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白雪と7人の極道たち~この中から婿を選べと言われても嫌です。~  作者: 白 月虹


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16話 届かない背中

本作はフィクションです。

登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

物語としてお楽しみいただければ幸いです。

走って駅に着いた白雪は、呂唖に電話をする。


『もしもし。』


「ごめんね、呂唖くん。

遠藤って借金取りの人知ってる?」


『なんで?』


「話しがあるの…それ以上は言えない。」


『……。』


「お願い!」


『…じゃあ今度、俺と、どこか行こう。』


その声は聞き取れるかわからないほど小さかった。


「え?何?

今、駅で、周りの音もうるさくて…」


『なんでもない。知ってるよ。

住所、メッセージで送る。』


「ありがとう!今度ケーキご馳走するから!」


プツッ。と電話が切れる。


「俺が、誘いたかったのに…

それにしても遠藤か…マズイよな…」


呂唖はスーツに着替え始めた。


一方、白雪に着信が入る。


(朱月さんからだ。)


「もしもし、どうしました?」


『どうしました。じゃねー。メッセージも電話も無視か?』


「え!ごめんなさい。気づかなくて…芽莉ちゃんの事がわかったの!」


『俺もわかったって連絡してたんだけど…』


「そうなの!?…今、向かってて…」


『は?危ないから、俺が着くまで待ってろ。』


「うん………わかった。」


『絶対待ってろよ。』


通話を切ると、朱月は急いで白雪の元へ車を走らせた。


(あの間…怖いな。)


隠れてる白雪は、遠藤らしき人物を建物の前で目撃していた。


「どうしよう…まだかなぁ…」


すると、


「白雪ちゃん!?」


「洸くん!」


洸が向こうからやって来る。


「あのね、遠藤って人が、」


「うん、わかってる。呂唖くんに教えてもらったんだ!」


「それで、朱月さんが来てくれるんだけど…あ――」


遠藤と数人が建物から出てくる。


「どっか行くのかな?」


洸に視線を戻すと、もう居なかった。


「洸くん!」


遠藤たちの前に現れる洸。


「なんだ?お前。」

「高校生がこんな所に、フラフラしていいのかぁ?」


男たちを見据える。


「……。」


「洸くん!」


「お!かわいいね〜」


追いついた白雪に、一人が下卑た笑みを浮かべる。


「遠藤さんって人に話がある。」


洸が口を開いた。


「あ?……あー、いいよ。中入って。」


「遠藤さん、あまり時間ないですよ。」


耳打ちされてるのを無視して、建物の中に入って行く。

白雪たちもそれに続いた。


「金貸して。って訳じゃないよね?」


「私たち、さいとうめり。って言う娘の事で来ました。」


「あー、はいはい芽莉ね。」


「あんたたち、家の中で暴れる。って違法じゃないの?」


洸の口調は強くなる。


「だってちゃんと返してくれないから…

せっかく良いバイト先紹介して、芽莉を働かせてるのに、あのバカ親父使っちまうの!こっちに返済しないで!」


「だからって、暴力振るわなくても!」


「あぁ!?子供が口出しすんじゃねーぞ!」


下っ端が凄みを利かせるが、二人には通じなかった。


「…お前たち何者だ?普通のガキじゃねーだろ?」


「私は、こんど――」


白雪が言い切る前に、伸びてきた手が口を塞いだ。

そして、洸の肩に手が置かれる。


「――朱月さん!」


驚く洸。


「お前がどうこう出来る事じゃねーよ。」


「…。」


「しゅげつ。って緋桜朱月か!?」


「島は違うが、いちお同じ会長の元の頭やってんだ…『さん』くらい付けろよ。」


「はっ!その違う島にわざわざ来るなんて、どういう用件だあ?言われた事しかしないくせに!」


「……そうだな…俺も、不思議だ…」


朱月は白雪を見つめた。


「へー、その娘がお気に入り。ってか?」


言い終えるのと同時に、下っ端たちが朱月に飛びかかる。

白雪を洸に預け、応戦した。


「きゃ!」

「白雪ちゃん、こっち!」


洸は庇うように、白雪の前に立つ。


朱月は最小限の動きで一人、また一人と地に沈めていく。

息一つ乱れる事なく。

立っているのは朱月と、遠藤だけになった。


「緋桜…!」


「暴力を辞める事。バイト先を変える事。

難しくないだろ?」


「俺たち末端は、こうでもしないと儲からねーだよ!」


「違う!力が全てじゃない!

それに…おじい――」


朱月が白雪の口を塞ぐ。


「あんたが出るとややこしくなる。」


「んんー!」


「文句があるなら、俺のとこに来い。」


そう言うと、白雪と洸を連れて建物から出て行った。


「……くそ!

まぁいい…芽莉んとこは諦めよう。それより……ふっ!」


遠藤は不敵な笑みを浮かべていた。

そこにもう一つの影……誰も気づいていなかった。


「お前も…普通の高校生なんだから、無茶すんな。」


「すみません…。」


「洸くん…。ありがとう!」

「朱月さんもありがとう!」


白雪は深く頭を下げる。


「俺、なんもしてない。」


「そんな事ない!私、心強かった!」


「凄まれても怯まないんだから、十分だろ?」


そう言うと洸の頭をクシャっとする。


「…そっか。」


胸に沈んでいた重さが、ほんの少し軽くなった。



つづく。

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