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うちの村に異世界から無能がやってきました  作者: 投降の旗印
第五章 炎の少女編

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67. 勧誘

 朝ご飯を食べ終えた私たちは、そのまま作戦会議を始めた。


 魔物討伐依頼を完遂した今、受けられる依頼の幅がぐっと広がった。これで高い報奨金の依頼をガンガン受けれる。


「俺は、少しの間この町に残って、お金を稼ぐのが良いと思うがどうだ?」


 シュラさんが口火を切って話し出した。

 

「私もいいと思います。王猪の皮と牙の鑑定が終わっていないので、それが終わるまではこの町にいてもいいんじゃないでしょうか。」


 私はそう意見を述べた。


「ユウトはどう思う?」


「そうですね。もっと魔物を討伐できるなら俺はなんでもいいです。」

 

「おぉ...そうか。」


 シュラさんはユウトの言葉に引いているのが分かった。そうだよね。昨日あんな絶体絶命の危機に陥ったのに、まだ魔物討伐したいなんて狂気の沙汰だよね。


 ユウトには魔物討伐は遊びかなんかにしか見えないっぽい。あんなに強いならおかしくはないけど、それで慢心して足元をすくわれるみたいなことにはならないでほしいな。


「ファティマちゃんはどうだ?魔物討伐楽しかったか?」


「楽しかった!」


 彼女は無邪気に答えた。王猪と出会ったのにすごいな。そうか。彼女はすぐ私に連れていかれたから王猪のことがよく見えていなかったのか。


 それは、なんというか。幸運だ。


「なら、そういう方針で行こうと思う。異論はあるか?」


 シュラさんのその問いかけに答える人はいなかった。

 

「.....ないようなので、決定だ。」


 こうしてこの町にしばらくとどまることが決定した。


 私は鑑定がいつ頃出るかを聞きに派出所へ向かった。


 シュラさんはファティマちゃんと刀の特訓をするらしい。ファティマちゃんが刀を習いたいと言い出したのだ。彼女も自分の無力さが嫌になったのだろうか。でも私は彼女が守られる側で会ってほしいと思ってしまう。過保護なのかな。


 ユウトはというと、限界が来たのか倒れるように寝た。まあ今朝一睡もしてなかったらしいし、ゆっくり寝てほしい。


 てな感じで私は町の中心の派出所に入っていった。


 受付のお姉さんに話しかけると、何故かびっくりされた。


 鑑定がどれくらいかかるかを聞くと、


「ええと、1日か2日で結果が出ると思いますので、もう少々お待ちください。」


 と言われた。なんか昨日より腰が低くなったような気がする。


「わかりました。ありがとうございます。」


 あと1, 2日か、この町に長く入れるわけじゃなさそうだ。


 私は依頼板の前に行きちょうどいい依頼がないか探してみる。町からそんなに離れてなくて強い魔物もあまり出ないと言われている南の森ですら王猪に遭遇したのだ。もっと安全な依頼はないかな。


 そう思いながら木片を見比べていた時、自分の矛盾に気づいた。


 魔物討伐依頼で安全なものなんてないよね。


 ファティマちゃんは突然刀を習いたいとシュラさんに言った。王猪が現れた時に何もできなかった自分を悔やんでいるのだろうと私は感じた。私と同じ。そんな彼女を応援したいけど、現実はそう甘くないことも知っている。


 いくら強い能力や技を持っていても負けることはある。ユウトだって負けることがあるのだ。


「嬢ちゃん。それは成の位の依頼だよ?君に受けれるかな?」


 その時後ろから急に声を掛けられた。びっくりして振り返ると、やけに露出度の高い服を着たホルミ族の男が立っていた。お腹はバッキバキに割れていて、太い腕は血管が浮き出ている。ガタイのいいその体は彼の強さを固持しているようだった。


「私は成の位の冒険者ですよ。」


 そういって私は首にかけてあった鉄の首飾りを見せた。


「へぇ...こんな弱そうなファミル族が成の位とは世も末だな。」


 なにこの人。初対面の私に『弱そう』なんて酷いこと言って....


 確かに私は弱いけど見知らぬ人に言われる筋合いはない。


 私が彼を鋭く睨んでいると彼はおどけたように言った。

 

「あぁ。ごめんごめん。そんなこと言われたくなかったの知らなくて。すごいじゃないか。まだ子供なのに成の位なんて。」


「私は15歳ですよ。」


「ごめんごめん。背ちっちゃいから子供だと思ってたわ。」


 こいつ殴っていいかな?


 でもだめだ。こいつと喧嘩しても私に勝ち目はない。調子乗った男の戯言として水に流してあげよう。


「それで今は君でも受けられそうな簡単な依頼を探してたんだね?成の位になれば討伐依頼が多くなる。でもまだ町中でできるような簡単な依頼もあるから、それをすればいいんじゃないか?」


 奴は先輩風を吹かせてそう言ってきた。なんでこいつの話を聞かなきゃいけないんだ?


 ふと彼の胸元を見ると、銀色の首飾りがかかっていた。あれは竹の位の印....


 性格はあれだが、こいつは実力者らしい。なら一応話してみるか。


「仲間が討伐依頼をしたいとうるさいんです。でも私は戦えませんしもう一人戦えない子がいるのでその状態でも出来そうな討伐依頼を探してるんです。」


「ほう。二人戦えないと....で、全体は何人なんだ?」


「4人です。」


「へぇ~、4人いて半分戦えないのに成の位に上がったんだな。」


 と男は見下したように言った。(小さい依頼をチマチマやってたんだろうな。)という独り言も聞こえてくる。


 男は一瞬悩んだ顔をした後、口を開いた。

 

「俺たちと一緒に依頼を受けるのはどうだ?」


 え?こいつと一緒に?それは嫌かも。


 反射的に思ったことが顔に出てしまったらしく、


「そんな嫌そうな顔するなら、やめておくよ。」


 と言われてしまった。


「いや、待ってください!」


 帰ろうとする男を呼び止めた。


 性格が悪くても彼は竹の位の冒険者だ。彼と一緒に回れば比較的安全かもしれない。


「なんだ?嫌なんじゃなかったのか?」

 

 彼は嘲るように言った。


 やっぱり彼のこと好きになれなそう。


「仲間と相談させてもらっていいですか?返事は少し待ってもらいたいです。」


「あ、そうだな。話し合いは大事だからな。」


 彼はそう言い、踵を返して帰ろうとした。


「あ、あの!あなたのお名前は?」


 私は彼を呼び止める。そう言えば名前を聞いていなかった。

 

「そういえば名前言ってなかったな。俺はディナムだ。」


 男はそれだけ言って、建物を後にした。


 なんで行っちゃうの?私の名前も伝えたかったのに....


 私は誰もいなくなった扉を眺めていた。

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