10話 静かに進む計画
本作はフィクションです。
登場する団体・人物はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
物語としてお楽しみいただければ幸いです。
白雪が門をくぐる。
「ん?今日は腕が出てこない。」
「え?ふふふ。暁斗なら仕事で居ないよ。」
「あれって、毎回なの?」
「あぁ…て、普通に話かけんな!」
「くくく。」
碧が風我に牽制する。
が、通じる訳はなく、子供扱いされてしまう。
「おかえりなさい。お嬢!」
数人の組員が出迎える。
「ただいま。二人を客間に…あと、風我さんからケーキ頂いたから、みんなで食べて!」
「ありがとうございます!」
「…こちらへどうぞ。」
「私、着替えてくるね。」
碧と風我は客間に通される。
「…あんた、白雪の事、どお思っての?」
先に口を開いたのは碧。
「どおって…可愛いと思ってるよ。
それに…組長になるには、結婚しなきゃいけないしね!」
「……。」
「君と暁斗さんは、だーい好きみたいだけど、俺は恋愛なんて興味ない。」
「じゃあ――」
「俺が欲しいのは権力!
拳がすべて!それには組長になるしかないでしょ?」
「っ……白雪は、そういうやり方を選ぶ人じゃない。」
襖が開くと、会話はそこで途切れた。
「お待たせ!二人の分のケーキ持ってきたよ!」
重い空気を察する白雪。
「…あ、そうだ!さっきね、組の人が言ってたんだけど、千里さんが、生け花ショーのチケット持ってきたんだって!」
そこには7枚のチケット。
白雪と6人の候補分。律儀な性格が伺えた。
「…白雪が行くなら行く。」
碧は真っ直ぐ、白雪の瞳を捉えていた。
「う、うん。千里さんの生け花、見たいと思ってたから、行くよ?」
碧の視線に違和感を感じた風我も、賛同する。
「俺も行きたいな!」
「みんなも…行くかなぁ…?」
「行かないでしょ。……余りは俺が貰っとくね」
「あ、うん…。」
ひょい、と軽い調子で風我はチケットを抜き取る。
――そして数日後。
白雪は、風我と碧と一緒に、
千里の華道のステージショーへ来ていた。
そこは、色とりどり花が用意され、ふわりと香りが漂う、別世界のようだった。
「わぁ…ステキ。」
思わず白雪が零す。
その両隣で、風我と碧は白雪を見つめていた。
「千里さんのとこ行こう!」
ステージが終わると、そう言って、楽屋へお菓子を持って三人は向かう。
二人分の幅の廊下。
少し前に楽しそうな白雪が歩く。
「名前がある。ここかな!?」
そう言う白雪に被せて、碧が風我に話しかける。
「あ、風我さん。」
「あぁ?」
風我が碧の方へ振り返る。
白雪は部屋に入っていく。
「虫が、着いてました。
白雪、虫苦手なんで…」
風我の肩を、パッと払う。
「あぁ、そう。…そりゃどーも。」
前を見ると白雪が居ない。
「あ?どこだ?」
「ここじゃないですか?千里さんの名前が書いてある。」
ドアを開けると、千里が居る。
「こんにちは。お二人だけですか?」
「姫は?」
慌てた様子で風我が言う。
「白雪さん?…来てませんよ。」
「はぁ?」
「確かに部屋に入りました。探しましょう!」
碧が念を押す。
千里の楽屋には隠れられるような場所はなかった。
「僕も探しに行きます!」
三人は別々に、会場と会場周りを探した。
が、居ない。
「…誘拐?」
「どこのどいつだ!?」
「とりあえず家に行ってみませんか?
親父さんに話した方が…」
「そうだな。」
三人は白雪の家へ向かった。
――一方白雪は。
眠らされ、車の後部座席に横たわっていた。
これが誰の仕業か、のちに白雪は絶望する。
つづく。




