15話 芽莉の秘密
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
辺りはだんだん暗くなる。
「…送ってく。」
「はい。」
大通りを車は走り、信号で停まると、白雪は、ふと外を見た。
「あれ…芽莉ちゃん!?」
「友達?」
「うん。でも…あの格好…」
そこに居たのは、体のラインがハッキリわかるミニスカートのワンピースを着た芽莉だった。
「ここは…あんたでもわかるだろ?」
「うん…高校生は、働けない場所…」
「そこに居るって事は…学校にバレたらヤバいんじゃないか?」
「っ!私、ちょっと話して――」
車から降りようとする白雪を、朱月は片手で制止する。
「待て!もうすぐ信号も青になる。
それに…後ろから来たやつ、天柳じゃないか?」
言われるまま、視線を動かすと間違いなく洸だった。
「洸くん…なんで?どういう事?」
「わかんねーけど、とりあえず今日は帰れ。」
「でも…」
「あんたの帰りが遅いと、心配する人が多いだろ?俺も調べてやるから…」
「…わかった…。帰ります…。」
白雪の心の内は晴れる事はなかった。
けれど、洸と朱月を信じる事にした。
数日の間、何事もなかったかのように過ごしていたある日、洸と芽莉が廊下の端で揉めているようだった。
「…洸くんには関係ないでしょ。」
「でも――心配なんだ。」
白雪は恐る恐る二人に声を掛けた。
「どうしたの?」
「っ!なんでもないよ!行こ!」
芽莉は白雪を連れてその場を後にする。
洸の拳は強く握りしめられていた。
白雪は聞きたいけど聞けないでいた。
自分も秘密があるから…
(今は、そっとしておこう。言いたくなったら、たくさん聞けばいいよね!)
そんな考えは甘かった…。
次の日。
芽莉が頬を腫らして学校へ来た。
「どっ、どうしたの!?」
驚く白雪と洸。
校舎の裏側まで三人は来る。
「…うん。うち…借金があって。
借金取りが来て、暴れていく日は、お父さんに殴られるの…」
「――っ!」
苦笑いする芽莉に、横に居た洸が怒りを露わにする。
「はぁ?なんで!芽莉ちゃんが殴られるんだよ!!」
芽莉の頬が涙で濡れる。
「…お母さんが…うぅ…借金から逃げるために…出ていって、私…顔が似てるんだって。ムカつくって…」
何も言わずに洸は、芽莉を抱き寄せる。
「芽莉ちゃんは悪くない!
…なんだよお母さん、きれいじゃん!」
無邪気に洸は言ったけど、芽莉の涙を止めるには十分な言葉だった。
「どこで借りたか知ってる?」
芽莉を離すと、さっきより優しい口調になる。
「わからないけど、遠藤さんって言ってた。」
「……。」
(碧に聞いたらわかるかな…)
「今日、俺帰るわ。」
「え?いきなりどうしたの?」
芽莉は目を丸くする。
「芽莉ちゃん、大丈夫?今日は保健室にいる?」
「…うん。」
三人はチャイムが鳴る頃、バタバタと教室へ戻って行った。
洸は、怒りに満ちた表情で学校を出る。
「ごめんね芽莉ちゃん、今日、私も帰るね。」
「え?うん。二人ともどうしちゃったの?…」
「ごめんね。また明日ね!」
学校を出ると、碧に電話する。
着信と同時にスマホの画面を見る。
(…は?あいつ授業中だぞ?)
「先生、トイレ行ってきます。」
「おう。」
そう言って碧は電話に出る。
「――おい、今授業中、」
『もしもし、碧、遠藤って人、借金取り、知ってる?』
息も切れ切れの白雪。
「はぁ?何言ってんかわかんねーよ。」
「遠藤って借金取り知ってる?」
「…お前…俺に聞くのかよ…」
碧は頭をクシャっとする。
「碧!お願い!」
「…たくっ。俺は知らない。でも灰月の所なら、借金取りもやってるから知ってるかも。」
「ありがとう!」
プツッ。と電話が切れる。
「ちょっ!はぁ?…お前ってそういうとこあるよなぁ…ホント親父さんにそっくり。
…だからいきなり引っ越したんだけど。」
碧は、諦めたように窓の外を眺める。
「あの親子には勝てねーな。父さん…」
碧は小さく笑うと、再び教室へと戻って行った。
つづく。




