ではなく、別の何かだ。


その光が、志乃を抱き留めるために、展開されたのだ。


虺竜文の複数の刃が、その瞬間、虚西の身体を捉えた。


彼の肩から、腕から、腹部から、血が流れ始めた。


だが、虚西は、その痛みに顔を歪めなかった。


彼の瞳は、相変わらず、どこか別の次元を見ていた。


志乃は、その光に抱き留められたまま、虚西を見つめていた。


その目には、何かの認識がある。


この青年は、自分を守ろうとしている。


その覚悟は、単なる保護ではなく、何かの選択なのだ。


虺竜文は、その光景を見て、さらに興奮した。


「いいな。もっとだ。もっと」


虺竜文の勾玉の光が、最大に達しようとしていた。


部屋全体が、赤く染まろうとしていた。


相模は、その光景を見て、ただ観察を続けていた。


子どもっぽい口調で、彼は呟いた。


「やるね」


その言葉が、虚西に向けられたのか、それとも、別の誰かに向けられたのか、それは不明だった。


獅子島は、志乃が逃げた瞬間に、微かに眉を上げた。


だが、彼は、それを止めなかった。


彼は、敬語で、低く呟いた。


「興味深い展開ですね」


虺竜文の最後の一撃が、虚西に向かって迫り始めた。


その刃が、虚西の心臓を貫こうとしていた。


その瞬間——


別の気配が、部屋に入ってくるのを、誰もが感じた。


それは、新たな勢力の到来を示唆していた。


虚西の瞳が、わずかに変わった。


何かの、期待。


あるいは、何かの、確認。


その瞳の中に、再び、別の次元の光が、蘇り始めたのだ。

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