18話 文化祭
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
二人は廊下を進むと、呂唖に会う。
「あ!呂唖くん。お疲れ様です。」
「うん。」
「…え、暁斗さんと同じくらいイケメン!」
芽莉の視線は呂唖へ向く。
「呂唖くん、こちら芽莉ちゃん。
遠藤さんの事ではお世話になりました。」
白雪が頭を下げると、芽莉も続く。
「いいよそんなの。あの人もいい事してる訳じゃないから。ごめんね。」
「いえ!借金はちゃんと返しますので。」
「うん。」
「じゃあ私たちはここで。」
白雪と芽莉が通り過ぎようとした時…。
「ねぇ!」
「ん?」
白雪が振り返る。
「俺も、白雪って呼んで良い?」
「え!?えぇ、良いですよ!」
「あと、今度の休みどっか行かない?」
「っ!」
急展開に白雪と芽莉は驚く。
「えっとー、今、文化祭の準備で忙しくて…」
「あー、そうなんだ…。」
気まずい空気の中、芽莉が閃く。
「それなら!来月なんですけど文化祭来てください!私たちのクラス、動物喫茶するんです。」
「動物…喫茶?」
「まだ決まってないけど、店員が動物に扮するの!」
「へー…白雪もやるの?」
呂唖は興味があるのを必死に抑えてる様子だった。
「うん。あと芽莉ちゃんと、洸くんも!」
「え、あいつも?」
「一番張り切ってますよ!」
芽莉も楽しそうに話す。
「わかった…行く。日にち、メッセージに送っといて。」
「分かりました!」
「じゃあ、また。」
呂唖は廊下を進んで曲がり角を曲がると、暁斗が立っていた。
「わっ!何!?ビックリするんだけど!」
「お嬢の動物姿…写真撮って送ってくれ。」
「…仕事なんだ。」
「あぁ。…頼む。」
「暁斗さんて…可哀想だよね。」
哀れむような視線を送る。
「……。」
(みんな可哀想だと思っているけど…そうでもないんだよな…。)
暁斗は暁斗なりに幸せだった。
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そして文化祭当日。
「呂唖くーん!
っと、風我さん!?」
「そこで会った。」
少し迷惑そうな呂唖と、楽しそうな風我がやって来る。
「風我さん、文化祭知ってたの?」
「あー…姫をデートに誘おうと思って、屋敷に行ったら、暁斗さんが碧くんに、文化祭で何か撮って送って。って言ってたの聞いて!」
(暁斗さん、碧くんにも頼んだんだ…。)
呂唖は呆れ気味に思う。
「で、教えてもらったんだー!」
「そうなんだ!
あ、そろそろ私、店員するので案内しますね!」
「はーい。」
「うん。」
白雪は二人と共に自分の教室へ行く。
「じゃあ…着替えてくる…。」
「席で待ってるね!」
「……変でも笑わないで…ね。」
「笑わないよ!」
白雪が離れてしばらく沈黙後…
「……え。」
「まじか……。」
二人は顔を手で覆う。
そこには――
白いミニスカートのワンピースに、おしりには丸いシッポ、白い垂れ耳うさぎのカチューシャを付けた白雪が立っていた。
「……やっぱり変…?」
「いや、全然!かわいい!」
呂唖は思わず本音を漏らす。
「姫……今度、俺の前だけで――」
風我が言い切る前に、クマ耳とシッポを付けた洸が割り込んだ。
「はーい、そういうのはお断りでーす!」
「洸!お前はこれを見てどうも思わないのか!?」
「かわいいよ?
でも俺、彼女居るからっ!」
目線の先には、ミニスカートを履いた、同じくクマ耳とシッポを付けた芽莉が居る。
「……クマもいいな…。」
「風我さん!!」
洸は、風我に見せまいと壁になる。
「それより、呂唖くん…白雪ちゃんの事見すぎ〜」
「えっ!?そ、そんな事ないけど?」
呂唖と目が合うと、白雪は頬を赤らめた。
「そうだ!写真撮りたい。」
「ごめんねー!そう言うのはお断りしてるんですー。」
悪びれた様子だが、軽く洸が言うと、白雪も続く。
「ごめんね。」
残念そうな呂唖の向かいで、風我はスマホをしまった。
が、碧のメッセージには大量のうさぎ白雪の写真が…。
「…かっわいいっ。
あー!あいつらに任せて良かったー。」
碧は組員たちを使っていた。
白雪の中学三年間の様子も、先日の誘拐も、全てこの組員たちの仕業だった。
そして、その大量の写真は、碧から暁斗へも渡っていくのだった。
白雪の交代の時間になると、三人は文化祭を回る。
「あ、フランクフルト!俺買ってくるから待ってて!」
風我がそう言うと走って行ってしまう。
「…風我さんて、よく食べますよね。」
「うん…あのさ白雪。」
「はい?」
「俺も、敬語いらない。」
「……うん!」
少し気まずい空気の二人。
「この前…ケーキ奢ってくれるって言ったじゃん?」
「…うん!お礼に!」
「それ…俺が誘っていい?」
「え…」
呂唖は白雪を見つめる。
「ケーキ、二人で、行かない?」
「…うん。行く。」
その真っ直ぐな瞳に、白雪は耐えられなくて、俯いてしまう。
戻ってきた風我は、二人の漂う空気に気づくが、教えてもらえなかった…。
つづく。




