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白雪と7人の極道たち~この中から婿を選べと言われても嫌です。~  作者: 白 月虹


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12話 届かなかった想い

本作はフィクションです。

登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

物語としてお楽しみいただければ幸いです。

その時――


誰もが予想も付かない人物が現れる。


一歩部屋に足を踏み入れると、一瞬で空気が重くなる。


暁斗はその場で頭を下げる。


風我は碧から飛び退ける。


(…なんだこれ…俺が冷や汗…?)


白雪が振り向く。


「……おじいちゃん。」


そこに居たのは、白雪の祖父。

近藤組の会長だった。


「…白雪。大丈夫か?」


「うん大丈夫。…だから早く、水島先生呼んで!病院行くより早いでしょ?」


「…お前という娘は。」


少し呆れた会長が、後ろに控えている組員に指示をする。


「ありがとう。」


「碧よ。

……何をしたかわかっているのか!」


「知ってますよ…それより、俺が居るのに!

なんで婿候補が居るんだ!」


碧は会長に、臆する事なく声を荒らげた。


「子供の頃から、好きだったのに……」


「…そうだな。悪かった…。

だが、そんなお前だから、白雪は任せられん。」


「碧…」


思わず白雪が呟く。


「お前は危うい。白雪を好いてくれるのは嬉しい。が、こんな事をしても白雪は喜ばない。それに、お前自身も大切にして欲しい。」


「は?そんな事…。」


「白雪は、お前の心が傷ついてるのがわかっているから、泣いているのだ。好きになった者が傷ついたら、その者以上に傷つくのは白雪だ。」


「おじいちゃん…。」


「お前たちにも言っている。」


暁斗と風我は、互いを見合う。

——言葉はなくとも、その意味だけは理解していた。


「……碧、此度の事。

残念だ…お前を婿候補から外す。」


「……そう、ですか。」


視線を逸らす碧


「まぁ、当然ですよね。こんな事しておいて……」


そのまま俯いた——

床には、小さな雫が落ちていた。


風我はそれを横目で見ると、頭の上に手を載せた。


「行きましょう…お嬢。」


暁斗は、足枷を外す。


「…うん。」


静けさの中、パタパタと部屋に、専属の医師が入ってくる。


「水島、碧を診てやってくれ。」


「はい。」


二人を置いて、一同は立ち去っていく。


白雪は一目碧を見ようとした。

だが、血まみれで、白雪を想う碧の姿はあまりにも痛々しく、暁斗は静かにその間に立った。


──────────


白雪の足は赤くはなっていたが、問題はなく、学校へ行った。


「芽莉ちゃん、おはよう!」


「おはよう。白雪ちゃん!

……なんか…元気ない?」


「え!?そんな事ないよ!」


「そう…。」


3年生の下駄箱の前で、女子生徒の声が聞こえる。


「今日、碧くん休みだって!」

「えー!今日一日何に頑張ればいーのー?」

「ホントだよー」

「あははは!」


俯く白雪。


(碧…学校辞めたらどうしよう…私のせい?)


隣に居た芽莉が口を開く前に、洸の声が聞こえた。


「おはよ!二人とも!」


今度は白雪にだけ聞こえるように。


「芽莉ちゃんが心配するよ?」


はっと顔を上げると、芽莉と目が合う。


「……。」


「教室行こっか!」


「…うん。白雪ちゃんあの――」


言いかけると同時に、白雪が芽莉の手を取った。


「芽莉ちゃん!ごめんね。私なら大丈夫!」


「うん。なら良いんだけど…」


三人は他愛のない話をしながら、教室へ向かった。


(落ち着いたら、芽莉ちゃんに私の事話そう!)


白雪はそう決意した。



つづく。

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