25話 洸と祖母
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
「そんなに畏まらなくて良いよ。
母親に似たね…。」
「ママに…。そうだ!気になってた事が!」
「なんだい?」
「どうして洸くんはここに?
血の繋がらない親戚って?」
「そうだね。まず、洸の事を…居ない間に話しちゃおうか。」
二人は、くすくすと笑うと、祖母はまた語り始めた。
「あの子は、白雪の母親の妹の旦那の、弟夫婦の子供なの。」
「んー…うん。」
「洸ちゃんは、やんちゃでね…。
両親はお手上げ状態だった。ちょくちょく話を聞いてた私が、環境を変えた方が良いかと思って、預かる事にしたの。」
「…そんな風には見えないけど。」
「そうね…今はとてもいい子。」
「…それは、おおばあちゃんが、優しいから。」
お茶を乗せたお盆を持って、洸は大広間に入って来る。
「両親は仲悪くて…俺と兄ちゃんはいつも怒られるし、喧嘩ばっかしてたんだ…。」
「そうだったんだ…。今の洸くんはステキだよ!」
「あはは。ありがとう…俺ね、白雪ちゃんの事知ってたんだよ?」
洸は恥ずかしそうに続けた。
「白雪ちゃんのお母さんの……」
「一回忌だね。」
祖母が付け加える。
「そう。俺もここに呼ばれて…。そしたら、ずーっと泣いてる女の子が居て、おおばあちゃんが、亡くなったおばさんの娘だよ。って。」
「私…覚えてない。そんな大事な事…。」
「ショックが大きかったんじゃないか?白雪の父親は、それから一度もここへは連れて来なかった。お墓はここなのに…。」
「そう!お墓参りに行きたい。って言っても遠いから。っていつも…っ!」
白雪が何か思い出したように、立ち上がる。
「私…ママが居る所で寝たい。って言ったんだ…。パパは、本気にしたの?」
「そう言う訳ではないよ。白雪が傷つくのが嫌だったんだろ?」
「おじさんね、命日には必ずおばさんのお墓参りに来てたんだ。それで、俺も何回か会ってて…。」
――『洸!お前、婿に来るか?』
「って。びっくり!」
洸は笑いながら話す。
「でも、あの時の小さな女の子の事が気になってたから、会いたいな。って。」
白雪を柔らかな瞳で見つめる。
「そう、なんだ…。」
その瞳に耐えきれず、俯いてしまう。
「洸ちゃんの両親に言ったら、凄い財産が手に入る!って張り切っちゃってたね。」
「そうそう。恥ずかしいよ…全く。」
そんな二人の会話を、少し羨ましそうに白雪は見つめていた。
「そういえば、なんでおばあちゃんは、私ってすぐわかったの?」
「あー…命日の日に、白雪の写真を持ってきてくれるからだよ。」
そう言うと、引き出しからアルバムを取り出す。
開いてみると、小学校入学から卒業、高校生になってからの写真もあった。
そして、最後のページには……。
「これ…若い時の、パパとママ?」
「あー、二人で写ってるのはこれだけなんだ。」
「おばさん…。白雪ちゃんに似てるね!」
「うん…。」
白雪の目からポロポロと涙が落ちるのを、洸と祖母は黙って見守っていた。
その後3日間、白雪と洸は楽しく過ごしていた。
『白雪ちゃんに会えないの、寂しいよ〜』
「ありがとう。ごめんね…洸くんも連れて来ちゃって…。」
『洸くんの事は全然大丈夫!』
(白雪ちゃんとの楽しそうな画像はムカつくけど…。)
『今度は私とも旅行行こうね!』
「うん!行きたい!」
高校を休んでる二人は、芽莉と毎日連絡をとっていた。
しかしその楽しい日々も、突然終わりを告げた。
「白雪ちゃん、いい?」
「あ、はい。」
祖母の声に、白雪がドアを開ける。
目の前に居たのは――父親だった。
「っ!パパ……。」
「白雪!
すみませんお義母さん、二人で話を…。」
「ええ。今日は泊まっていきなね。」
祖母は父親に優しく微笑むと、その場を離れた。
「白雪…パパを困らせてまで、そんなに大学に行きたいのか?」
「こまっ!何それ…なんで行っちゃいけないの?なんでパパは勝手に決めるの?」
「白雪が心配で――」
「違うよ!私を家に閉じ込めて、言うこと聞く組長にしたいんでしょ!?」
「そうじゃない…。いや、そなのかもしれない…。」
白雪の剣幕に、父親はたじろんでしまう。
「はぁ…。」
父親はドカっとその場に座ると、静かに語りだした。
つづく。




