17話 友達になった日
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
次の日の放課後。
白雪、洸、芽莉。と、遠くに碧が、屋上に来てきた。
沈黙を破ったのは芽莉。
「私、バイト変える事になったの。」
「そっか、良かった。」
洸がホッとしたように言う。
「なんでかわからないけど、遠藤さんが来て、無理な取り立てと、私のバイトを高校生が出来る事にする。って…」
「芽莉ちゃん、あのね!」
意を決する白雪。
「その取り立て…私が悪いの!」
「え?」
「白雪ちゃん?」
「はぁ…」
碧が芽莉の前に出てくる。
「誤解がある。」
「はい…わかります。」
芽莉はふふ。と笑った。
碧はその笑顔に、白雪への情が見えたのかもしれない。言葉を続けた。
「俺は夕霧組長の息子。
白雪は近藤組長の娘。俺たちの実家は極道だ。」
「……。洸くんも?」
「俺は、白雪ちゃんのお母さん側の親戚。」
「辿れば私の組の人たちなの。
だから私のせいなの!」
「……。」
「…ごめんなさい。」
白雪は深く頭を下げる。
目には涙も滲んでいたけど、見せないように。
「違う。と思う。
なんかわかんないけど、白雪ちゃんのせいじゃないよ。
それに…借金して全然返さないお父さんが悪いの。」
芽莉の目にも涙が溢れでる。
「私、白雪ちゃんと、友達やめなきゃいけないの?」
「っ!…そんな事ない!
…やだ!芽莉ちゃんと友達でいたいよ。」
二人は泣きじゃくってしまう。
「……じゃあ友達のままで良いんじゃね?」
「碧くん、言い方冷たい…」
「洸、ここを納めろ。」
「了解です!」
洸が芽莉の手を取る。
「芽莉ちゃん!」
深呼吸をする。
「好きです!付き合ってください!」
その声は、大きく空へ放たれた。
「えぇ!?」
「まじかよ!」
三人の目は芽莉へ向けられる。
「…こんな時にズルい。」
芽莉は涙を拭うと、小さく笑った。
「嬉しい!よろしく、お願いします。」
「やった!ありがとう!」
洸は芽莉の手を強く、でも優しく握りしめた。
「…すげーな、お前。」
「碧くんは、不器用なだけだよ。」
「ははっ。そうだな…。」
二人を纏う空気が重くなるのを感じた芽莉。
「ダブルデートしたい!」
「え!?」
「……。」
「あははは。」
洸が苦笑いをする中、碧が白雪に向き合う。
「デートなんて思わないから…
みんなでまた、夏休みの時みたいに…遊べたら嬉しい。」
「私は…そうしたいと思ってたよ?
私が一人の時、ずっと一緒に居てくれた…それは事実だし、なくしたくない思い出。」
「白雪…ごめんな。」
「うん。」
「あの二人っていい感じなのかと思ってた。」
芽莉が洸に耳打ちする。
「うーん、色々あってね。
今は友達になったみたい。」
「そうなんだ…お似合いなのになー。」
ふふふ。と笑った洸と、芽莉の後ろでは、手が固く繋がれていた。
週末の休みの日。
白雪は芽莉を家に呼んでいた。
「デカイおじさんばっかだけど、怖くないから安心してね。」
「大丈夫だよ!白雪ちゃん家の人だもん。」
門をくぐると、暁斗が出迎える。
「…暁斗さん?って白雪のお兄さん、だよね?」
「……ぁ、海の時。」
「そうだ!ごめんね、暁斗は組の人なの。どうしても行くって言うから、海の時はお兄さんって事にしちゃった…。」
「そうなんだ。似てないなー。と思ってたから、気にしてないよ!」
芽莉はカラリと笑った。
庭の中を歩いていく。
「お嬢!」
「お友達だ!」
「お嬢にお友達が!」
組員たちが声を掛けてくる。
堪らず白雪が怒る。
「もう!うるさいなー!初めての友達だよ!」
「すみません。」
「そんなつもりじゃあ…」
クスクスと芽莉が笑う。
「白雪ちゃん、全然一人じゃないじゃん!ステキな人たちに囲まれてる。」
「…でも友達じゃないもん…家族だから。」
「お嬢……。」
組員たちは感動していた。
「それでも十分…ステキだよ?」
「うん…でも友達じゃないから、恋バナとか、遊びにも行けないでしょ?」
「んー、まぁそっか!」
(良かったですね…お嬢。)
笑い合う白雪と芽莉を見て、暁斗は目を細めて見つめていた。
つづく。




