24話 お嬢の反抗―高校三年・春―
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
婿選びも期日が迫る中、春が来ると、白雪は高校三年になる。
「あっという間に三年生だね…」
「なんで俺だけ隣のクラスなの!?」
「フッフッフ。芽莉ちゃんは私がいただいた!」
「えーー!」
そんな楽しいひと時も後一年…
白雪は進路を決められないでいた。
「どうすんの?」
洸が心配そうに尋ねると、白雪は真剣な眼差しで応える。
「20歳まであと二年…大学も行きたいけど…」
「卒業してからにしてもらえば?
それか婚約みたいな?」
「うん…パパもおじいちゃんも、高卒だからね…早く組継げ!って感じで…。」
「ボイコットしちゃう?」
芽莉から思いがけない提案が出る。
「良いね!おおばぁちゃん家に来る?」
洸が続く。
「それって…。」
「うん、白雪ちゃんのお母さんの実家。」
「ありがとう。考えとく。」
冗談みたいな話なのに、白雪は少しだけ逃げ場が出来たみたいで、嬉しかった。
数週間後。三者面談から帰ってきた白雪と父親は口論していた。
「私、大学行きたい!」
「行かなくても、将来は決まってるだろ!」
「っ!」
(親父さん…それじゃあお嬢が怒ります…。)
暁斗の心配をよそに父親は続けた。
「それに婿はどうした!
もう18になるんだ!そろそろ決めたらどうだ?」
「……勝手に…。」
(っ!お嬢!)
暁人は白雪の爆発を悟る。
「いつも勝手に決めて!!
私は、パパの人形じゃない!パパなんて、
だーいきらーい!!」
「なっ!」
そう言い放つと、ドカドカと白雪は自室へ戻って行った。
ベッドに横たわる…が、怒りは収まらない。
と、言うより焦りや不安だったのかもしれない。
「はぁ………そうだ!」
白雪は洸に電話をかける。
「もしもし白雪だけど――」
『――待って、良いけど、向こうに色々説明しなきゃいけないから、結構日は週末で!』
「わかった、ありがとう!」
電話を切ると、大きな鞄を取り出し、荷造りを始めた。
これは白雪なりの反抗。
――家出大作戦が始まろうとしていた。
結構日の早朝。
こっそり出てくる白雪を、裏口で洸は落ち着かない様子で待っていた。
「洸くん!」
小声で呼ぶ声。
「白雪ちゃん!」
荷物を受け取ると、足早に、でも音はたてずに立ち去った。
「ドキドキしたー!」
「出てこなかったら、どうしようかと思ったよー。」
「私、まだこの時間は寝てるから…。
でもみんなは起き出すから、早く行こ!」
駅へ急ぐ二人。
朝まで飲んでいた風我が向こうからやって来る。
「っ!」
「うわ、もう見つかるって…。」
白雪と洸はそっぽを向くが、風我は不思議そうに近寄ってくる。
「こんな朝早くから何やってんの?」
「誰にも言わないで!」
白雪が真剣な眼差しで風我に釘を刺す。
「これから白雪ちゃんと逃避行なんだ〜」
洸は茶目っ気たっぷりに言うと、白雪も風我も慣れたようだった。
「はいはい。」
「洸…。もう姫には通じないみたいよ。」
「ちぇー。」
「そんな事より、早く行こ!」
白雪は洸の腕を引っ張って行く。
「俺が!」
風我が叫ぶ。
「俺が言うって思わないの?」
「…思わない。風我さんの事信じてるから!」
「…はっ…。なんで…。」
「白雪ちゃんの事は、俺が見てるから!」
そう言うと、白雪と洸は駅の中に入って行った。
「はぁ…でも、ヤバくないか?」
風我は電話をかける。
「碧くん?朝早くにごめんねー。
あのさー、まだ碧くん、組員動かしてる?
頼みがあるんだ――」
電話を切ると、風我は消えていった方向を見つめていた。
「はぁ…。信じてるって…
てかこれ、後で俺も怒られるやつじゃん。」
軽くぼやきながらも、その表情はどこか真剣だった。
電車で2時間、バスで30分。
少し歩いた所に、それはあった。
白雪の住む屋敷よりは小さいが、裏には山があり、周りには大きな木が佇む場所。
「ここが、ママが生まれ育った場所……。」
「行こ!おおばあちゃんが待ってる。」
「うん。」
(私、受け入れて貰えるのかな……。)
白雪は不安を抱きながら、洸と屋敷に入って行く。
すると――
「白雪!」
今にも泣きそうな顔で、白雪の祖母が出迎えた。
「おばあちゃん?」
「そうだよ。」
「私…ここに来た事が、ある?」
「ああ。…まずは、お上がり。
洸ちゃん、お茶いれてきてくれる?」
「洸ちゃん!?」
白雪は驚いて、繰り返した。
「もう。おおばあちゃん…」
洸は恥ずかしそうに、中へ入って行った。
「ふふふ。さぁ、ついておいで。」
白雪は祖母に着いて行くと、大広間へ通された。座るよう促されると、白雪は申し訳なさそうに座った。
つづく。




