28話 破られた日常
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
画面越しにみんなを見ると、話し始める。
『俺の所に、動画が送られてきたんだけど、どうなってんの!?なんで白雪が誘拐されてんの?しかも俺が居た組のやつじゃん!』
「やっぱり…」
呂唖の言葉で確信した。
「心当たりないか?」
『…俺が抜けたから…。組長は、元々俺と白雪が結婚したら、近藤組ごと乗っ取ろうと思ってたみたい…。』
「誘拐した理由は、今の組の中から婿をって事?」
洸の言葉に碧が続く。
「何もなければいいが…俺がしようとした事をもしかしたら――」
「ぶっ殺してやる!」
風我が部屋を出て行こうとするのを、千里が止めた。
「待って!どこに居るかもわからないのに。」
「じゃあ、どうすんだよ!?」
『俺に送られてきた動画、千里に転送したから見て。絶対、助けろよ!』
「呂唖…」
「ありがとね!」
呂唖の声を聞けた事に少しだけ安堵しながら、洸と碧は通話を切った。
「動画、再生しますよ。」
「待って、芽莉ちゃんは見ない方がいいかもしれない。」
洸は見えないように、芽莉を抱き締める。
『…よう、呂唖。お前がお嬢様と結婚しないから、組長が怒っててなー…。だからプレゼントだ。』
眠ってる白雪の髪の毛グイッと引っ張る。
すると――ジャキっ!
無造作に髪の毛は切られた。
『これをアイツらに送ったら、どんな顔するかなぁ〜。楽しみだろ?呂唖、お前は何も出来ず、アメリカで自分を恨めよ。』
そこで動画は終了した。
「…呂唖くん、凄い剣幕で電話してきて…。」
千里は俯きながら話す。
「呂唖と連絡取ってたんだな。」
朱月が言うと、千里は少し恥ずかしそうに言う。
「友達に、なったんだ…。」
「…そうか。」
朱月も少し嬉しそうだった。
「…それは良かったが、どうすんだ?あそこは何処だ?」
風我がイライラしたように言い放つと、門のチャイムが鳴る。
しばらくすると、組員が血相を変えて来る。
手には……白雪の髪の毛の束が乗っていた。
「お嬢!」
暁斗が部屋を飛び出そうとする。
「だから、待ってください!」
「っくそ!」
「待って!陽のあたり具合と、動画が送られた時間を逆算して、パンケーキ屋から誘拐したであろう時間を推測して…。」
碧はスマホのマップを出すと、目ぼしい場所を見つける。
「さすが碧くん!頭いい!」
「手分けして探すか!」
「俺と洸たち、千里さんはここに残る。行っても足手まといだし。」
「…そうだね。」
「あの!白雪ちゃんを…よろしくお願いします。」
芽莉の手は、震えて組まれていた。
その手を朱月は包み込む。
「頑張ったな。」
芽莉は張り詰めていた糸が切れたように、涙が流れ出ていた。
「大丈夫だよ!正義は必ず勝つから!」
「冷徹の風我が?」
「無表情の朱月くんには言われたくなーい。」
二人のやり取りに、芽莉は安心したように、洸に寄りかかった。
「組員連れて来る。」
暁斗が先に出ると、朱月と風我も続く。
「…俺、呂唖のスポーツカーで行くわ。」
「…あぁ。」
風我が呟くと、朱月が短く返した。
そして三人は碧の示した場所の捜索を始めた。
白雪の無事を祈りながら……。
つづく。




