22話 モヤモヤとデートと
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
学校帰り。
白雪はいつもの通りを歩いていると、前から腕を組んで歩いてくる男女の姿。
(風我さん?……と彼女さん?)
とても楽しそうに話してるのを見て、白雪は咄嗟に後ろを向いてやり過ごす。
風我は、人混みに紛れて白雪の横を通ると、ニヤリと口角をあげた。
(姫……可愛いとこあんじゃん。)
しばらく白雪は二人の背中を見つめていた。
(私って、気づかなかったんだ…)
屋敷に着くと、白雪は早々に部屋へ籠る。
「て、なんで私隠れるような事したんだろー!別に彼女いても良いじゃん!
もう!婿候補辞めたら?って言おう!」
白雪はなぜか気が晴れず、独り言を言うばかりだった。
翌日。
「姫居る〜?デートのお誘いなんだけど!」
軽い足取りで風我が屋敷を訪ねて来た。
「お嬢はまだ学校から帰ってない。」
暁斗が行く手を阻む。
「あー、俺っていつもタイミング悪いなぁ…。じゃあまた来るわ。」
風我は不敵な笑みを浮かべてその場を後にする。
「…なんだあいつ?」
暁斗は違和感を残しつつも、屋敷の中へ戻って行った。
白雪はいつもの通りを俯きながら歩く。
すると――目の前に影が…。
顔を上げると、風我が居た。
「っ!風我さん?」
「姫。おかえり。」
含みのある言い方の風我。
白雪は視線を外せなかった。
いつも風我と会うこの道は、白雪にとって少し特別だった。
けれど昨日。
他の女性と並んで歩く風我を見てしまってからは、もう同じようには思えない。
「デートのお誘いに来たんだ。」
軽く言う風我。
「…私とデートしたら、誤解されますよ?」
俯く白雪。
「え?誰に?」
「…彼女さんに。」
「あー、そっか彼女にね…。」
白雪の顔を除き込む。
「姫は、俺に彼女が居たら嫌?」
「なっ!別にそんな事ないし!
そうだ、私言おうと思ってた事あるの!
彼女さんが居るなら、婿候補辞めたらいいと思う!」
白雪は勢いのまま言葉を続ける。
「……まぁ、そもそも私が風我さんを選ぶとは限らないけどね!」
「…そうだね。」
その言葉で白雪が顔を上げると、風我は一瞬、憂いを帯びた笑みを浮かべていた。
(なんで風我さんが、そんな顔するの…?)
「ははは、昨日腕組んでた人は、組がやってるスナックのママだよ。」
「え?…」
「彼女じゃない。安心した?」
「別に……。」
白雪は勘違いした事が恥ずかしくて俯いた。けど、あの笑みが頭から離れなかった。
────────
そして約束の休みの日。
白雪と朱月と千里は、遊園地に来ていた。
「遊園地なんて、子供っぽいかな?って思ったけど、僕初めてなんです!」
千里は楽しそうに言うと、対象的に朱月が言った。
「俺も初めてだけど。」
「じゃあ今日は、お二人とも楽しみましょう!」
白雪は二人の腕にそれぞれ腕を組み、嬉しそうに歩き出した。
ジェットコースターを降りた千里は、青ざめた顔でベンチに座り込んでいた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「……もう二度と乗りません……。」
一方朱月は、無表情のまま呟く。
「普通だったな。」
その後入ったお化け屋敷では――
「ぎゃーっ!」
白雪は半泣きで朱月の腕にしがみつく。
「怖いなら入るなよ。」
「だ、だって気になるもん!」
千里は苦笑していた。
辺りが暗くなると、キラキラ光るメリーゴーランドを見つける。
「すごーい!綺麗ですねー」
「あれ、乗りましょう!」
楽しそうな二人を横目に、朱月はため息をつく。
「まじか…。」
「なんでも乗るんでしょ!」
「はぁ…。わかった。」
メリーゴーランドから降りると、朱月が千里をチラリと見る。
「俺、飲み物買ってくる。」
「私、手伝う。」
「待って、白雪さん!お話良いですか?」
どこか寂しそうな、何かを決意したような瞳に、白雪は目が離せなかった。
つづく。




